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第28話 海の死神


 晴れ渡っていた昨日までとは違い今日は霧が立ち込め薄暗い。

 徐々に高まっていたと思われる気温も逆戻りだ。

 舵によりかかり進む先を見つめるが濃い霧で何も見えない。船の先端の灯りさえぼやけている。これでは見張り番も役に立たないのではないだろうか。

 これが現実ならば霧の湿気でさらに不快感が増していただろう。

 剣を振ったり談笑したりと活気に満ちていた甲板も今日は人の姿がなく静まり返っている。

(……いかにも、だな)

 もうじき時刻は夕刻。ここからは何が起きてもおかしくはない。

 しばらくそのままたたずんでいると船の照明に一気に明かりがともる。日の入り30分前の合図だ。

 そのまま立っているのも疲れ船首のほうへ歩み出す。

 胸に金のカンテラを抱く翼の生えた女神。それがこのフィティリス号の船首像だ。フィレインの女神像を模したものであることは明白だ。

 霧の中でもその瞳は前を見続け路を照らし続ける。

 近くで見れば見るほど本当に存在しそうなほど細やかな女性の像に初めて船の姿を見たときは感心していたものだった。どこか懐かしさと安堵を感じる。その顔がどこか幼さを残しているからだろう。顔だちも西洋というよりは日本など東洋のモノに近いため親近感がわく。

 もし彼女が歌ったらとても素晴らしい歌声なのだろう。

 今、聞こえているような小さいが澄んで人を心酔させるような、とても美しく荘厳な。

「……え?」

 そこまで考えて違和感に気が付く。

 この船に歌を歌うような人物はいない。女性プレイヤーならばなおさらだ。数えるほどしかいない。

 それより前に今、この甲板に出てきているのは見張り役の男性プレイヤーと私のみ。他には誰もいない。船の内部から歌声を響かせるのはシステム的に不可能だ。

「……っ!」

 腰に下げた剣を抜き放つ。

 その間も歌声は聞こえ続けていた。

 どこの言葉なのかはわからない。VR:PFOの自動翻訳機能でも翻訳できないということは造語なのか、はたまたそういう仕様なのか。

 だんだんと大きくなった歌声に同じ声質ではもりが入る。

(海……歌声……)

 どこから聞こえてくるかわからない歌声にあたりを見回しながら後退する。

 見張り台のある柱の根元まで来ると柱に背を預ける。

「……セイ、レーン!」

 思い当たるのはそれくらいだ。

 耳を塞ぐが歌声は響きづつける。直接頭に響いてくるような感覚にめまいがする。

 このような状況なのになぜ見張りは声をあげない。

 みなに知らせなくては。そう思い口を開くが声は出てこない。代わりに出てきたのはかすれた声だった。

 驚きステータスを確認するといくつもの状態異常のアイコンがついていた。

 中にはレベル4のものまである。これまでと変わらないのならば、ボス級のエネミーから受けたデバフだということになる。自然解除には7分。しかし、歌そのものがデバフだというのならば元を止めねば永遠にデバフはかかり続ける。

「くそっ……体が、重い……」

 思うように体が動かない。

 この状況で戦闘になればひとたまりもないだろう。

 助けを呼ぶなり、デバフを止めるなりしなければいけない。

 私は剣を掲げると切っ先を上へ向ける。

「スティリア=クリュスタルス、今ここに……その、力を解き放て」

 青い光が刀身を包んだかと思うと弾ける。

 次の瞬間、船が何かにぶつかったかのような衝撃が走る。船の周囲の海を凍結したのだ。万に一つ、ボスが海中にいてくれることを願ったが、それは叶わなかったらしい。

 歌声はさらに大きく荘厳に響く。

「うっ……くっ……」

 現実ならば無理矢理動くことはできただろう。

 だが、これはゲームだ。一定の基準以上の、システムを超えた行動はできない。

 新たにデバフが加わったのか視界が暗くなり、身体の重さが増して柱伝いに崩れ落ちる。何とか感覚はあるが動けない。

 初めて焦りを感じた。

 このゲームを始めて、ここまで多重にデバフを受けたことはない。デスゲーム以前のPFOを入れてもだ。死ぬとしても大体は操作ミスによるもの。本当の意味で追い込まれたのは、今回が初めてだ。

 ふと、船の上空に白い光が灯ったことに気が付いた。

 その光はたちまち複雑な魔方陣を描いたかと思うと眩しく輝く。

(まだ、何か来るのか……!?)

