なぜ反論できんのだ!
少し長いです。
キーンコーンカーンコーン
「よっしゃあ!昼休みだ!メシ食いいくぞ!」
「うっさいなぁ。そんな声張り上げなくても聞こえてるよ」
「む、すまんな。高揚していたようだ」
「ま、慣れてるしいいけど。明日斗、行くでしょ?」
呼ばれたオレは顔を上げる。
「え、なに、もうそんな時間?マジかよ。オレ2時間目の5分あたりから記憶ねぇんだけど」
チャイムもわからんかったしな。あの馬鹿でかい声で起こされたわ。
「うそでしょ?だとしたらどうやって問題解いたのさ」
「ん~、多分無意識だわ。いや、確実に寝てたね」
「それでよくまっすぐ黒板いけるよね・・・」
ほぼ勘だ、ンなモン。
「と言うか早くメシだ。腹が減って仕方ない」
と、さっきの大声星人が言う。
「それもそうだな。さっさと行くか」
「はぁ、誰のせいだと思ってるのさ・・・」
いやぁ、いい天気ですねぇ。
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「ふぅ、食った食った。満足です」
「珍しく僕より遅いね。アイツもう丼5杯食べ終わってるよ」
「はい、ダウト。15分で丼5杯食えるか」
人間かアイツ。
「とは言っても実際食べちゃってるし・・・」
「マジかよ・・・」
3分で1杯ってもう人間じゃないじゃん。
少なくともオレには想像できんわ。つーか無理無理。
やろうとすら思わん。
「ふぅ、実に充実した時間だった」
噂をすればなんとやら。胃袋モンスターが帰ってきた。
「お帰り。美味かったかい?」
「ああ、美味すぎて5杯も食べてしまった!はっはっは!」
「へぇ、じゃあ僕も明日食べてみようかな」
今二人が話しているのはさっきまで胃袋モンスター――もとい御堂真が食べていた新メニューのことだ。
確かに男子高校生にウケそうな丼だ。オレも食おうかな。
「しゃべってんのはいいけどさー、もうそろチャイムなるぞ」
時計の長針はすでに授業開始2分前を指している。
「あらら、ホントだ。じゃあ行こう」
そう言って天道悠哉が立ち上がる。
「そうだな、早くしないと遅れてしまう」
真も立ち上がったので、
「良し、行こうぜ」
とオレが言って歩き出す。次は――現国か。ラッキー、オレの好きな授業だ♪
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キーンコーンカーンコーン
「じゃ、今日はここまで。帰りに席次と通知表が渡されるから」
と、数学の教諭が去り際に残した一言で教室内は騒々しくなる。
「まじかよ」「今回自信あるんだよねー」「やばい、これでまた下がったら俺は・・・」
と言った感じに。
(なんでみんな席次とか内申の心配すんのかなー。
んなもん―――)
とか思ってると、担任がドアを開けて入ってきた。
手には席次と恐らく通知表を入れている茶色のでっかい封筒を持っている。
ちなみにこの担任、顔もよくて性格もいわゆる天然なので実は結構生徒に人気である。
「さて、今から席次と通知表を返すぞ。まず、席次1桁を発表しようか。
呼ばれたら取りに来てね。
まず1番・・・またかー。一之瀬明日斗、10教科総合1000点。うわ、先生流石にびっくりだぞ。
次に3番はっと・・・天道悠哉、10教科総合989点。これで3番ってのもちょっとかわいそうだよなぁ。
最後だ。・・・三宮叶架、10教科総合988点で4番だ。おしかったなー。
・・・て感じだな。後はもうちょいってやつが2・・・いや、3名だなー。一之瀬みたいにはならなくていいけど、頑張れー」
「ちょ、最後のコメント!ひどくね!?」
「これが教師陣の総意だぞ。そもそも授業中寝てるやつに5をあげないといけないワタシたちの気持ちを君は推して量るべきだと思うぞ?」
「くっ・・・!反論できん・・・!」
だってつまんないんだもん。
「後は普通に返していくぞー名前呼ぶから前に来てくれー」
「今回もオレの勝ちだったな」
オレはそう言って叶架を見る。
「悔しいけど私の負けね。というかおかしいでしょ。カンニングしてない?」
「するかそんなめんどいこと。そんなことするよりさっさと終わらせて寝る方が大切」
「それを素で言ってる気が知れないわ・・・。本気でトップ狙ってる人たちに謝りなさい。今すぐ」
「やーだね。本気とかで実力差を埋められたら文句ねぇよ」
オレはそう言って席を立つ。
「とにかくオレは帰る。バイバイ」
「とか言いながら見捨てないくせに・・・」
その呟きが聞こえた瞬間
「明日斗!どうしてここがこうなるんだい!?」
「ここの公式はこれで合っているはずだ!どういうことなんだ!?」
など、質問の嵐がやってきた。
「あああもう!!うるっせぇんだよ!教えるから一人ずつ訊きに来い!」
はぁ・・・マジでメンドくさい。さっさと終わらないかなー。
そんな感じで結局終わったのは陽が地平線に隠れたころだった。
「嘘だろ・・・」
オレは時計をみて愕然とする。
ありえん、ふざけとる。
「まぁ、がんばったと思うわよ?少なくとも私よりは」
そうなんだよなー。
叶架は顔面偏差値が余裕で53万くらいはある。脚も長く身長も168cmだと聞く。
それでいて頭もいいので、テストでは毎回男子に問題の解き方を教えている。
もちろん女友達も多いので女子にも訊かれてはいるが、当の本人は・・・
「ほんとに教えられる気あるのかしら・・・?」
などと天然まじりのことを言っている。いや、ある意味鋭いか。
「じゃ、オレこっちだから」
といって叶架と別れる。
「うん、また明日ね。・・・明日も、来る?」
「たりめーだっつの。皆勤賞とるぞオレは」
そう軽口をいって叶架と別れた。
そろそろ迎えがくるかな。ベンツ目立つからやめて欲しいんだけど・・・。
とか考えていると
『・・・あー聞こえますかー?』
と、恐らくまだ幼いであろう少女の声がした。
『時間も無いので省略します。要点をつたえます』
と、意味の分からない事をいう声の主。しかし次に発せられた言葉はオレの常識を疑わせた。
『あなたを異世界へ連れて行きます』
「はぁ?なに言って・・・・・・ッ!!??」
文句を言おうとしたとき、オレは急に眩い光に包まれた。
おまけ
帰り道
「そういえばさー」
「ん?」
「明日斗ってさ、みんなから何でもできるなーって思われてるけど、その実
高いところにのぼれないよねー。あれってなんで?」
「んー秘密だ。そもそも苦手に理由はないぞ?」
「いや、私の直感が何かあると告げている・・・!」
「なんだそれ。・・・昔の話さ(ボソッ」
「なにか言った?」
「何でもねぇよ。ほら行くぞ」
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