6ー2
彼女らは紅茶の入った水筒を置き、会員の一人が作ったクッキーを広げ、即席お茶会をしている。
しかし、それらにはあまり手がつけられていなかった。
そして、そんな彼女らの視線は、どこか寂しそうなまいへと向けられていた。
もちろん彼女らも帰宅する素振りは見せなかった。
「聞いてみれば良いじゃん。」
ヒソヒソと話していた姫の黒髪を撫でたい会、会員達。
しかし、次第にその声は大きくなり、近くの席で授業の準備をしていた陽子の耳に届いた。
そして、そんな彼女が口を開いたのだった。
「なっ!?そんな恐れ多いこと……。」
「そうですわ!佐倉さんこそあのお二人に馴れ馴れしいのではなくて!?」
「え、えぇ……馴れ馴れしいって……。そんな……クラスメイトだし……。」
ここまで過剰な反応をされるとは思っていなかった。
そんな反応に、つい苦笑いをしてしまう陽子であった。
確かに彼女らは美人だ。
しかし、話すくらいは出来るのではないだろうか?
疑問に思う陽子であった。
「な、なら佐倉さんが聞いてきて下さいな!」
陽子にとって、意外な提案であった。
「えぇ、なんか嫌だなぁ……。」
「ほら、あーん。」
差し出されるクッキー。
パクリ。
つい出された物を食べてしまった陽子。
ポリポリ。
陽子の口から咀嚼音。
「あっ、しまった……。まぁ、良いよ。美味しいクッキー食べちゃったし……。」
咄嗟とはいえ、食べてしまった手前、断れない。
そう思った陽子はまいの元へ向かうのであった。
「よ、片割れさん。」
「あー、どうも……。」
グデーッと机に突っ伏して目を瞑っているまい。
チラリと陽子を一瞬見ると、すぐさま目を閉じた。
「……あんたってそんなんだっけ?結月がいないとキャラ変わるんだね。」
はぁ、とため息をつく。
陽子が彼女ら二人と同じクラスになったのは、今年が始めてだ。
初めは見た目通りなクールで知的な人間だと思っていた。
しかし、そんな彼女のイメージはことごとく壊されたのであった。
それ以降はこのように接している。