 こんな状態ではまともに太刀打ちできない。時間さえかければワイルドボアの群れでさえ私のHPを0にできるだろう。

 陣がつくりだした黒い靄の奥に赤い不気味な光が2つ灯る。

 姿を現したのは黒衣に身を包んだ人影だった。

 死神。

 そう呼ぶのがふさわしいだろう。所謂、死霊系エネミーと呼ばれるものだ。

 それだけならば雑魚エネミーが数種類存在している。何度かそういうオーダーも受けていたためパターンは知っている。だが、今目の前に現れた死神は一線を画す存在だということが一目でわかった。

 細かいことだが、黒衣にベルトやバックルなど装飾があること。なにより、その手に握られた巨大な鎌は鋭い光を放っている。

 ネームカーソルへ視線を移動させスキルを発動させる。

「!?」

 その結果に目を見張る。

 目の前に立つこのエネミーはザ・モルス=アルヴァディア・リーパー。

 わかったのが、それだけなのだ。

 普通ならここにレベルや弱点属性・部位、その他詳細情報が小さなウィンドウで開くはずなのだ。それがないということは、今の私よりはるかに格上だというわけだ。

 ソロでいる以上敵の情報を得ることはとても重要なこと。だからこそこのスキルはマックスまで上げている。そうなると残る可能性はあと1つ。

 レベルがはるかに高い。

 それだけだ。

 幸い動きはそこまで早くないのか、まだ私のことをターゲットとして見ていないのかふらふらと立ち上がることはできた。

 剣を構えなおすとザ・モルス=アルヴァディア・リーパーに向かって一歩踏み出す。

「やぁっ!」

 この状況でどこまでやれるかはわからない。しかし皆が来るまで持ちこたえなくてはいけない。

 剣を振り下ろすがキレはない。そんなことは分かっていた。

 容易に弾かれ吹き飛ばされる。

 なんとか立ち上がると己のHPバーを確認する。

「!」

 大したことはない。

 吹き飛ばされ叩きつけられたことによる追加ダメージなどそんな深刻なものではない。減っていて精々2、3ドッド程度。そんな認識は消えた。

 半分を下回り黄色くなったバーに目を見開く。

(こんな、無茶苦茶な!)

 このゲームは。理不尽なことはしない。

 それはディレクターであった結城のスタンスでもある。誰もが無限の可能性を追い求められるよう、手順さえ踏めばどんな強敵でも倒せるようになる。

(ボクらは、何かを見落とした……?)

 弾かれた程度でこれだけHPが損耗するというのならば、攻撃を受けた暁には。

 鎌が振り上げられる。

「あ……」

 いつぶりだろう。こんなにも自身の無力さを感じたのは。

 その間も歌声は響いていた。

「やらせるかああああぁぁぁぁぁっ!」

 割り込んできた黒い影が鎌を弾き上げ死神に体当たりする。

「おい、コイツを下がらせろっ! 私がしばらく注意をひく!」

「……トガ、だ、ダメ!」

「うるさい、黙っていろ! 私を誰だと思っている! 任せておけ!」

 数人のプレイヤーに抱えられて後方へ下がる。

 かざされたヒーラーたちの手から洩れる光を浴びるとデバフが解除されていく。同時にHPバーも満タンになる。

「よかった。……すぐに駆け付けたかったのですが、これの配布に時間がかかってしまいまして」

 イアンが差し出したのは銀製の十字架だ。首から下げられるよう鎖がついているがとても下げられるような大きさではない。見ると全員が利き手とは反対の手にそれを握っていた。

