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「なんで(島で)祭りがあるって言ったんだよ!」
少し混乱していた浩太だったが由貴が
真夜に島で祭りがあるって言ったことを
文句を言うと
「・・・だって・・・ まさが言った数日後に
いなくなるとは思わなかったんだもん・・・」
由貴は半べそになっていた。
由貴の泣きそうな顔に浩太が戸惑いながら
「・・・(真夜の)今の居場所はわからないのか?」
真夜の居場所を由貴に聞いたが
「・・・わ、わからないの・・・ 一生懸命に
探しているみたいだけど・・・」
泣きそうな顔で由貴は答えた。
頭を掻きながら
「・・・まさか、島に来ているとは思わないが・・・
一応、(島の中を)探してみるから・・・
お前も心当たりをさがしてみろ!」
浩太は由貴と別れると島で真夜が行きそうな所を
探し始めた。
だが、行く所、行く所、真夜の姿は何処にもなかった。
『やっぱり、いないよなぁ~・・・』
浩太が気落ちをし、港をとぼとぼと歩いていると
定期船から荷物を降ろしている島民で定期船で
働いている如月悟郎が
「よぉ! 浩太。」
気さくに浩太に声を掛けてきた。
悟郎は浩太らが通う中学校の先輩で浩太らを
弟のように面倒を見て、可愛がっていた。
そんな浩太の元気がない様子を見て、
「どうした? 今日は元気がないな?・・・
相方(由貴)と夫婦げんかでもしたか?」
悟郎は浩太のことをからかった。
『相方?・・・ 夫婦げんか?』
浩太は始め、悟郎が何を言っているのか、
わからなかったがすぐに悟郎が自分と由貴のことを
言っていることがわかり、
「・・・ち、違うよ!」
浩太が不機嫌そうに悟郎の前を通り過ぎようとすると
「・・・そうだ! 前に島に来た綺麗な女の子(真夜)を
船の中で見たぞ!・・・」
悟郎は浩太に定期船の中で真夜を見たことを告げた。




