4ー2
まいの悲鳴を聞き付け、あいの両親が部屋の扉を開けた。
そこには彼らの想像もしていなかった光景が広がっていたのだ。
「ちょっ、ちょっと待って!見ないでっ!」
彼らの視線に気づいたまい。
彼女は炭酸の痛みに苦しみ、羞恥に悶えながらも彼女の肌を隠そうとした。
コーラは床に溢してはならない。
なぜかそんな使命感に駆られたまい。
結局その後数分に及び太ももの隙間にコーラの池を作っていたのであった。
その後の動乱は、まさに修羅場と呼べるものであった。
床に広がっていくコーラ。
それを死んだ魚のような目で拭くあいとまい。
それを見つめることしか出来ずにいる彼女の両親。
彼らの目も酷いものであった。
「まいが不問にしてくれたから良かったけど、本当だったらあの後まいのお母さん達にも土下座しに行かなきゃ行けなかったから良かったよ……。」
「不問にはしてないけどね。」
「えっ!?」
ガタン。
椅子から勢い良く立ち上がるあい。
そのせいで椅子は倒れてしまった。
しかし、今の彼女にはそんなことは些末なことであり、一々構っていられるようなものではなかった。
その目は見開き驚愕の表情を浮かべている。
「不問になるわけないでしょ!?なんでびっくりしてるの!?」
堪らず声を荒らげるまい。
許されたと思っていたのか。
あまりの驚愕に、開いた口が閉まらなかった。
どうやら同じ屈辱を味わわなければ分からないようだ。
目の前のあいを見つめながら思考するまいであった。
「ど、どーしたら許してもらえますかねぇー?」
媚を売るような笑みを浮かべるあい。
さて、どうしたものか。
この状況を利用しないわけにはいかない。
ニヤリ。
まいは不適な笑みを浮かべる。
しまった。
下手に出過ぎたようだ。
あいの額から、冷や汗がタラリと垂れ落ちる。
「じゃあ週末、楽しみにしてるから。」
にっこり。
状況を知らなければ美しい笑顔のまい。