死因は大量出血ですかね。
2話目です。のんびり更新します。
茹だる様な暑さ。さすがこれが温暖化の影響か。暑い。とにかく暑い。蝉の鳴き声が更に拍車をかけている。
ここ最近雨も降ってない。降ってないのにこの蒸し暑さ。The.日本。
「あーん!暑い暑いあーついー!!!」
ベンチに腰掛けた見慣れた顔が喚いている。
このドタバタと足を動かして駄々をこねているのが俺の妹の橘春。
「春。やめろ。口に出すと余計に暑く感じる。」
そして今春を諭したのが、俺、橘雪疾だ。
俺たち2人は二卵性双生児てやつで見た目は全然全く似ていない。
性格も春は社交的で思いついたらすぐに行動。運動も得意でフィールドホッケーで女主将もしてる。
かといって脳筋かといえばそんなこともなく。成績は常に上位をキープ。
見た目も可愛いと評判で、外で他校の男子学生が出待ちする位程だ。身内の贔屓目に見ても可愛い部類だとは思う。
さて、ここでもう一度言っておこう。俺たちは二卵性双生児で、「見た目は、全然!全く!似てない」のだ。
つまるとこ、春に比べ俺は顔は中の中で地味。運動は春に誘われて一瞬にフィールドホッケーをしているが一応レギュラーに入ってる程度。成績は中の上と平凡を地でいく生活をしている。
そして、性格も地味。俺はなるべく静かに穏やかに過ごしたいんだよ。シャイニーな妹の影に隠れて学校生活を送っていたいんだよ。
「お兄ちゃん!帰りにアイス買って帰ろ!買い食い買い食い!!」
「いいけど、お金持ってんの?この前水着買うとか言って散財してなかったか?」
うん?なんか嫌な予感がする。
「それはさ、お兄ちゃんの優しさ?甲斐性?に期待だよ!」
はい!きましたよ!予想的中!
上目遣いで見てくる。俺の顔と主に財布を交互に。
「奢らないよ。そんでもってお前の上目遣いなんかいらないよ。なんでおれが甲斐性感じなきゃなんないの。」
「えー!お兄ちゃんのケチ!!いいもん!夏休みの宿題、絶対手伝わないから!」
「おぉぅふぅ。。。く、苦しゅうない。す、好きなものを選び給えよ。」
クソ!あいつの方が上手だ。この手のやりとり勝てた事がない。
「て、もうこんな時間!そろそろ本気で帰んないと母さんに怒られるぞ!!。タダでさえ部活終わるの遅かったんだから。それに最近この辺不審者が出るらしいからな。完全に暗くなる前に帰っちまうぞ!」
話してるうちに日も沈んできて辺りは薄暗い。
8月も終わりとなると暗くなるのも早くなるな。
「そだねー!ちょっと暗くなっちゃったね!近道して帰ろう!アイスはその後!じゃあ、私が先に家に着いたらアイスもう一本奢りね!よーい、どドンッ!!」
まくしたてるように話したかと思うと当然走り出しやがった!!クッソ早い!なんなのあいつ。本当に女なの!?
薄暗いのもあってさっきまで見えてた制服の背中も見えなくなってきた。
すると『ドチャッ』と濡れた地面に何かが倒れ込んだような音が聞こえた。
雨も降ってないのに濡れた音??
暗くてよく見えないが見たことある後ろ姿が横たわっている。
「え、、、。何だよこれ、、、、ハル、、、?」
そこには大量の血溜まりに横たわる見慣れた姿ぢった。
ハルのそばに近づいた瞬間、背後から突然首に衝撃と痛みが走る。
振り返ると鈍く光る刃物のようなものを持つ男の姿が見えた。
何が起きたのか分からない。コイツに刺されたのか!?なんで!?
首から尋常じゃない量の血が出てくる。声を出そうとしても口からは血の泡しか出てこない。血が流れすぎたせいか意識も朦朧としてきた。
ハル。ハル。ハル。
なんとかハルのとこまで行かないと。俺が守ってやんないと。
重い体を引きずり、ハルの手に触れた瞬間に俺はとうとう意識を手放した、、、、。