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「……なんかゴツゴツして固そう。」
あいの口から無意識に出てしまった声。
「そのロックじゃないんだよなぁ。」
苦笑いするまいであった。
誰も岩の話などしていない。
「まぁ、そうなんだけど……。なんで同じロックなのに岩と音楽の意味があるんだろうね。」
「日本語もあるじゃん。ほら……箸と橋みたいな……。」
「あー、一休さん?」
ぽつり。
あいが言う。
「……一休さん?」
彼女は一体何を言い出したのだろう。
まいの頭上には、目に見えないクエスチョンマークが浮かんでいた。
「ほらこの橋通るべからずみたいなの。」
「あー、どうどうと真ん中歩くやつね。」
なるほど、そういう意味であったか。
まいの頭上のクエスチョンマークが消えた。
「そうそう。……うん?何の話してたんだっけ?」
「分かんない。まぁ、思い出せないってことは大したことじゃないってことだよ。」
「……それもそっか。」
二人は昼食を続けるのであった。




