表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/64

竜王国『ダンジョン制覇。』

 「了承したと御伝え下さい。」

 「はい。それではよろしくお願い致します。」

 ツクリネさんが部屋を出て行く。

 「やっぱり後方配置か。」

 「まぁしょうがないでしょう。」

 伝えに来てくれたのは、ダンジョン崩壊時の魔物に備える配置。三人娘は最後方。僕は最前線。ドウはその中間あたりだ。

 「トゥアル君はいいなー。」

 イリアが羨ましそうに言う。

 「そうは言っても、基本的に何もしてはいけないと言われているからつまらなそうだ。」

 トゥアル君はダンジョン侵入班だ。何もしてはいけないと言うのは、戦力として数えられていないから。トゥアル君の役目は最奥でのアーティファクとの破壊だ。

 「強い人達の戦い方を見ることができるじゃない。」

 「それは、楽しみだけど・・。」

 「やっぱり楽しみなのね。」

 「その辺にしておけ。」

 ドウがイリアを止める。イリアも本気で責めている訳でもないので直に引いた。

 「ま、そんな訳で今日から暫くはダンジョンに行かない。」

 「はい。」

 以前から決めていた事なのでこれは確認作業。

 「トゥアル君は明日から潜るから稽古も無しね。」

 「ふん。」

 「あんたねぇ・・。」

 「わかっている。」

 何処か不満そうだけどまぁいい。

 「僕達も明日から稽古はないから。デン爺も潜るしね。」

 デン爺は十階層を担当するらしい。

 「トゥアル君も気を付けてね。」

 「ふんっ。」

 「もうっ!」

 あっ、イリアに殴られた・・・。



 「思ったよりも多いね。」

 ダンジョン制覇予定日、僕達はダンジョンの北側に陣取っていた。

 「敵が丸々出て来た場合を想定しているから。」

 僕の横に居るのはアイリスさん。本人曰く戦闘力に期待しないで欲しいとのことだけど、僕に変わって北側の指揮を担当してくれるので助かっている。

 「細かい時間はわからないのだよね?」

 「はい。十階層の戦闘がどれだけかかるか判りませんから。」

 デン爺対劣化デン爺も見てみたかったけど・・。

 「とりあえず、敵が出て来たら僕が突っ込む形で良いのだよね?」

 「そうです。トラさんは後ろを気にせず突っ込んで下さい。その隙間を私が広げます。皆を使ってね。敵が横に広がった場合は東西から押し込みますから。」

 「始めから南に向かってくれたら楽だけど・・。」

 「逆に南に向かった敵までがこちらに来ないように祈りたい所です。」

 基本的にダンジョンが崩壊した際に敵は人が多い街の方へ向かう。今回の場合は南だ。

 なので南に今回の最大勢力が控えている。リエールさんが率いる手段がそれだ。そこにはエルザやセシリアだけでなく、チビ姉ちゃんもいるので過剰戦力だと思う。

 それに街に抜かれても子供は避難済みだし、残って居る人達も竜族だけあってスケルトンにどうこうされるたまではないので心配は無いだろう。

 「始まったようです。」

 アイリスさんの言葉で意識をダンジョンへと戻す。

 ダンジョンの入り口となった巨大な木にヒビが入っている。

 「そのようだね。」

 ヒビは広がり続け、枝も落ちて来た。ただし地面に落ちる前に塵となり消えている。

 そして木が上から消え始めると、木の根元から穴が広がる。

 「そろそろですよ。」

 「じゃあアイリスさんは後ろに。」

 「御武運を。」

 アイリスさんが下がり、それと同時に木の崩壊が根元まで到達する。

 「来るぞ。」

 何処からとも無くそんな声が聞こえた。

 根元まで崩壊した後は、周りの穴と同化したのだと思う。確信が持てないのは、穴から黒い靄が現れて、その中からスケルトンが出て来た。敵が出きると、最後に人とアーティファクトが出るはずだ。

 スケルトンの次にはジェネラルスケルトン。これも情報通りに一階層の敵から順番に出て来ている。恐らく次はゴブリン、その後にオーガ、虎人ワータイガー、殺猿(キラーエイプ、ゴーレムと続いて行く。

