13ー1
ざわざわ。
昼休み。
あいとまいが二人で昼食を食べていた。
いつも通り。
それは、いつも通りの当たり前の光景であった。
それほど当たり前であった為、クラスメイト達も彼女らに特別注目することはなかった。
しかし、今日は違う。
チラチラと周りが彼女ら二人を見ているのだ。
原因は分かっている。
陽子だ。
しかし、件の彼女は教室にいない。
また逃げたのだ。
ため息。
あいとまい、両者からこぼれる。
食欲などあるわけがない。
そうそうに片付けると、二人は教室を出た。
「あ、あのっ!」
二人の背中へ向けられた声。
あい達が振り返ると、そこには何人かの女子生徒達がいた。
「そ、その……。」
目を逸らし、言いずらそうに渋っている。
彼女らの言おうとしていることなど分かる。
「……陽子が言ってたことでしょ?」
あいが言う。
こうでもしなければ先へ進まないだろう。
コクリ。
彼女の言葉に頷いた。
「……私達がその……そういう関係じゃないかってやつでしょ?」
コクリ。
続けて言ったまいの言葉にも頷いた。
「そんなわけないよ。皆だって分かってるでしょ?」
あいが更に続ける。
頷かない。
目を背けている。
つまり、否定の意思だ。
あぁ、そうか。
もう何も言うまい。
両者の視線が合う。
皮肉なことに、あいとまい、互いに何を考えているか分かってしまった。
「……で、どうする?」
時は進み、放課後。
疲れきった様子のあい。
「どうするって言っても……。」
同じく疲労しているまい。
二人で通学路を通っている。
いつもなら、同じ歩幅である為、どちらかが置いていかれるなどなかった。
しかし、今日は違った。
何か急いでいるのか、それとも他の理由からか、あいの歩幅が大きく、速度も速い。
それに着いていこうと、まいは早歩きになっていた。
ピタッ。
突如足を止めるあい。
「お、思いきってさ……。」
あいの声が震えている。




