処刑台に逝こう!!
騎士たちに捕縛されたティナは馬車に乗せられ いずこへと連れ去られていく。
ただし・・・ティナは手かせをかけられているが・・・扱いはたいへん丁寧であった。
そして・・・・
・・・現在、ティナがいるところは・・ファリード王国王都ナガールの処刑広場!!であった。
別に処刑見学に来ているわけではない!!
・・・・というかティナが処刑される対象になっていたのである。
( 悪役令嬢の断罪イベントを見事に省略され・・・・いきなりの処刑イベントであるw )
ティナの目の前には・・・・・巨大な台の上に凶悪な形をしたギロチンの刃が太陽の光によってキラリと光っていた。
今!! 騎士の人達に先導され ティナはギロチン台の方向に向けて歩かされている。
いまにも・・料理されてしまう魚のような心境である。
「ちょっとなに!? これ!? どういうこと!?
待って~! 話せばわかる! いまなら・・うちのポーションを格安で・・・」
こんな状況に追いこまれても ポーションを売ろうとする見上げた根性w
この処刑広場に至るちょっと前、見たことないような巨大な屋敷にティナは連れ込まれ・・・
そして・・・着用していた田舎の小娘風の服装を またたくまにはぎとられ・・た!!
「いや~ん!!」
ちなみに男たちに はぎとられたのではなく・・・かわいいメイドたちに脱がされました!! お間違いなく!!
そして・・・いままで体験したことないような大浴場で メイドたちによって丁寧に体を洗われた。
「すごーーーい!! こんな豪華なの~はじめて!! まるでどこかの御令嬢になった気分」
ちょっと うれしくなるティナに・・・・・・複雑な顔をするメイドたちであった。
そんな顔をするメイドたちにティナは不思議に思い・・・声をかけるが、メイドたちはまったく返事をしない。
それどころか妙に無口すぎるのだ!!
入浴後・・・多くのメイドたちが ティナに群がり、あれよあれよというまに・・
どこかの貴族のお嬢様が着用するようなヒラヒラレースが編み込まれたすごく・すばらしいドレスに着替えさせられたのだ。
見るからに高価そうなドレスである。 このドレスを買うのにどれほどのポーションを売らなければならないのか!?
「こ・・・こんな夢にまで見たドレスが着れるなんて!!」
と喜んでる場合じゃなかったのである。
その後・・・・処刑場へと連行されたからであった。
これは・・・最後の晩餐ならぬ・・・最後の着替えか!?
最後の処刑はきれいな服ってか!?
「そんなのいや!! どうして・・ どうしてこうなった!?」
ティナの顔色は 臨界点を越え・・・真っ青となる。
心臓の鼓動が鳴り響く。
間違いなく死ねる。
ギロチン相手の対戦で うちの首が勝てるとは思えない。
「あ! うきゃきゃきゃきゃきゃ」
ティナは、おもわず猿のように暴れた。
手を振り、足を振り暴れる!!
着用しているドレスが台無しになるぐらいに暴れた!!
「うちは~ ただの田舎娘よ!! 普通の娘よ!! あっ! でも・・・ちょっと薬師としての能力は自慢したいけど・・・」
必死に顔をふり、手をふり 騎士に掴みかかったが・・・・もちろん無理です!!
騎士の腕力に勝てなかった。
「セレスティーナ様! 王族の一員として・・ミティリア公爵家令嬢としてお覚悟してください!!」
騎士の言葉がティナの耳にはいってくる。
令嬢!? 貴族!? 誰が・・・!? もしかして私のこと!?
「ちょっと待って!! うちは公爵令嬢じゃない!! ただの村娘よ!! 人違い!! いや~ やめて~」
おもっきり叫び 手足をばたつかせるうちに・・・
・・・ティナの意識は途切れた。
どうやら 騎士のひとりに腹パンされたらしい。
痛いという感覚もなく倒された。
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ティナの意識は夢うつつとなり・・・・・・・走馬燈が走る!
走ってくる!! 走ってくる!!
ティナの目の前に色々なものが 駆け足のように走ってくる!
不味い!! これは噂に聞く走馬燈。 死ぬ直前に見るというあれ!! 一番最悪のフラグだ!!
そんなことを考えていると向こうから・・
もう忘れてしまった古い記憶が・・・・蘇って・・・走ってきた!!
あれは・・・私が生まれたばかりのころなの!?
親らしき人物が会話しているようだ。
あ~今まで忘れていた!! そうか、あれが私の親の顔なのね!!
貴族の服装をしてる!!
私は貴族の娘だったの!? え!?
「この子は 我が公爵家にふさわしくない!! 魔力がないのだ。魔術を使えない!!
そんな魔力のない子を我が公爵家の一員として育てるわけにはいかない!!
誰か適当な人物へ里子にだし 我が公爵家との縁を切るのだ」
なんて親なの!! 私は・・・
・・・・生まれてきたとたん波乱盤上、将棋の駒!! 渡る貴族社会はデンジャラスばかり!!
