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KAGUYA __月面blood__  作者: 質川類
第一章:コペルニクス·ダウン
6/9

どす黒くなった純粋心

KAGUYA __月面juriet__

『どす黒い純粋心』

コペルニクス防衛戦4.


「____どうする、ミヤ!」


『芋一択!』


あれから俺達は晴れない土煙と飛んでくる壁や岩を避けながら、地面に突き刺さった基地の外装に背中を押し付けていた。

二人とも息も絶え絶えで、バイザー左端の心拍数のアラートが煩いが、そんなのなくても自分の心臓がうるさいのがわかった。


「芋一択って、どこに隠れるんだよ」


『そこら中に遮蔽物だけは一杯あるだろ!』


彼の余裕の無い声が耳元でノイズ混じりに響く。

息を整える暇もなく影が背後から頭上を越え、僕達の目の前で地面に激突、砂埃を巻き上げた。


『_______!』


思わず硬直する。

何も出来ずに砂埃が晴れるのを待つこと数秒。

小さい重力のせいで中々晴れないが、なんとか地面は砂埃の隙間からでも見えるようになった。


『ひっ·····』


耳元から、ひきつった音が聞こえた。ノイズ混じりの荒い息はこちらの呼吸まで乱してくる。


_____『中身』の詰まったヘルメット。

目を限界まで見開き、ヒビの入ったバイザーを赤色と黄色の吐瀉物で汚した『誰か』だったナニカ。

その目に吸い込まれるように目線が動かせなくなっていたところを再度強引に引っ張られた。


『い、行くぞサクヤ!』


「いくって、何処に!?」


ミヤの上ずった声に思わず怒鳴りつつも、ミヤの手をふりほどいてなんとか足を動かす。


『基地だ!基地の防空応戦力はまだ生きてる!』


「基地って···!」


それは真っ先に考えた。

だが。

焦土と砂埃による煙幕に覆われた視線を上げる。

あれほど巨大で広大だった白亜の基地。

_____それがいまや、半分瓦礫の山だ。

基地の対空レールガンが一本放たれる暇でレーザーが10本はぶちこまれている。

巨大広大極まる『コペルニクス基地』の外装は黒い穴で蜂の巣にされ、引き剥がされ、砕けて穿たれていた。

それも現在進行形で『堕天使(サリエル)』の砲撃を喰らい続けて着実にその機能を剥ぎ取られ、削り殺されている。

しかも走りながら空を見上げると、小さいのが主にレーザーを吐き出しているのが分かった。

あの『機甲兵器エネミーズ』の無人機(ドローン)か?


「基地に逃げ込んでどうするんだよ!?」


『どうもこうも、サリエル(天使サマ)が飽きるまで隠れとくんだよ!』


「僕たちだけか!?」


『他のやつもそう考えるよ!!多分な!』


基地の開いていた気密扉の中に飛び込み、気密扉を閉じる。

送電線がやられたのか電源が死んだのか。

廊下は非常灯すら点かず、光源0の闇だったのでヘッドライトをつける。


『ちっくしょう、いつまで待機なんだよ!さっさと逃がせよクソ司令!』


「聞こえるだろ、やめろよ」


ヤケクソ気味に基地の奥へと突き進むミヤに声をかける。

すると、ピタリと止まったミヤが振り返った。

その視線は酷く冷ややかで。まるで盛り上がったパーティーが一瞬で冷めたような感じだった。


『聞こえてねぇよ、俺らの声は』


「何でだよ?」


『これ、個人チャンネルだから』


コッ,コッ、と目の前でミヤがヘルメット越しにこめかみを叩く音が耳に伝わる。


「じゃあオープンチャンネルは?」


『開けてみろよ。でも俺は聞かない』


言うや否やブツッと回線が切断された。

·····こっちの音も向こうに伝わるから、か。

若干の恐怖と好奇心に押され、タッチパネルも兼ねるバイザーに指を置き、『kanata miyano』から『open channel』に切り替えた、


『ザザザ《マイケル!マイk《くそう野郎は《いやだぁぁあ死にたくない《皆!o《うるせー!えらいひdbaぐぬぁザザザ《イヤァァァァァア!《ザザザザザ!《たすけ《たすけてよぉぉお!》ザザザザザ!《ぼくだぢじぬなんで《あああぁぁぁあaA

《なんなんだよ!なんなんだよ!《熱い熱いあつ《入れてよ!いr《どこにいるのよ!?《アハハハハハハハハハハハハハハ《いぎがでぎn


ブツンッ!


