5ー2
「ただいまー。」
まいが玄関を開ける。
「あら、おかえり。」
まいの後ろからあいが彼女の家へ入って来る。
まいの母親の真似だろうか。
それにしては低クオリティーなものであった。
「はい、ただいま。あんたはお邪魔します、でしょ。」
二人はまいの部屋へと向かって行くのであった。
ちゃぶ台と座布団。
それとベッドと本棚とクローゼット。
シンプルな部屋であり、以前あいが強行したことにより、女体盛りを行った会場でもある。
「よっこいしょ。」
座布団に座るあい。
当たり前のようにちゃぶ台の上に置かれている、まいのノートパソコンを広げる。
そして慣れた手つきで起動するのであった。
「あっ、最早断りもないんだね。」
まいは、彼女の暴走をもう諦めた目で見ていた。
「さぁ、カタカタキーボード鳴らすぞー。ほら、まいも来てよ。」
「あ、はい。」
あいの隣に座布団を敷き、腰かけるまい。
インターネットを立ち上げる。
「何調べる?」
キラキラと目が輝いているあい。
「……え?エンターキー押したいだけならワードかエクセルで良いんじゃないの?」
「えー、つまんないじゃん。」
「つまんないって……。」
「……駄目?」
あいの上目遣い。
普段こんな媚びた行動はしない。
だからこそなのだろう。
いざという時、まさに今のような状況には効果を発揮するのだろう。
「……ま、まぁ良いよ。」
まいはプイッとそっぽを向く。
チラリとあいの目に写った彼女の耳は真っ赤であった。
「ふふ、まいチョロいなぁ……。」
「ほ、ほら早く!」
まいは、恥ずかしさを誤魔化すように声を荒らげるのであった。
「ごめん、ごめん。」
ニシシと笑うあい。
しかし、いざ何かを一緒に調べるとなると、何を調べるか悩んでしまうのであった。
特に調べたいものもなければ、ネットで何かを見たいというわけでもなかったのだ。
「そうだ、タッチタイピングで適当に文字打ってそれで出てきたのを調べようよ。」
悩んだ末のあいの言葉であった。