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ぼっちVS死




 ………はぁ、やっちまったよマジで。なんかちょっと前に思春期特有の後悔について語ったと思ったけどまさにそれだよ。ギルドに出す面ねぇよ……

 前世の頃から短足関連でdisられるとすぐにキレてしまうのが俺の悪い癖だ。これどうにかしないと特典以前の問題だよなぁ…………



 今は銭湯で気分直して帰ってきて扉替わりの鉄板を見て一瞬でテンションが下がったところだ。



 クッソ…………なんか俺転生してから何もいいことねぇなぁ……転生して生き返ったと思ったのに、これじゃあ生きてるなんて言わねぇよ、死んでないってだけだ(哲学)。


 ハァ………いや、興奮してる訳じゃねーよ。溜め息だよ。もう勘弁してください(痛切)。






 そして皆、これ見てくれよ。この任務書。


 金貨19枚ポン☆とくれる(ベネット)かと思ったらこれ、帝国からの依頼なんだよ。公式が病気タグつけろって(意味不明)。


 内容としては、『キマイラっていう魔物がいるんだが、そのでっけぇのがこの帝都付近の鉱山らへんに巣食ってあぶねーから、とりまテメェらギルド民から有志募るは。成功したら金は出すで。お前ら低所得者共にはうめぇ話だろぉ〜(ゲス顔)?』って事らしい(誇張)。

 そして明日もう出立するんだとよ。即行動とかでリア充感出すのきらい。



 しかし、これはチャンスでもある!俺の名声を広げるためのな!!ここででかい手柄を立てればなんとか一般人レベルの知名度まで巻き返せるかもしれん。

 何せ国が依頼出すほどの曲者なんだ。 如何に人徳--があろうと、充分にそれを覆せる可能性はある。


 幸い、マイナス特典のおかげで俺の戦闘力は凄まじものがある(自画自賛)。


 更に先日、心無きギルド民共に「短足wwwwwwwww」と嘲笑されて憎しみも沸き上がってきていて(執念)、暴れまくって鬱憤を晴らしたい。

 奴らのせいでドライアイになってまばたきがキモくなっちゃったからな、許さんぞ!!あ、今の俺復讐系オリ主やんけ。内容スッカスカだけど。







 よーし、そうと決まれば今日はもう遅いから寝るぜ!力の種(金)に水をやって、筋トレして、さあ灯りの蝋燭を消s……………
























………ああ、見てしまった。絶対に、目にしてはいけないものを。
















 畜生、と悪態をつきそうになりすんでのところで抑える。



 視界の端にちらと移りこんだだけ。しかし俺は、その存在を、否、その存在が纏う瘴気に似た何かをはっきりと感じ取った。そして、深く恐怖した。



 ある人は、その存在は、人の脅威足り得ないと言った。その時は、俺は確かにそうだと思った。

 しかしいざ自分がその力を目の当たりにすると、そんな楽観的な思考など、いとも簡単に崩れさった。


 その時の感情は筆舌に尽くし難い。あらゆる負がひしめく脳内、それはまさに地獄。自身の中に形成された恐怖、嫌悪、絶望、それらの大集合体。そういった表現でも全く及ばない。



 ただ1つ、死、自身に急速に近付いた死を感じた事だけは、この心に深く刻まれている。



 その、俺に死を覚えさせた存在が、今この時、同じ空間に居る。


 俺は恐れを全く拭えず、そして後悔した。


 この廃屋を住居とした自分を、そして先刻、奴の姿を認めてしまった自身の目を。








「…………クソ……………何故だ……」





「何故ここに居やがる……………!!」


























「アシナガバチ………………!!!」








 




 間違いない。あのおぞましいオレンジに近い黄色と黒のコントラスト、あのRI○APもたじたじの謎のくびれ、あの初期の仮面ライダーのような威圧感あふれる面、そしてダ○シムもびっくりな恐ろしく伸びた後ろ足。


 アシナガバチ、あるいはその近縁にあたる存在であろう。



「ああ、クソ…………一気に死の恐怖が……………っ!」



 ああ、まずい。体が、奴を前にして萎縮している。このままでは死も時間の問題。その事実が更に俺の心身を締め付ける。



 俺の異世界ライフもここまでか………



と思ったその時!





「ブブブwwwwwww」




 (ん…………?あいつ………)



 何とハチは俺から遠ざかり始めた。その飛ぶ軌道をよく見てみると台所(不毛地帯)の天井に空いた穴へ向かっているらしい。



(しめた………あの穴に入ってしまえばこっちのもんだ。台所と居間の間の扉さえ閉めてしまえば少なくとも今日の俺の安全は保障される。っへ、割れながら自分の才能が怖いぜ(ヘイト集め))



 この廃屋は台所と居間の間に扉(スライド式)があり、ここを分断すればたとえ天井の穴から出たとしても居間にはやってこれない。

 そしてとりあえず今日をやり過ごし、明日ギルド民に土下座や靴を舐めるなどしてハチの駆除を頼めば俺の勝ち、というわけだ。



(クヒヒヒ……ほぉらもう少しだ。もう少しでてめぇの負けだ……!)



「ブブブwwwwwwww」



「ぅおびっくしたぁ(早口)!てめ、突然軌道変えんなよ!」





















そんなこんなでアシナガバチは天井の穴へと消えた。 



(ふぅ……………チャンスは今!)



凄まじい速さで扉をスライドし、完全に閉鎖する。



「ふっふっふ…………はっはっはっはっは(ベジ○タ)!!勝った、俺はとうとうあの化け物に勝ったぞ!!うひゃひゃひゃひゃひゃー(小物)!!ざまあみさらせ!虫けらが人間様に逆らうからこうなるんじゃあ!!死ね(小学生)!!!」





 ああ、絶頂。最高の気分だ。

 やべえ、テンション上がりすぎた。

 しかし明日のキマイラ討伐に遅刻するわけにも行かない。ここは心を落ち着けて寝よう。おやすみ〜っと。

























―――――しかしこの時、トはもう少し慎重になるべきだった。




 ここは廃屋で、そして天井に穴が開いていた。その事実をもう少し重要に受け止め、扉の方も念入りに調べておくべきだった。


 また、アシナガバチが天井の穴を目がけて飛んでいたことに気づいた時点で、その意味、つまりその穴の先にあるものについてまで考えるべきだった。








死の影は、すぐそこまで迫っていた。














 後日、ある廃屋で全身が腫れ上がった無残な死体が発見されたとかは別になかった。




ベ○ータ・・・・・・超では専らネタ枠。

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