ソロで入るのは嫌だ
「よし、行くか⁉︎」
俺はゆっぴに倉庫脇に放置されていた草刈り鎌を渡す。
「おう、せっかくだし入ってみたかったんだよ」
2人して酒で少し気が大きくなった勢いでブルーシートの一部をめくり中をライトで照らす。
「いやーこれは…」
「けっこう深くね…?」
ダンジョンを前に怖気付く
名案を思いついた俺はスマホと懐中電灯をうまい具合にロープに結びつけ凸凹した竪穴の壁にぶつからないように、慎重に下ろしてみる。
10メートル程ロープを下ろすと、どうやら底に到着したようで10秒ほどロープをクルクルさせてから引き上げ、
「あっ⁉︎‼︎‼︎」
引き上がらない。
スマホか懐中電灯が壁に引っかかったみたいだ。
2人で1時間くらい試行錯誤してもどうにもならなかった。
これはもう降りるしかないと覚悟してジーンズのベルトにロープを結びつける。
まだ本体代金も払い終わってないのだ。
紛失保険はいらないと思いつけてなかった。
クソだ。
「じゃあ俺先行くわ。ロープ見てて」
「えっフリークライミングするの⁉︎この高さを⁉︎危ないよ‼︎ハシゴ使いなよ‼︎ロープの長さ的に10メートルないくらいだから行けるよ」
確かに危ない。
3連式のハシゴが倉庫の奥にあったのでそれを引っ張り出してきて伸ばしてから洞窟へと下ろして行く。
「いっきの家って割となんでもあるよね…」
「親父が色々やってたからな」
ハシゴが底についた様なのでロープで吊り上げて準備ができた。
「よしじゃあ行ってくる‼︎」
腰にハンマーとドライバーを吊り下げて初のダンジョン侵入を果たした。
俺たちの冒険はこれからだ!