これが異世界のイージスシステムだ!!
炎を帯びた魔獣・・俗称で炎熊!!
今まさにティナの頭上から 鋭い牙をむきだしにして襲い掛かろうとしていた。
ティナは あまりの事態のためか・・体が硬直して動けない!
しかし・・・脳内の電脳システムはこの緊急事態に対処したのである。
ピコーンと脳内で音が鳴ると・・
『 緊急反撃プログラム作動! レーザー兵器を使用します 』
「え!? レーザーって!?」
ティナにとっては 知らない単語である。
目と目の間のおでこに、痛みをともなう何かを感じると・・・・そのおでこから赤い光が発せられ・・・
光の束が目前に迫る炎熊へと投射された!!
ブ―――――ン
空気を震わす振動・・空気が焦げる匂い!?
頭上から襲いかかる炎熊の頭に光の束・・・すなわちレーザーが命中し、炎熊の頭が消し炭となった。
ドスン!! 地面に叩きつけられた鈍い音。
ティナはおそるおそる振り返る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ 首無し魔獣!! 首無し~~~!!!」
本人も首無しになったことがあるが、他人が首無しになると思わず恐怖し・・叫んでしまうティナであったww
『 敵性生物排除 』
すると、おでこの痛みが消え、何事もなかったように周囲は・・・・いや!! 首無し炎熊の死体が横たわっていた。
ちょっと・・この死体はいや!! なんかいや!!
でも、ついつい首当たりを見てしまうティナ。
怖いもの見たさである。
コアラのロイは短い手で拍手していた。
『 おめでとう!! ティナ様はどうやらレーザー兵器が使用可能となったみたいです 』
「レーザー!?」
ティナの脳内にある電脳システムによって 少しづつだがティナの体は再構築され、
異世界の便利な道具が 体に組み込まれていくのである。
その便利な道具の一つがこのレーザー兵器であった。
このレーザー兵器は ティナの体内にある体内プラントの作用により 目と目の間のおでこに結晶体をつくりだし、
そこから・・生体エネルギーを使用したレーザー兵器を放つのである。
そして、レーザー兵器を放ったあとは おでこの結晶体は消失し普通のおでこになる。
「・・・・・・??助かったけどなにこれ!? レーザー!?」
ティナの脳内にある電脳システムが動き出し レーザー兵器の詳細情報が表示された。
「これは攻撃兵器なんだ!! うちもついに魔術師のように魔法が撃てるようになったのね!!」
『 ティナ様 これは魔法ではなく科学ですけど・・・ 』
「 もう魔法でいいじゃないの!! 魔力がない私でも魔法攻撃ができるってうれしい!! 」
ティナは笑顔で答える!
高度に発達した科学は、魔法と見分けが付かない。 もうどっちでもいいのであるww
『 集光レーザーと唱えるとレーザーを撃てるとおもいますので試し撃ちをしてください 』
「・・・うん・・・試してみる」
ティナは「集光レーザー」と唱えると 脳内でターゲット表示画面が浮かび上がる。
もちろん ティナしか見えていないので そばにいるロイには見えていない。
ティナは意識を集中して目標にターゲットロック!
目前の巨石に目標を定めた。
そして ティナの意識にある(Yes)のボタンを押すと、目と目の間のおでこから結晶体が浮かび上がった。
結晶体は赤く熱を発生させ・・・すこし痛みも感じる。
「熱い! おでこが熱い」
おでこの結晶体から 赤い光が放たれ、光の束が飛ぶ。
ブ―――――ン
空気を震わす音!!
そして・・・ターゲットとなった巨石がレーザー熱のために吹き飛んだ。
「凄い・・・怖い!! たしかに・・これは危険な兵器ね」
『 使用にはくれぐれも気おつけてください 』
ティナは 自ら放ったレーザーの脅威に驚くとともに 急に脱力感をおぼえ座り込んでしまった。
「え!?なに なにかお腹がすいてきた」
グ~~~~
お腹の音も大合唱しだした。 その上、足がふらつき、ちょっと目がかすむ。
『 このレーザーはかなりのスタミナ・体力を使うので乱射はひかえてください! 最大2発が限度ですね 』
「えっと・・・これって使いどころがむずかしいのじゃない!?」
『 あまり使用しないほうがいいかもね 』
その後 ティナが食事をしまくり食べまくり、スタミナ回復をしたのは言うまでもない!!
途中でこんな 面白いトラブルもあったが バトラーナ帝国に向かって ティナは歩み続けるのであった。
街道での検問を避けるため 危険な魔獣地帯を横切り山岳地帯を超えていくのだが ここで便利な電脳システムに切り替える。
範囲サーチモードと呼ばれるシステムである。
この範囲サーチモードは ティナがレーザー兵器を使用できるようになった時、同時に使用可能になったモードであった。
このモードによって ティナを中心とした半径5km以内の薬草の場所を探すことができる。
ティナにとっては かなりありがたい機能であり、薬の材料集めが楽々となった。
だが・・・・このモードで一番重要であるのは・・・・生命体反応の感知能力である!!
