7ー1
ガチャリ。
まいがインターホンを鳴らした少し後、玄関の扉が開いた。
「あっ、まい来てくれたんだ……。あれ?佐倉さん?」
声の主は、あいであった。
マスクを着け、額には冷却シートを貼っている。
いつもは綺麗なサラサラな金色の髪。
それが今日はボサボサになっていた。
恐らく今の今まで寝ていたのだろう。
普段とは違う姿のあい。
彼女のファンが見たらどうリアクションをするだろう。
喜ぶだろうか?
それともがっかりするだろうか?
「凄いね、一昔前のネット配信者みたい。」
クスクスと笑うまい。
「えー?マスクだけじゃん。」
ゴホゴホ。
咳き込みながら笑うあい。
「ゆ、結月大丈夫?」
「うん、ありがとう。……えっと、取り合えず入って。」
「お邪魔しまーす。」
「お、お邪魔します……。」
フラフラと左右に揺れるあい。
まいは、なにも言わずにそんな彼女を靴を脱ぐや否や背後から肩を回して支えた。
その為、彼女の脱いだ靴は乱雑に置かれていた。
それを直すと陽子も彼女らの後についていくのであった。
「おばさんは?」
まいがあいへ聞く。
「買い物。多分夕方には帰ってくると思う。……だから嬉しかった……かな?あ、あはは……。」
「ふ、ふーん……。」
風邪の娘を夕方まで一人にさせておくとは相変わらず破天荒だな。
そう思うまいであった。
また、小っ恥ずかしい空気に、思わず目を反らしてしまうのであった。
リビングへ来たまい達。
そして、二人をソファーへ座らせると、そのまま冷蔵庫へ飲み物を取りに行こうとするまい。
「いや、私やるから座っててよ。」
そう言うと、あいを強引に座らせようとするまい。
「え、でもお客だし……。」
「今さらでしょ、早く座って。」
両肩を上から目一杯体重をかけて無理矢理あいを座らせるのであった。
「じゃあ、ちょっと待っててね。」
まいが部屋を出る。
あいと陽子、二人きりとなった。




