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会話と笑顔。
それに溢れていた。
しかし、今日はそれが皆無であったのだ。
「ごちそうさま。」
「……ご、ごちそうさま……でした。」
昼食が終わった。
二人の間に言葉のキャッチボールはなかった。
放課後。
「か、帰ろっか……。」
「うん。」
未だぎこちないあい。
そして、そんな彼女とはうって変わって今まで通りのまい。
二人は今朝とは違い、ともに通学路を歩いていくのであった。
無言。
車の音や、住宅から聞こえる生活音。
それらのみが二人の間にあった。
「あっ……。」
まいが立ち止まる。
「え、ど、どうした?」
急に止まり、声をあげたまいに驚く。
そんなあいの声は、情けなく上擦ってしまっていた。
「スーパー寄ってって良い?」
「え?い、良いけど何買うの?」
突然の申し出。
なぜこのタイミングなのだろう。
「お刺身。」
「お刺身。」
訳が分からずおうむ返しするあい。
ますます謎が深まる。
「そう。昨日の仕返しをしなきゃだし。」
そうだ。
昨日のことだ。
「そうだよ!昨日何があったの!?……わ、私覚えてないし……。」
「本当に?」
「ほ、本当だよ……。」
「……ふーん。あんなことまでしたのに……。初めてだったのに……。」
「ま、まい……さん?あのぉ……?」
「良いよ、思い出させてあげる。昨日あいにされたことと同じことしてあげる。」
そう言うまいの笑みは、あいの背筋を凍らせるものであった。
昨日何があったのか。
それは分からない。
しかし、これだけは分かる。
「……お、お手柔らかに……お願いします。」
恐らく無事に帰れないだろう。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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2019年12月14日
あさまる