すなわち 周囲に存在する魔獣の探知が可能となり それら魔獣による突然の奇襲を阻止できるのであった。
現在、森林地帯を横切っている最中に この範囲サーチに魔獣の存在が引っかかったのである。
それも大量の魔獣である。
・・・電脳内の範囲サーチの点滅が 一斉にティナに向かってきていた。
つまり・・・周囲の魔獣がティナを獲物として捕え 捕食に向かってきているということである。
「え~~!! ちょっと待って・・どうして!?」
思わず叫ぶティナ。
『 ティナ様! 迎撃準備を 』
肩につかまって抱っこ状態であったコアラのロイも エアーパンチを放ち、戦闘準備に入る。
何かよく分からないが・・人の形をしており棍棒のようなものを持っている黒い影が木々の合間から飛び出してきた。
それは・・・豚のような顔!! オークだ!!!
人間の倍はあるだろうか!? そんな巨大オークが ティナにむけて突進してきた!
それも・・・物凄い速さで駆け走り、ティナの目前に来た所で地面を蹴り上空へ飛び上がった!!
飛んだ! オークが飛んだ!! 飛べるオークは やっぱしオーク!
頭上からティナを襲うつもりである!!
ティナは見たのだ!! 頭上から襲ってくる殺意をみなぎらせた獰猛なオークの顔を・・・・!!
あまりの恐怖で体が動かない。 体が硬直してしまった!!
しかし!! 脳内の電脳は すかさず反応し自動迎撃態勢に入った。
ピコーンの音とともに・・・ティナのおでこから結晶体が浮かび上がり、光の束、すなわちレーザーを放った!!
そして・・・・あっけなく、一撃で粉砕されるオークの頭部!!!・・・・またもや、頭部が消し炭となって消えた。
意図的なのか!? レーザー兵器のターゲットがなぜか頭部になっている。
「ぎゃぁぁぁぁ 首無しオーク!!」
首無し令嬢だと言われたティナでも悲鳴を上げた。 怖いものは怖いのである!!
オークを一体、倒したと思って安心してる場合ではない!!
電脳内における範囲サーチの点滅は、次々とティナに迫ってくる。
レーザー兵器使用によってティナの体力が削がれ・・・少し目まいはしたが、すかさず空間格納庫から食べ物を取り出し、口に押し込む。
この際・・・行儀は完全無視である。 ティナの口一杯に食べ物が放りこまれていく。
その後・・・次々と来襲する魔獣たち・・・というか それはオーク!
オーク軍団である。
オークの集落に近づきすぎたためか!?
とにかく・・・襲ってくる以上、迎撃しなければならない!!
ティナは悲鳴をあげつつ・・・レーザーを乱射!!
悲鳴を上げている割には、冷静な判断でオークの頭部を確実に消し炭にしていたりする。
神経はわりと図太いのかもしれない!!
そして・・・体力消耗をおぎなうかのように すばやく食べ物を口に入れる!!
豪快に食べる!!
はたから見ると大食い競争にしか見えない!? それとも、ただの食いしん坊なのか!?
これだけ食べると太ってしまうようだが・・・レーザー兵器による激しい体力消耗のため太ることはない・・・・と思いたい。
もしかすると・・・エネルギー効率が悪すぎる兵器の可能性もある。 ただの欠陥兵器!? パンジャンドラム!?
それでも オークを撃退しつづけているので、有能な兵器であるのは間違いない!!
もちろん、コアラのロイも来襲するオーク軍団の対処をしている!!
ロイの必殺蹴りが 次々とオークに命中しオークたちを粉砕していくが・・・数が多すぎて撃退しきれない!!
オーク側は 数にものを言わせてティナへの突撃を繰り返すが全て撃退されている。
戦いは・・・膠着状態となり一進一退を繰り返す。
レーザー兵器を撃つたびに どこかの漫画に出てきたような骨付き肉を食べまくるティナ
パクパクパクパク!!!
状況はまずいけど・・・食べ物はおいしい!!
しかし・・・・このまま戦闘が続行されつづけると、いずれ食料危機に!! というか、もう口がしんどくなってきて食べるのがつらい!
ちなみに 倒したオークは空間格納庫に保管しています!!
いずれ・・・食料(レーザー兵器のエネルギー)になるし・・・売却することもできるからである。
正直言うと二足歩行している人型オークを食べるのは気が引けます!! 豚の味に似ているらしいけど・・・
オークとの死闘は なおも続く!
レーザー兵器を乱射し・・首無しオークを大量生産しているというのに!? オークたちはより狂暴になって襲って来るのだ!!
このままでは ジリ貧となってしまい・・・最後には倒れてしまう!!
それに・・・・太陽が沈みだし 周囲は暗くなってきていた。
夜中の戦いは避けたい!! たいへん危険である。
「もうだめ! 疲れた・・・うちはもう限界」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) ティナちゃん 危機が迫るのか!?