2
浩太が親友の琢也らと共に港で船を一頻り、
見終わり、商店を営んでいる家に戻ってくると
両親が忙しなく、仕事をしていた。
浩太の店は小さいながらも島で唯一、食料品や
日用品などを取り扱っていた。
そのため、島中から注文が入り、いつも
浩太の両親は忙しく働いていた。
それをいつも手伝さわれる浩太は不満だった。
家に戻ってきた浩太を見るなり、浩太の母親・夏海は
「いつまで遊んでいるだい! 手伝いをしな!」
浩太のことを叱り付けた。
『うるさいな~……』
膨れっ面をしている浩太を横目で見ながら
浩太の父親・雅夫が
「ここは良いから…… 配達に行って来い!」
そう言い、浩太をその場から逃がしてくれた。
「わかったよ!……」
浩太は渋々、いつものように自転車の荷台に
配達品を括り付けると配達に出た。
やはり、配達は島中だった。
だが、母親に小言を言われるよりかはマシで
浩太はブツブツと文句を呟きながら、
配達を続けた。
ほとんど配達し終わった浩太は
「よし! あと一軒で最後だ!…… え~っと……
最後は何処だ?……」
配達先が書かれているメモを見た。
「げぇ! アイツ(由貴)の家だ!……」
最後の配達先を見て、浩太はテンションが一気に
下がった。
でも、配達をしないと終わらないので渋々、
幼馴染みの由貴の家に向かって、自転車を漕いだ。
由貴の家は浩太の家からはさほど、離れていないのだが……
運悪く、由貴の家に行く前に浩太が配達したのは
港の近くの家だった。
その家からは由貴の家は非常に遠かった。
『しまった! 先にアイツ(由貴)の家に行けば、
良かった!……』
そう思ったが後の祭りだ。
浩太は息を切らしながら、やっとの思いで由貴の家に
辿り着いた。
すると、由貴が浩太が来るのを待ちわびていた。
浩太が息を切らしながら、由貴の前に自転車を止めると
「遅い!……」
由貴は浩太に文句を言った。