「デバフ防止アイテムです。むろんすべてとは言いませんが、多少は軽減されるはずです」

「そ、それよりも、トガが! アレは、ザ・モルス=アルヴァディア・リーパーは、危険だ! 名前以外見えなかったんだ!」

「ええ、こちらでも把握済みです。しかし彼女、こう言っていましたよ。『攻撃を受けなければいいのだろう』と」

 無茶だ。

 いくら軽減されるとはいえ多重にデバフを受けたうえで格上のボスエネミーの相手をするなど。

「ボクもでる!」

「待ちなさい! アルマ!」

 イアンの叫びを無視して立ち上がると甲板を走る。

 すっかり軽くなった身体はあっという間に甲板を走り抜ける。

(ボクは……!)

「この力、甘く見てもらわないでもらおうか!」

 空中で発動したハックバッシュで瞬時にザ・モルス=アルヴァディア・リーパーの背後に回り込み斬りあげる。相変わらず名前以外の情報は何も見えないが、赤いダメージエフェクトが今度ははっきりと表示される。

 タゲがこちらにうつったその隙に青い光がその黒い衣を突き抜ける。

 死神のその向こうに剣を前に突き出したトガの姿が見えた。

「行けるか!?」

「ああ!」

 死神の上を跳び越えるとトガの隣に並ぶ。

 無言の合図。私たちは左右に大きく跳ぶ。それまで私たちがいた場所には死神の鎌が振り下ろされていた。

「もらった!」

 アーツを発動させたトガががら空きの胴に突っ込む。敵のHPバーは見えないがかなりのダメージが入ったようだ。死神がのけぞる。

 私も続けて連撃系のアーツを発動する。

 宙に【2chain】と表示される。そのわきにはダメージ倍率の数字もだ。

「C隊、詠唱用意! B隊斉射用意! A隊突撃!」

 背後からイアンの声が響き詠唱の声と足音が続く。私に続けてアーツの光が場を駆け抜けチェインの数字は増えてゆく。

 それが終わると今度は銃による攻撃が続く。

「総員退避! タンクは前へ! C隊、回復用意」

 タワーシールドを持ったフルプレートのプレイヤーたちと入れ違いに後退する。

 迷いはあった。ザ・モルス=アルヴァディア・リーパーから受ける攻撃のダメージはとてつもないものだ。防御に特化したタンクであってもその攻撃を受けて大丈夫なのか。

 たとえバフがかかっていたとしても、果たして。

 念のため私も防御姿勢をとって死神の動向を見守る。

 のけぞりから回復したザ・モルス=アルヴァディア・リーパーは赤い瞳でタンクたちのほうを見るとゆっくりと鎌を振り上げる。

 そのままふり下げるのか、と思ったがザ・モルス=アルヴァディア・リーパーはその予想を裏切った。

 鎌をおろしたザ・モルス=アルヴァディア・リーパーは甲板を蹴り宙に浮きあがったのだ。そして怪しげなオーラを発した。どこか神々しくも見えてしまう銀色のオーラに目をとられているとどこからか歌が聞こえてきた。

