ぼっちVS異 世 界 ロ ン 毛・後編
叫び声で話が終わらない貴重な回。
「フー……………………フーッ………………」
その日、俺は家からチャリ15分のジムにて筋トレに勤しんでした。
この少し前、何故か学校の野郎共の間で空前の筋肉ブームが巻き起こり、俺も『乗るしかないですもんね、このビッグウェーブに(ピザ気味)』と筋トレを始めたのだ。
(やっぱチェストプレスよりヴァーティカルチェストプレスの方がやってて楽しくはあるが…………より有効なのはどっちかって言うとチェストプレスっぽいよなぁ…………………なんだこのジレンマ…………?)
この頃、何となく筋トレがマンネリ気味になっていた(現在はそれすらも超越した)ため、この日は何か新しく打ち込めるトレーニングについて思案しており筋トレに身が入っていない気がしていた。
(駄目だ、この辺で切り上げるか……………)
そして切り上げようと決心し、ひとまずロッカールームにあるシャワー室でシャワーを浴びながら『チ○コ蚊に刺されてる………』とか考えつつ汗を流し、そしてシャワー室から出、ロッカールームへと戻ったとき、その事件は起きた。
「それでさぁ、ごましおが鼻にさぁ………」
「え、それやばくねwwwwww」
前方からDQN二人がシャワー室に向かって歩いてきた。そのうち向かって右側の男が問題のロン毛だった。
その男達も割とよくジムに来ている顔であり、俺は特に何も思わずに彼らの横を通り過ぎようとした……………………右側を。
「いやでもお前もこの間耳にカミキリムシ入ったっしょww」
「カミキリムシじゃねぇよwwwwゴキブリだよ!!」
この時、非ロン毛男がロン毛男をありもしないネタで揶揄し、それに対してロン毛男が軽く殴ってツッコミとしたのだが、それがちょうど俺が彼らと一列になったときだった。
そして………………
(!!?!?!!!?!?)
刹那、俺の鼻に衝撃が走った。
(な、何だ………………この…この…………凄まじい異臭は……………!?)
この時の異臭を語れと言われたら、『凄まじい』としか表現できないであろう。それほど凄まじいものであった。
俺は遠のいていく意識を気合でつなぎとめ、回らない頭で何とかこの状況を打破しようとした。
(ど………どこから………………!)
そしてその異臭の発生源を探し…………すぐにそれを把握した。
俺の周囲にはロッカーしかなく、その戸はどれも閉まりきっていた。もしそれらのうちの何れかにロッカーの戸を通り越してまで臭うくっさいブツが入っていたらロッカールームからシャワー室に入る前に気付くし、俺がシャワー浴びてる間にそれが持ち込まれたとしても、シャワーを出た刹那に何らかの異変を感じ取るだろう。
…………………いや俺の体臭でもねぇよコラ。自分の体臭で気絶とかあまりにも滑稽すぎないですか?何その恥の権化みたいな人。そんなわけねぇじゃん。つーかさっきシャワー浴びたのにそこまでの体臭はべらせてるって中々の強者じゃない?
