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ショートショート5月~

口づけ

作者: たかさば

あなたと初めて口づけを交わしたのは、五年前の、春。


あなたが私の目を見つめて。


私は目を閉じた。


あなたの唇が触れて。


私は涙を流した。




あなたと私の気持ちが同じものだと知って。


あなたと私は何度も口づけを交わし。


私の熱はあなたに。


あなたの熱は私に。


互いの熱は、いつも交し合うものだった。




あなたの熱を唇にのせたのは、一週間前。


あなたの唇はいつもと変わらない熱を持っていた。




あなたの唇が、遠い。


あなたの唇が、こんなに近くにあるというのに。




あなたは私に、もう、熱を分けてはくれない。


あなたの唇と、別れなければならない時が来る。




あなたであった、あなたの体は、熱を無くしてしまった。



私は今、迷っているの。



あなたの熱を覚えている私の唇。



あなたは今、花に囲まれてそこにいる。


あなたの体と、別れる時が近い。


あなたは今、私から熱を奪うだけの存在。


あなたの熱を、冷たい唇は伝えてくれない。


あなたに口づけを、落とすべき?



あなたの熱を覚えている、この唇を大切にしたいと願う私。



私の熱を、最後に伝えておきたいと願う気持ち。



どちらを選んでも、私はきっと。





唇を噛みしめて、私は愛する人を、見送った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] BAD END 。幸せになって欲しいです。 唇視点の表現がすごい。天然なのか努力の結果なのか。どっちにしてもすごい。 [一言] 花に囲まれてる……おや、あんなところに蜂が?
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