 反撃を開始してから聞こえなくなっていたあの歌だ。

「聞いてはいけません!」

「だが、耳防いでも聞こえやがる!」

「落ち着いてください。十字の効果でデバフは……なに……!?」

 イアンが動揺した理由はすぐにわかった。

 また、あのデバフの効果がかかっていたのだ。それも、先ほどの比ではない。

 レイドパーティー全員が甲板に崩れ落ちる。

 何とか動く首を動かしステータスバーを確認するとそこにありえないものを見た。


 疲労:レベル5

 麻痺:レベル5

 毒 :レベル4

 眩暈:レベル3

 恐怖:レベル2

 暗闇:レベル3


 そこまでならば、まだ高ランクのボス級エネミーなのだからと納得できた。

 だが。


 【死の呪歌:レベル6】


 レベル6。

 これは、今まで見たことのないレベルのものだった。

 ザ・リートユグドラシル=アンヘルでさえレベル5までの異常状態しか付加してこない。いや、実際上限はレベル5なのだ。

 レベル6はゲームマスター権限によってのみ可能。

 時間制限なし、レベル操作可能。さらには通常なら多重付加できない効果でさえ付加可能。

 あってはならないものだ。

「ひ……あああああぁぁぁぁぁ……!!!」

 悲鳴でようやく目の前の光景が頭に入ってくる。

 倒れ伏したタンクたちが鎌の刃で斬りつけられる。ぴたり、とその動きが止まる。

「……!」

 そのアバターが足元から燃え上がるようにエネミーの消滅エフェクトに似た白い炎に包まれる。

 それが表すことは1つ。

 HPが0になったのだ。

 たった、1撃で。それもただかすったように見えただけの人もいたのにだ。

「し、死に戻り、……して!」

 炎に向かって必死に叫ぶ。これ以上この場にとどまってはいけない。無駄に命を削ってはいけない。

 攻略なら何度でもやり直せる。

 今回は情報が足りな過ぎた。

(ボクの、せいだ……)

 きっとどこかにこのエネミーの情報があったはずなのだ。それを焦るあまり、そして手段ができたばかりに見落としていた。

 白い炎が収束していく。

 フィレインへ戻ってくれた。そう思った炎たちは再び人型をとる。

「なん、で……!?」

「……戻れねぇんだ。戻れねぇんだよ! 死に戻りのルートをとっても、選択をしてもここで蘇生しちまう!」

 パリン、という音と共に彼らのリトスの1面から光が立ち上りその面からは光が失われる。

「……え」

 蘇生した瞬間、再びデバフのかかった彼らはまたその場に倒れ伏す。死神はそこに再び刃を振り下ろす。

 炎が立ち上り、その場で蘇生する。

 そしてデバフがかかり、刃が振り下ろされ蘇生し。

「あ……あぁ……」

 必死に立ち上がろうともがく。なのにシステムに阻まれ動くことはできない。

 倒れ伏した彼らと目が合う。

 煌めく刃は冷酷で。

 振り下ろされるのを見た瞬間、音が消える。耳に届いたはずの声の意味を理解できなかった。

 4度目。炎は立ち上がらず、アバターは光の粒となって消え去っていった。

 ふわりと死神は私の前に降り立つ。

(そうか……次は、ボクの番……)

 幸い、刃の届く範囲に倒れているのは私一人。

 きっと私の時間の間に誰か生き残るすべを考え出してくれる。そうすれば今この場にいる私以外の人は。

 刃が振り下ろされ胸の防具にダメージエフェクトを付ける。

 どれほど深く切り裂かれても痛みはない。

 しかし。

「……っ!」

 白い炎に包まれながら泣き叫ぶ。

「嫌だ……嫌だ……! ボクはまだ、まだ生きたい……!」

 彼の隣で生きたい。

 確かに今こうして生きていることでさえ奇跡であり人の理を超えた傲慢なことだ。

 でも、それでも生きたい。

 さっき死んだ彼らも炎の中でそう思っていたのではないだろうか。誰にも届かぬ泣き声をあげたのではないだろうか。

 選択の時間が0になり強制的にその場で蘇生する。

 甲板に倒れ、フードは涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠す。

(嫌だ……)

