2ー1
「あんたら二人仲良いよね。」
ある日の教室。
桜が間もなく散り、葉桜になる頃。
朝、授業が始まる前。
クラスメイトの一人である佐倉陽子が、あいとまい二人へ向けてそんなことを言う。
「まぁ、否定はしないよ。」
やれやれ。
そう言いたそうなあい。
「私達幼馴染だからね。」
まいが続ける。
「仲良いと言えば仲良いかな。」
「更に言うと、私達のお母さん達も仲良いよ。」
「ふーん、どう?凄いでしょ?」
鼻息が荒い。
そして、したり顔をするあいであった。
「いや、凄いよあんたら。一人で話すことを二人で交互に話してるじゃん、リレーじゃん。」
苦笑いの陽子。
目に見えて、引いているのが、あいにもまいにも分かった。
「いやいや、引かないでよ。」
少し焦るまい。
「ほら、あれよ?世間一般の親友レベルよ?」
目が泳ぐあい。
「まぁ、良いや。」
特に気にしていない様子の陽子。
安堵のため息。
あいとまいは同時に出したのであった。
「え、えぇ……ため息も合うの……?」
ピクピク。
陽子の眉が痙攣していた。
昼休み。
いつも通り、あいとまいは机を繋げ、弁当を食べていた。
「由々しき事態だね。」
「え?何が?」
大きく口を開け、米を迎え入れようとしていたまい。
手を止め、あいの言葉へ反応を示した。
「私達ただ事じゃない関係だと思われてるよ!」
ばん!
机を叩く。
ビクッ。
驚くまい。
目を見開き、小さく一瞬震える。
小動物のような驚き方をしてしまった。
「た、ただ事じゃないこと……?」
あいの言葉を反復するまい。
「い、いやぁ……だ、だからぁ……そのぉ……。」
まいの真っ直ぐな瞳。
それに、しどろもどろになるあい。
彼女から目を逸らし、徐々に顔が赤くなっていく。
「……トイレ?」
「ち、違わいっ!ピチピチのJKはトイレせんわいっ!」
反論するあいの声。
それは段々と大きくなり、所々上擦っていくのであった。