「はぁッ!、はぁッ!、はぁッ、はぁッ····はぁ」


中身がこぼれた箱を夢中で閉じるような勢いで《open channel》を切断する。

しょっぱなからなんて所に放り出されたんだ。


頭に叩き込まれた音声の残響が脳に響いている中、視界に再び『miyano kanata』の文字が点滅した。

タッチし、個人チャンネルを承諾する。


『どうだ?』


不機嫌そうな、低い声。だが『規律の取れた言葉』がここまで安心感をもたらすとは思いもしなかった。


「····これ、聞いたのか」


『だから言ったろ』


それからは、お互い一言も話さずに基地の廊下を進み、天井が一際高く、広い部屋へとたどり着いた。


『A-23L、か』


半開きのまま事切れた扉に塗装された文字を照らし、無感情に読むミヤ。


「····空っぽだ」


ただでさえ無音のこの星で、尚この部屋は静寂に包まれていた。

段ボールひとつない、この体育館程もある広大な部屋はもう使われなくなったのか。


『どうせ偉いさん共がえっちらおっちら運び出したんだろ』


吐き捨てるように言いながら照明の落ちただだっ広い空間を歩く。

二歩歩く間隔で足元から振動が響いてきた。ここをレーザーが貫くのも時間の問題だろう。


「なぁ、ミヤ」


『なんだ?』


「····ルナの安否は、確認したか?」


『まだだ』


彼の回答は単純だった。


「····なら、探しにいかないと」


『どうやって?個人チャンネルは繋がってねぇぞ。向こうのコード知らねぇから』


「だったら直接探しにいけば良いじゃないか。僕を探したのと同じように」


『バカ言うな。あれは吹っ飛ばされたときにたまたまお前が近くにいたってだけだ!ルナはおろか、今んとこお前以外生存者なんか見てねぇんだよ!』


ミヤのヘッドライトが激しく左右に揺れる。


『そりゃオープンチャンネル聞く限りじゃまだ生き残りはいるだろうよ。でも聞いただろ?あの地獄狂を。どいつもコイツも半狂乱だ!ルナは肝が据わってるからまだ冷静さは手放してないかもな。けどさ!それを信じてのこのこ『あの外』に探しに行ってどうなる!?

相手は『堕天使(サリエル)』だ、『月の王』だ!レーザーでさっきの生首みてぇに吹っ飛ばされるのがオチだ!』


一息に言い切ると、僕から背を向ける。

そして、消え入るような掠れた声が続いた。


『·····俺は、誰かを助ける為に死にに行けるほど、勇敢じゃねぇ』


「ミヤ·····?」


『サク、お前は行けるのか?』


僕の声を遮り、言葉を続ける。


『外には『堕天使(サリエル)』、上官は指揮放棄、基地もなぶり殺しで陥落も時間の問題。こんなクソ広くて深いクレーターに逃げ場所なんかねぇし、もしかしたら、次の瞬間この部屋もぶっ飛んで俺たちも肉塊に仲間入りするかもしれねぇな。

·······そんな状況でも、まだ仲間を助けようって言えるのか?そんな余裕あんのかよ?』


言葉を失った。

僕は『事の起こり』を覚えていない。彼の口ぶりから察するに吹き飛ばされ、頭をぶつけたのだろう事は分かるが、それも推測でしかないし、今のミヤに聞くのは、トラウマを掘り起こす事でしかない。

ミヤのこんな弱気な姿は初めて見た。

そして同時に、彼の口調にひっかかりを覚えた。

だが、それ以上に生き残らなければならないのも事実。

僕も結局。


「······そうだね。ルナ探すのは、アレ(サリエル)が退いてからにしよう」


自分の命が大切だ。

というわけでコペルニクス再突入回です。

生首飛びーの瓦礫が飛びーの発狂しーのスプラッタフルスロットルです。


サク「というか、僕ら早速メインヒロイン候補見捨てたね」

ミヤ「メインじゃなかったんだろ、ルナは。ポッと出の正妻ってな」

サク「え、まさか使い捨て?」

ミヤ「·······作者はきっと感動の展開を用意してるさ。アカデミーものってな」

サク「それは楽しみだ」


おいおまいら、ハードルあげんでくれるか?

ではでは!


※今週から毎週日曜更新になります。

なんとかこのペースは維持したいと思います。

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