 再び白い炎に包まれる。

 これであと2回だ。残された時間はもう多くない。

 再び甲板の硬さを感じながら迫りくる刃を見つめる。

「アラ、キア……助けて……」

 せめてこの手を握っていて。

 彼は何をしているだろうか。私がまた自分を置いて行ったと怒るだろうか。

 話したいことはたくさんある。

 それももう、叶わない願いだ。

 手から剣が落ちる。

 次に包まれた炎は青色だった。


 金属がぶつかるような音。

 そして水の中へ何かが落ちる音。

 最後に、爆発音を思わせるほど強烈なダメージSE。

 しかし、ダメージが与えられたのはプレイヤーではなかった。

 白い煙が薄れるのと同時に船の壁にめり込み気絶状態となったザ・モルス=アルヴァディア・リーパーがぐったりとしふらふら揺れながら星を散らしていた。

 私はそちらを見ていなかった。

 目の前に立つ人物の青い背中をただ茫然と見ていた。

 右手で青く輝く銃剣。風に揺れる服の裾。青のベレー。

 彼は振り返ると私を抱え起こし抱きしめる。

「ごめんな、アルマ。よくがんばったな」

「……!」

 言葉にならない声をあげただその温かさに涙する。

「あとちょっと、待っててくれ」

 そっと横たえられ熱は離れていく。

「……さて、コイツか。ハイド、準備はいいな!? 私の手で仕留める!」

 歌が聞こえていた。

 しかしあの死の歌ではない。

 気持ちを落ち着けながらも奮い立たせ勇気をくれる穏やかな曲。

 この歌は、誰の歌だ。懐かしいさを感じる。

 デバフが解除されゆっくりと起き上がる。柔らかな光にアバターが包まれていた。

「……ユーリだ」

 誰かがポツリと呟いた。甲板の真ん中に朧気に形をとる白フードのアバターがあった。歌声は彼女から発せられていた。

 彼女のレパートリーの中にこんな曲はなかったはず。

 だが、これこそ。

「はあぁぁぁぁぁっ!」

 気合の入った声と共に連撃の音が聞こえた。甲高い悲鳴と共に消滅エフェクトをあげるザ・モルス=アルヴァディア・リーパーの姿があった。

 その前に立つのは彼。

 爆風を発して消えさったのち経験値が加算される音がしたが、そのころには甲板は静まり返っていた。

「……ありがとう、ユーリ」

 ゆらゆらと煙のように揺れていた彼女は彼がそう呟くが否や光となって消え去ってしまった。

 やがて誰があげたかわからない歓声が場を包んでいた。

「助かったんだ……生きてるんだ……!」

「何が起こったのか分かりませんが、そうなりますね。ところで」

 歓声が収まったころイアンはアラキアに向き合う。彼はその場で微動だもしていなかった。

「あなたは、何者ですか? 一体、アレはなんだったのですか?」

「……まずは、そちらが名乗るのが礼儀だろう」

 普段の彼からは考えられない炎を瞳に宿したアラキアは表情を変えずにイアンにそう言い返した。その前にはアラキアを守るように片山――ハイドが立っている。こちらでも変わらず黒スーツを装備しているあたり彼らしい。

 アラキアの言葉に嫌な顔一つせずイアンは答えた。

「私は情報屋のチーム銀色の風のリーダー、イアンです。此度の新大陸攻略先発組の同盟に加わっている者です」

「情報屋、か。なるほど」

「そしてあなたは?」

「私は、カルマ。大旅団の王にして力の監視者、聖王だ。とある人物の要請により助力に来た」

「……聖王、カルマ」

 イアンが一瞬私の方を見る。

 それに構わずアラキアは続ける。

「だが、アラキアと呼んでくれないか。この世界に飛び込んできた以上、枷に囚われているのは同じなものでね。……正直言って今はこの肩書邪魔なんだよ。僕は追ってきただけであってさ」

 急にくだけた口調になった彼にキッドを除いた船員たちは目を見開く。

「詳しいことは後であなた通して伝えてもらうってことでいいですか? まずは休みましょう。皆さん限界でしょう。時間が必要なはずです」

「わかりました。盟主もそれでよろしいですか?」

 私は頷くことしかできなかった。



これ以降長めに書いて週2か週1にするか、これまで通り短めで週3投稿続けるか悩みどころ……


とりあえず次回更新は1週間後、9月13日です

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