クリスマス 2年目 (04)
「ふぅ。助かったよ、ありがとう。」
いつものようにニコニコ笑いながら、お礼を言うユアンス。
「でも、溶かし方がちょっと雑じゃないかなぁ?」
氷像ユアンスは、美代の作り出した別空間に包み込まれ、麻美花がその中の空気を酸素に変換し、美結が空間内の空気を入れ代えしつつ、ミーリャが最大火力の火魔法で氷を溶かし尽くした。
「そもそも、なんでこいつがサンタクロースの格好してドアの前にいたんだ?」
ユアンスの抗議は見事にスルーされ、事が済んだ後に起きて来て、事情は麻美花から聞いた優馬がユアンスを睨みながら聞く。
「実はねぇ、サンタクロースさんが当日になって急にギックリ腰になっちゃったから、僕達が代わりに配ってたんだよ。それでどうせなら君達には直接渡そう、って思って、昨日の夕方来たんだけど……。」
「…………チャイムを鳴らしたら『今は手が離せないので、ちょっと待っててくださーい。』と言われたので、彼は大人しく待っていました。」
「ぅぅ……。」
言いにくそうに口を閉ざしたユアンスに代わって、ミーリャが続きを説明すると、麻美花は俯いたまま恥ずかしそうに唸った。
「私もその時は居ましたが、時間が掛かりそうだから先に帰るように彼に勧められ、お言葉に甘えて帰らせていただいたものの、朝になっても帰ってきていなかったため、様子を見に来たら彼が凍っていたので、もう一度チャイムを鳴らさせていただきました。」
ミーリャの言葉に、全員がユアンスを見る。
「しばらく経ってからもう一回鳴らせば良かったじゃないの。」
代表して言った美結に、ユアンスは笑って返す。
「『ちょっと待って。』って言われたからね。待っていただけなんだ。そうしたら、夜の真っ暗になった頃かな?屋根から降り積もった雪が大量に落ちてきてたんだ。そして気がついたら、日は昇っていて僕は凍っていたんだよ。」
「ぁゎゎ……。」
麻美花が慌てふためく。
「昨日、いつもみたいに屋根に乗ったら、雪が全部滑り落ちちゃった……。全部私のせいです!本当、ごめんなさい。」
「麻美ちゃんは悪くないよ。私は暇だったんだから、こたつでゴロゴロしてないで、私が出れば良かったんだよ……。」
「いや、私は一番玄関に近かったんだから、私が出れば……。」
「先に帰ってすみません……。」
「…………チャイムの音に気づかなくて悪かったな。」
じー……。
麻美花に続いて、美代、美結、ミーリャ、優馬が順に謝り、最後にユアンスに視線が集まる。
「……そ、その、……忘れているという可能性を考えずに、辛抱強く待ってしまってすみませんでした……。」
「「「いいよ。」」」
「まぁ、それなら仕方ありません。許しましょう。」
「……ん。だな。」
「ちょ……おぃ…………なんで俺が悪者になってんだよぉぉぉーーーーー!!!俺は被害者だぁぁぁーーーーー!!!」
普段は穏やかに笑っているだけのユアンスが、珍しく怒りを露わにし絶叫した。