そして、それら以外に考えられる可能性といえば…………………………。
(ロッ…………ロロロロン毛……………………)
間違いない、どう考えてもDQNのロン毛が異臭の原因であった。ヤツがツッコミの際に頭部を動かしたため、ロン毛がファサッ…………となってしまいロン毛内に溜まりに溜まっていた異臭が拡散されたのだろう。
(クソ…………覚えてろ………………いつか耳にカミキリムシぶち込んでやるからな……)
俺は異臭の原因を突き止めると同時にその異臭により完全に意識を闇に葬り去られた。
そしてそのまま昏倒したのだが、その時近くのロッカーの角に頭をぶつけ4針縫った。
それからだ、俺がロン毛に恐怖心を抱くようになったのは………………。
そして、今俺の前に立ちはだかっているのもまた、ロン毛であった。それも腰くらいまである。
「私は騎士団の第3隊隊長をしているタッカーという者ですが」
「(知ってた)へえ…………あの……………その騎士様がなんでこんな」
鎧のカッコ良さなどなんかこう……見た感じのメインキャラっぽさや、騎士たちを引き連れてたりする所から、ある程度の地位にある人物であることは簡単に予測できた。
「…………心当たり、ありませんか?」
「?いや………(大嘘)」
あるよ。
「そうですか…………。それならば、説明して差し上げます」
「あ、あざっす(チャラ男)」
「単刀直入に言ってしまえば、ここに不法滞在をしている人物がいる、という報告があったのでその事実関係について調べに来た訳ですが…………この小屋で生活してるのは貴方ですね?」
「いえ違います(大嘘)」
「そうですか……………ではわざわざこんな外れまで何をしに?ここにはご覧の通り、この小屋があるだけで周りを見ても特に何もありませんが」
「そこ………そこの林に虫採りに来ました(大嘘)」
「そうですか………その格好で虫採りにねぇ…………」
そこで俺は、取り敢えずこの間釣りした時に使ったタモを圧倒的手際の良さを見せ付けつつデバイスから取り出した。場合によってはこれで虫採りする少年もいるはずだ(ゴリ押し)。
「ほら、これ使って虫をね………。あと俺は基本いつも鎧着てますよ」
「なるほど…………ところで貴方は何処に住んでいらっしゃるので?」
「かっ…………関係ないだろ(ツンデレ)」
「いえいえ、わざわざこんな所まで虫を採りに来なくても、貴方のご住所の近くに良い場所があれば紹介したいと思いましてね」
「…………あー、あのー、あれです。場所でいえば、えー、ギルドの裏っ側の道を南にずっと行ったとこ?かな?(大嘘)」
「ああ、そうでしたか。確かにその近辺では虫を採るのも一苦労ですね」
「いやぁそうなんすよ〜…………えっへっへ………………じゃあ俺は帰りますんで、お取り込み中みたいなんで虫採りはまた今度にしますわ」
「……………はい、御無礼を致しました」
ほっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!やった勝ったあああああああああああ!!!
また何かしらの不幸に見舞われるんじゃないかってひやひやしたぜ!
いや、あのままだったら確実にアウトだったな。今回のこの不幸の回避は俺の弁舌の賜物ってわk
「あっ、トさん帰ってきてたんだ。…………あれ、どこ行くの?」
「!!?!?!!!?!?(今話2回目)」
…………俺が引き返そうとした刹那、何女神かに声をかけられた。
一体俺に災いをもたらしてくれたのは誰UNちゃんかと思い溢れんばかりの憎悪を宿した視線を廃屋の方に送ると、そこには廃屋の玄関の扉を開け、クッソ汚い笑みを浮かべる女神がいた。
「う、嘘だろ………女神の屑がこの野郎……………」
あのクソアマめ…………俺を社会的に抹殺して愉しむ気か!?マジでクズすぎんだろ(自己紹介)!!
憎しみの焔に焦がされる俺をよそにタッカーなるロン毛はSUNちゃんに尋問し始めた。
「おや、ご友人ですか?先程中を調べさせて頂いた時にはいらっしゃらなかったと思ったのですが………しかしそれよりも、帰ってきてたんだとは?」
「そのままです。あの人ここに住んでるので(超ゲス顔)」
「そうでしたか…………ご本人はここには住んでいないとの事でしたが」
「嘘ですね」
「貴様ァ…………………(阿修羅顔)」
「あと私以外にもあのクズ野郎がここに住んでること知ってる人いますよ」
「だそうですが?」
「!いやどう考えてもそいつが嘘ついてますや~ん。ないわぁ」
「現状では彼女の言の方が信ぴょう性(よくあるひらがなを混ぜ込むカス表記)があると思いますがね」
「………………まーたこれか。どんだけ俺信用ないんだか(諦観)」
あー、もうこのまま異世界生活にひっそりと幕を閉じることになってもいいかもな……。やってられんわ。
………………それにしてもSUNちゃんのあの顔憎たらしすぎない?
これはこのまま死ねねぇな……………どうせ死ぬんだったら少しでも多くゴミを片付けて社会貢献(笑)してから死んでやる!
