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マウスをクリックし、一番上のサイトを開く。
その刹那、部屋中に響き渡る海外の女性の雄たけびならぬ、雌たけび。
以前動画サイトを見ていた時に、自室ということもあり、イヤホンをせずに見ていた。
元の動画の音声が小さかった為、音量最大にしていた。
そのことを忘れ、その時の設定のままになっていたのだ。
「ごっ!?」
「ちょっ!?」
すぐさま状況を理解したまい。
あいの手からマウスを強引に奪うのであった。
そしてすぐさまブラウザバックするのであった。
それは、いつも彼女の母親がノックなしに部屋へ入ってくる時とは比べ物にならないほどの速さであった。
「……きょ、今日はもう解散しよう。」
「そ、そうだね。また明日。」
お互い確認するまでもないほど真っ赤な顔。
俯きながらそそくさと退散するあい。
そしてそれを見ることなくパソコンを消すまい。
こうして彼女らはまた一つ大人になるのであった。
「……す、凄かった……。あんな風になるんだ……。」
一人になった部屋。
一人で帰る歩道。
二人はほぼ同時刻にそう呟くのであった。