7ー2
静寂。
部屋に置かれている置時計の秒針の音が部屋に響く。
「あはは、ごめんね。多分まいが無理矢理連れて来たんだよね?」
その静寂を破ったのはあいであった。
正解。
しかし、馬鹿正直に言えるわけがない。
「いや、私も結月のこと心配だったから着いてきただけだよ。」
それは、無難な返答であった。
しかし、それもあながち間違いではなかった。
陽子の言葉。
それはあいにとって嬉しいことであった。
「あ、ありがと……。えへへ、嬉しいな……まい以外が来てくれたの初めてだから……。」
風邪で弱っているからか。
ふにゃふにゃした笑顔を見せるあいであった。
これが真の萌えか。
ジャパニーズクールサブカルチャーか。
陽子は心の中で感涙するのであった。
「……あ、あはは、迷惑じゃなさそうで嬉しい。」
照れ隠しに笑って見せる。
今日は来て良かった。
そう思う陽子は、胸に心地良い温もりを感じるのであった。
先ほどの気まずさは、そこにはなかった。
「お待たせー。取り合えずリンゴジュースだよ。あいは買ってきたスポーツドリンク飲んでね。」
盆にペットボトルの飲み物とコップを置いた物を持ってきたまいであった。
「あ、ありがと。」
「はーい。あ、まい飲ませてよー。」
座ったまいへ身体を押し付けるあい。
「えー?……今日だけだよ?」
ガサガサ。
持ってきていたビニール袋からスポーツドリンクをとり出しコップへ注ぐ。
「おー。風邪引いてるからいつもより優しいなぁ。」
「ふふ、明日から反動でキツくするからよろしくね。」
その後、あいの体調を見ながらではあるが、三人は日が暮れ、母が帰宅するまで談笑するのであった。
帰宅した陽子。
自室のパソコンを立ち上げた。
「……お見舞い百合……。ベタだけど看病プレイも良さそうだ……。」
カタカタカタ。
慣れた手つきでキーボードを打つ。
あい達が苦戦していたタッチタイピングを意図も簡単にやってのけた。