「………ええまぁ、そうですよ、そこに住んでましたよ。………………俺『も』ね」
「も、とは?」
「俺をスケープゴートにして自分だけ助かろうとしてるクズがいるってことです。つまり」
「これ全部あの女が仕組んだ事です(ゲス顔)」
「は?」
「それは…………本当ですか?」
「そうです。あの女もここで生活しといて俺に罪なすりつけて逃げる気ですよ、救いようのないクズですよね」
「いやいやないですよ。あれどう見ても窮鼠猫を噛む的な小賢しい策略を弄してる顔じゃないですか。それこそ嘘ですよ」
へっ、小賢しいのはどっちだ。一気に畳み掛けさせてもらうぜ。貴様にはここで消えてもらうぜ(三下)!!
「証拠ありますよ~。……………ほらこれ」
「!…………これは」
「!!?!?!!!?!?(今話3回目)」
俺は証拠としてデバイスに保存してあった金の種を勝手に食って筋肉質になったSUNちゃんの写真をここぞとばかりに見せつけた。
「ほらこれ、その小屋の中で撮られてるでしょ?少なくともあいつがあの小屋にいた事の証明にはなりますよね」
「そうですね………そしてこの写真、日付を見ると約二週間前に撮られている…………あの方が現在、貴方の罪を私共に告訴している事を考えると、この写真が撮られてから今までの間に何の訴えも無かったという事は少し違和感がありますね。あのゲス顔を見るに他人の不法滞在などを見つけようものならすぐにでも訴えそうですが、それをしなかった……」
「何でそんなのもってんだお前えええええええ」
「あんな(エロい)モンみたら写真撮んの当然じゃねーの(鼻ほじ)」
「クソナメクジが死ねええええ」
SUNちゃんは激昴して俺に飛びかかってきた。その顔は太陽の様に真っ赤だった。SUNちゃんだけに(激寒)。
あと太陽が赤いとか日本人だけの解釈だから、そうやって価値観押し付けんのやめて(自虐)。
「ナメクジ要素ないのに俺をナメクジ呼ばわりするのもうやめにしませんか。」
「おいちょっとほんとけしてそれ」
「…………ここまで動揺しているとなると、確かに怪しいですね」
「でしょう?」
「おい!?」
SUNちゃんのあまりの動揺っぷりにタッカーやその腰巾着の騎士共(悪口)も引きはじめると同時に怪しみだした。
「あと多分小屋に金髪落ちてたと思うんですけど」
「確かに落ちていましたが、なるほど、それが彼女のものという訳ですね」
「そうです☆」
「全然違います。こいつのキモい嘘です(大汗)」
「キモいとか付ける必要ある?」
「………分かりました、しかし現状ではどちらの言が正しいか判断しかねますのでお二方とも私達について来てください」
「何で………何で神である私がこんな……………」
「ブフッ」
「おいお前いま吹き出したよね?女神なめてんの?」
「落ち着いて下さい。……ついて来て頂けますね?」
「……………はい」
……………………。
「つーか、さっきから気になってたんすけどあそこ露出狂いるんすけど大丈夫すか?」
「?どこですか?」
「ほら、あそこの林んとこに隠れてる………」
「あちらですか………………」
「特にそういった人物は………………!?」
「隊長!あの男がいません!!」
「何処に消えた!?」
「私神なのに扱い悪すぎ……………………ブツブツ」
「くっ、私としたことが……………っ!まだそう遠くには行っていない筈です!!捜索しますよ!!」
「「「「はっ!!」」」」
「…………ん?私逃げるチャンスじゃね?」
「などと言っているのでこの女は私が見張っています」
「頼みました。………知ってのとおり逃げた彼は勇者様を追い詰めた刺客と同一人物であるという話が上がっています。先程の立ち振る舞いを見るにその可能性は低いでしょうが、各員くれぐれも注意するように」
「………………やっぱアイツ転生させるべきじゃなかったなぁ。後で殺しとくか……(PSYCHOPATH)」