 今の所は殲滅の力の方が強い様で、包囲した穴が崩れる事も無ければ、敵が一方向に流れているということもない。

 それはゴーレムが出て来ても変わる事が無い。

 なんというか、竜族の固有魔法がエグ過ぎる。彼等はデン爺やエルザを見てもわかる通りに、接近戦においては敵の攻撃でダメージを受けず、強力な一撃を打ち込むという何ともおっかない戦闘能力を持つけれど、接近戦しか出来ないと言う事ではない。各自が固有魔法の素養を持ち、その長い寿命の中で発現させない者はいないとされる。そして発現すると人形でも使用が可能となると聞いていたけれど・・・・。

 敵を取り囲む竜族の皆さん。

 前衛は人形。後衛は竜の姿。口から吐くのは色取り取りの魔法。チビ姉ちゃんはまとめて口撃魔法ブレスと呼んでいたっけ・・。それが休む事無く浴びせられるので、ほとんどの敵は近づく事すら出来ないでいる。特にリエールさんの方から飛んで来るブレスは、たまに僕の目の前まで来るからおっかない。

 その僕は敵のど真ん中に居る。味方の魔法に巻き込まれない為でもあるし、中に居る人達が出て来た時の安全を確保する為でもある。もっとも、敵は外に向かう事が多いのでそれほど敵の圧力を感じない。

 そんな事を考えていると、偽人ドッペルゲンガーが現れた。これは僕の獲物だ。これら単純に魔法を撃つだけでは倒せないであろう敵は僕やリエールさんが受け持つ。ボスは中の人達が倒しているはずなので、一体ずつしか出て来ないとのアイリスさんの予想どおりだと助かるのだけど・・・・。

 僕が戦った偽人ドッペルゲンガーはシスとデン爺。見た目こそ似ているけれど、その強さは別物。まず魔法を使って来ない。技術も劣化している。力は強いけれど、技術が無いので受け流すのも避けるのも可能だ。それに偽人ドッペルゲンガーが現れると、リエールさんとシスが飛び込んで来て嬉々として敵を倒しているので楽なもんだ。

 ほら、相対しているシスの偽人ドッペルゲンガーがシスに斬られた。

 「そう言えばシスいつの間に?」

 「婆さんが面白い事があるって言うから付いて来た。あぶねっ!」

 婆さんと呼ばれたリエールさんの拳がシスを襲った。ついでにデン爺の偽人ドッペルゲンガーも粉砕していたけど・・。

 「すまんすまん。わざとじゃ。」

 「とうとう惚けたか?いや、すまん。まじですまんって。」

 リエールさんがブレスの発動する前にシスが謝る。

 「次は無い。」

 「お、おう。」

 二人のやり取りは置いといて、シスまで来ていたのなら心配は無いだろう。戦力過多なのは間違いない。


 僕の予想は当り、偽竜ファントムドラゴンも瞬く間に倒され、トゥアル君達が現れた時には敵の姿は無かった。

 被害は軽傷者が数名とリエールさんに殴られたシスくらい。

 敵の処分はアリエルさん達に任せて僕達は一足先に街へと戻る。

 今夜は宴だ!

 宴は二晩続いた。一応名目上一日目はダンジョン制覇のお祝い。二日目は僕達のお別れ会だったのだけど、あまり気にしている人達は居なかった。

 楽しく騒げればいいのだ。

 僕も食べて飲んで話して歌って踊ってと楽しんだ。リエールさんに付いてチビ姉ちゃんやシスだけでなくエルザやエミリアも来ていたので久しぶりに話しもできたし、ドウ達を紹介する事もできた。特に女性陣は纏まって話していたので仲良くなれたのだと思う。



 学園へ向かうのは宴の三日後。

 リエールさん、エルザ、デン爺に分乗させてもらった。ホーンさんとトゥアル君も行きたがったけれど、ホーンさんは仕事が、トゥアル君はダンジョンがあるので竜王国でお別れ。

 お土産を抱えて飛ぶ事三日。

 あっという間に学園都市に帰って来ることができた。



 もうすぐ新学期。

 これからまた新しい学年が始まる。




 進級で来たのかな・・・・?




駆け足となりましたが、一年目終了です。

そして以前お話させていただいた様に、受験勉強の為に更新が止まります。

二年目は早くて九月くらいからになるでしょうか。

遅かったら来年春かな・・・?


もしかしたら短い話しをいくつか書いた後になるかもしれません。

転生物とか召喚物とか・・。



開始した際に、『誤字変換』『口調統一』『ルビ振り』『魔法観の統一』をしたいと考えています。それに合わせて設定が多少変化するかもしれません。



最後になりましたが、ここまで御付合い下さりありがとうございます。

またお会いできたら嬉しいです。


105秋        

(2014/04/20)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