やっぱし貴族怖い! 嫌い!!
それから 次の走馬燈が走ってきた。
赤子の私は誰かの腕の中で布に包まれている。
「 いいモルモットを貰えた。これで色々ためすことができる 」
私は信じられない言葉を聞いた!!
もっと驚いたのは・・・この言葉を発した若い男性は・・・私の師匠だ!!
私に薬づくり、薬草術を教えてくれた師匠!!
師匠・・・・!! 師匠はそんな人だったのね!!
女性と間違えるほどの美青年だと思ったら・・・心の中では恐ろしい人!
なんて! 恐ろしい師匠
私はおもわず白目になった!
だいたい私の生い立ちが分かった。
私の謎の親・・・たぶん貴族が私を里子にだされて・・師匠が育てたというか・・・なにかの魔法実験に使おうとした。
うっううう・・・師匠に魔法実験のモルモットにされて殺されずに済んでよかった。
やっぱし師匠も怖い! 嫌い!! ・・・でも顔は好みなのよね!!
次の走馬燈は・・・赤子の私の服をぬがされ・・・おしめをされている きゃ!
師匠と風呂にはいっている! きゃ!!
なんて はずかし~い走馬燈なの!!
あれ・・・この走馬燈はなんだろ!?
師匠につれられ、なにかゲートをくぐるとそこは・・とんでもない高さの建物を乱立している都市? 未来都市!?
煌びやかに光輝き、多くの人たちが不思議な衣装を着て、不思議な乗り物に乗っている。
こことは明らかに違う世界。異世界!?
空を何かが飛び交っており、そのへんな乗り物が目の前に着陸した。
師匠につれられ、その変な・・・馬なし馬車みたいなものに乗せられると、その馬車が空を飛び、うちらをどこかへと連れ去っていった。
いったいどこの国なんだろ!?
私はどこかの建物につれていかれると 白衣を着た黒髪の人たちに囲まれ なにかよくわからないけどベッドに寝かされた。
「ティナちゃん!! 君をこの国に住めるようにするため ちょっと脳に機械を埋め込む!! 怖がらなくていいから」
師匠は私に何かよく分からないことを言っている。 機械!?ってなんだ
再び・・・・走馬燈が走ってくる。
師匠が何かを話してきた。
「ごめん! ティナちゃんを こちらの世界に移住させるのは無理だったようだ。 許可がおりなかった!! 一緒に元の世界に帰ろうか!!」
師匠の悲し気な顔が印象的であった。
そして 最後にBGMとともに クレジットタイトルのおまけも付いてTHE ENDの看板が走馬燈とともに流れてきた。
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ティナは目が覚めた。 現生に帰ってきたのだ。
目の前には、多くの見物人がティナを注目している!?
あれ!? おかしいなぁ 変な姿勢で寝かされている。
その時 気が付いた!!
ティナの首はギロチン台にはめられていたのだ!!
同じく両手もはめられており、自由がきかない。
そして・・・ティナの姿をあざ笑うがごとく 多くの民衆が見ている。
ここは処刑広場!! 処刑イベントはこの王都市民にとってはちょっとした娯楽・・・
「うちの処刑を見て楽しむなんて・・なんて・・・ひどい人達!!」
ティナはものすごく腹が立ってきた。
プンプンプン!!
なにやら 役人ぽい人が何かを宣言している!!
どうやらティナに対しての罪状を羅列しているが、
・・・・・そんな犯罪をした記憶なんて もちろんない!!
だが、そんな罪状の中に・・・「非道にも・・王位簒奪」の言葉が・・・
なにそれ王位って・・どういうこと!!
そして あの小太りの・・・私を捕まえたクルスとかいうオークもどきの王子の顔が見えた。
何か笑っている!! うすら笑っている!!
その王子の片手が ゆっくりと上げられた!!
まずい! 公開処刑される!!
「ちょっと待って! 待って! うちは田舎娘で・・・・王位簒奪なんて~」
だが・・・・ そんなティナの言葉に気を止める者はいなかったのである。
何か目の上から光輝くものが落ちてきた。
あれは・・・ギロチン!!
刃が落ちてくる。
だが!! まだまだ希望がある。
私はヒロイン!! きっときっと助けに来てくれるはずだ。
子供の頃・・師匠に聞かされた昔話には・・・・白馬の王子が・・・
そうだ! エルル君!! エルル君が・・なんかすごい!とんでも魔法で華麗に私を助けに来てくれるに違いない~
「ああっあああ~ エルル君 はやく来て~」
ポロリ!
ポロリ!?
ポロリもあるよ!!
ポロリした!!
ティナは目を回しながら、ギロチンの刃で切り離された自分自身の胴体を見ながら宙を飛ぶ。
「エルル君・・・遅すぎ~ あっあああ~ うちはヒロインだと思っていたのに~」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 首がポロリ事件発生!