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KAGUYA __月面blood__  作者: 質川類
第一章:コペルニクス·ダウン
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回答する疑問

「·····にしても、ホントなにも残ってないんだな」


真っ暗闇の中を、ヘッドライトの円灯がくりぬくようにか細く照らす。

天井は目測で10m超。

広さも一辺100mは確実に越えているだろう。

パンフでは『A、B、C階層に23箇所の倉庫があり、更に面積別にそれぞれS.M.Lとクラス分けされている』と書かれていたが、そうなるとこの『A-23L』はA階層では何番目の広さなのか。そしてこの倉庫だけでもどれほどの物資が貯蔵できるのか。

天井一杯まで段ボールが積み上がる幻想をみて背筋を寒くしたときに耳元から宮野(ミヤ)の声が聞こえた。


『·····音が、全く聞こえないな』


「そうだね····ゲームを無音でプレイしてる気分だ」


地上なら、今尚響いて然るべき『堕天使(サリエル)』の猛攻による爆音轟音破砕音。

それが、気圧、大気0の月では音を響かせるだけの振動は得られない。無論、足元から振動は伝わってくるが、それだけだ。

この格納庫の中にいると、危険なほど『安全そう』な錯覚に陥る。なにも聞こえないと言うことがここまで現実感を奪うと、ようやく実感が沸いてきた。


「·····ミヤ、管理タブレットがある」


無音の箱のなかをうろつくこと暫く。

内部への扉と、その脇の壁にかけられていたタブレットを見つけた。

宮野(ミヤ)が『なにかあったか?』と尋ねる。


「待ってくれ、今つける·····ついた」


長方形の光源が一つ増える。

見やすいように画面を照らしすぎて文字を見にくくしているヘッドライトを消した。


『履歴は?』


コツン、と側頭部に軽い衝撃と共に耳元のスピーカーからミヤの声が聞こえてくる。


「·····一番古いのは一ヶ月前。で、最新は······昨日?」


『今日のは?』


「ない····」


出荷履歴、搬入履歴共に昨日で記録は止まっていた。

しかも。


「······これ、おかしい」


『だな。······なんで昨日、俺達の支給装備類しか搬入してないんだよ····基本支給装備は『B23-L(ガレージ)』で、もう一個は····なるほど、『専用武器』だな』


「専用武器は『C15-S』か。·····あぁあと、これみてくれ」


昨日の日付の出荷履歴を押し、項目一覧を表示する。

そこには過去一ヶ月からは考えられないほどの量を各基地に搬送していた事実が記載されていた。


『····まさか、今まで溜め込んでたヤツ全部吐き出したってのか?』


「そう考えるとこの空っぽの倉庫も納得がいく」


『A23-L』も含めた、すべての倉庫から出荷待ちだった荷物が緊急出荷されている。

まるで、なにかに急かされたように、突然。


『なんでこんなに急いで吐き出した?』


ミヤが純粋かつ素朴な疑問を出す。


「分からない。····でも、もしかしたら今の襲撃と関係あるかも」


『_______な、はぁ!?ふざけんな!』


突然つんざくスピーカーからの声が許容音量オーバーで割れる。


『なんだ?ってことは知ってたってのか?アレがここに、今日来るって!なんだよそれ!空っぽの基地でアレに殺されて死ねって!?

『堕天使(サリエル)』って『地球人(テラリアン)』の兵器なのか?口封じの一環ってか!?』


「ミヤ、どうした?」


『うるせぇ!ふざけんな、ふざけんなよ、俺は口封じされに月まで来たんじゃねぇ!』


僕の言葉を拒絶し、ひたすら喚くミヤ。

彼の豹変ぶりに思わずタブレットを落としそうになる。

国連軍が仮に今回の『堕天使(サリエル)』襲撃を知っててこんな対応を取ったのだとしたら、度しがたい状況だ。もしかしたら僕らを『待機状態』のまま皆殺しにしてしまう魂胆なのかもしれない。

だが、そうなると僕達『第02対機甲新人兵団』は軍にそうさせるだけの理由を持っていることになる。

僕達の存在が邪魔なら月面に派遣しなければいいし、なにより『訓練校』など作らなければいい。

月面人ルナリアン』のせいにしたかったとしても、大規模物流拠点を一つ潰してまで僕達を襲う理由はなんなのか。

そもそも、この『コペルニクス』は表の、それも後方支援目的の基地なのだ。

『ガッセンディ』や『エンディミオン』などの前線基地ならいざ知らず、『裏』を占拠、言い換えれば『表』に上がってこれないはずの『月面人(ルナリアン)』が前線基地を抜いて、防空監視網を掻い潜っていきなり『表』の基地を強襲、さらに完全破壊、隊員は全員死亡····などと言う事態に陥る方がよっぽど国連軍の信用を損なう。最悪『月から撤退』なんて事態に陥りかねない。

すべてにおいて、辻褄が、説明が合わないのだ。

タブレットを片手に持ったまま振り返ると、彼は数メートル離れた所でしゃがみこんで頭を抱え、『こんなはすじゃなかった』『わざわざ全員巻き込むとかどうかしてる』『基地一個潰してまでしたかったクソ隠しがこのザマかよ』と嘆いていた。


「ミヤ」


『······あんだよ?』


「落ち着いた?」


『俺はハナから冷静だよクソ。いきなりラスボスなんだ、武者震いがとまんねぇぜ』


「··········」


『なんだよ』


「·····いや、·····今さっき、なんで『口封じ』って言ったんだろうって思って」


『っ、····そう思っただけだ。特に意味はねぇよ』


声音は、明らかにそこから先の追求を拒んでいた。


「·······そう、分かった。『今は』話さなくてもいい。僕も聞かないよ」


『····』


僅かにはいったノイズがため息に聞こえたのは、多分気のせいだ。


「·····行こう、出るにしても隠れるにしても『専用武器』は持っとかないと」


そう一方的に言い、僕は管理タブレットのかかっていた目の前のドアを蹴破った。

疑心暗鬼渦巻く第七話。

『よく考えると色々おかしい事態』に主人公達が気づき始めました。


サク「ホントどうしたの?いきなり叫ばれるから驚いた」

ミヤ「ぶっちゃけワ類ちゃんがそう書いただけなんだけどな。俺そこまでサイコパスじゃねぇってな」

サク「どうでもいいけどいい加減その○○ってなって口癖どうにかしなよ」

ミヤ「うっせ、キャラ立ち要素だってな」


メタメタしくぶっこむねぇアンタら····。

ではでは!

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