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黒猫騒動記  作者: 肉屋鳴月
序章記
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第一話 プロローグ

友人から聞いた黒猫について。

 遥か(いにしえ)の時代、今は廃れてしまった魔法という力が存在していた時代。

 世界は魔法による様々な可能性で溢れ発達していた。

 日照り続きの水不足には、魔法によって雨を降らせ大地に潤いを与えていた。

 無風のせいで船が身動ぎしなかった時は、魔法によって鳥笛のような強風を呼び起こした。

 咲かぬしだれた植物には、魔法によって息を吹き込ませ蘇らせた。

 このように当時の魔法は、自然や天候をも自由自在に動かしていた力だったらしい。その強大な力を人の子が(ゆう)していた。

 今は存在していない。では、どうして廃れてしまったのか?それは強大な魔力のせいであった。


 人々が豊かに活発に生活していたある日のこと。事件は起きた。

 これは後に『魔女の終焉(しゅうえん)』と呼ばれることとなる。歴史の区切り目、あらゆる種が一度滅んだ事件。

 それは、世界の魔力並びに魔法の枯渇。

 一人の魔女が世界に満ちている魔力を根こそぎ奪い、死の破滅へと追い込んだ。

 魔法は魔力と呼ばれる力を源として"魔"と名の付くものは機能し、すべてに等しく順流していた。蜘蛛の糸のように張り巡り、木の根のように根太く存在していた。源は龍脈とも呼ばれる神聖なものであった。当時、龍と龍脈を祀る神殿が各地に存在していた。

 先人たちは、龍脈に感謝し、(とうと)んでいた。

 余談だが、伝承でしか伝わっていない現在でも龍は雄々しき存在と崇められ崇拝されている。

 そして、龍脈は"魔"と"龍"の象徴と考えられている。穢すことも侵すこともできない。

 誰にも侵すことが(かな)わない。

 永久不可侵領域。

 事件が起きるまでそう考えられていた。


 だが、その魔女は龍脈の魔力を根こそぎ奪い、龍脈を機能停止にさせ、消滅させた。

 その魔女の正体、魔力の行方、魔女が魔力枯渇(こかつ)の動機が五千年経っても未だに分からないままである。

 魔女の実態は、歴史家、考古学者、学者たちの興味を刺激し、魔女に関する様々な仮説や憶測が語り継がれている。だが、憶測が広がるばかりで魔女の真意に辿り着けた者は存在していない。


 しかし、唯一魔女について伝承された真実がある。その真実は確実に魔女の話に浮かび上がる。

 魔女を唯一間近(まじか)で見ていた男がいた。当時の神官であった男は後世に魔女の足跡(そくせき)を記述として残している。

 男は、『人の姿をした魔女が黒猫に化けたのだ』と______













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