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「そもそもなんで海とプールが嫌なの?」
核心を突くあいの質問。
グサリ。
まいの胸に見えない槍が刺さるような感覚。
「い、いやーそのー……。」
たらりと彼女の頬を汗が伝う。
「私とまいの間なんだから何も言い淀まなくても良いんじゃない?」
あいがあっけらかんに言う。
まぁ、それもそうか。
まいの脳内を走馬灯のように駆け巡る過去の記憶。
彼女の父の性癖を知ってしまった。
女体盛り。
わかめコーラ。
ろくなものではなかった。
「そ、その……海とかプールってさ、肌の露出が多いじゃん……。」
「あー、太ったんだ。」
こいつには言葉をオブラートに包むという気持ちはないのだろうか。
殴ってやろうか。
拳を握り、頭上に高々と掲げるまい。
ゴチン!
「ごめんなさい……。」
ヒリヒリ。
頭頂部を抑え、涙目でしゃがみこむあい。
まいは我慢できなかった。
「……いや、こっちこそ手出してごめん。」
痛み分け。
なのだろうか?
結局二人は市営の図書館で宿題をすることとなった。
「あれ!?遊びは!?」
館内に響くあいの声。
「うるさいよ、図書館では静かに。」
そんな彼女をまいが制止するのであった。




