【短編ギャグ】妹が俺に冷たい
少年には妹がいた。
二つ離れた、目に入れても痛くないほど可愛い妹。
小さい頃は、お兄ちゃん、お兄ちゃんと、どこへいくにも付いてきた。
手を引いてやれば嬉しそうに笑い、名前を呼べばどこへでも後ろをついてきた。
だが、今の妹は彼に冷たかった。
目を合わせようとすればすぐに逸らされ、話しかけても無視をされる。
そのことに兄は心を痛めていた。
「何か心当たりはあるの?」
相談相手の幼馴染の女子が、訪ねてくる。
「最近、あいつが着替えているところを間違えてドアを開けちまってな」
「それは怒られても無理はないよ」
「何度謝っても許してもらえないんだよ」
「まあ、そのうちほとぼりも冷めるって」
「代わりに俺の着替えているところを見せたのに、何で許してくれないのかな~」
「多分、喧嘩売ってるのかと思ったんじゃないかな」
幼馴染は淡々と答えた。
「はあ~、小さい頃は良かったな~」
兄は遠い目をして、過去を思い出していた。
「昔は俺のお下がりも喜んで着ていたのに、今じゃ見向きもしない」
「そりゃ、大きくなったんならしょうがないでしょ」
「だから、今では代わりに俺が妹のお下がりを着ているんだ」
「うん?」
兄が胸をはだけ、ズボンを下ろすと、リボンがついたピンク色のブラとパンティが姿を現した。
股間はもっこりとしており、玉が外にはみ出ている。
「ぎゃあああああっ!」
幼馴染は全力で悲鳴を上げた。
「何でそんなもん着てんの!?」
「お下がりを着ることで、あいつの存在が近くに感じられるような気がしてな」
「いやでも、下着はおかしいだろ!」
「あんたがそんなことするから、妹ちゃんも冷たくなるんでしょ。年頃なんだからさ」
「なにが年頃だ。お前みたいな年増と一緒にするなよ」
「殺すぞ」
「妹はまだ下の毛も生えてないほど純粋な存在なんだぞ」
「げっ……」
あまりのキモさに、幼馴染は絶句した。
「……いや、何であんたそんなこと把握してんの? キモいんだけど」
「それくらい普通だろ」
「普通じゃないよ。何で知ってんの?」
兄は幼馴染の無知を笑うようにため息をつき、そしてこう言った。
「だってまだ生えてきたって報告受けてないし」
「そんな報告の義務はねーよ」
「いやでも、生えてきたら普通家族に報告するだろう?」
「しねーよ」
兄の狂った常識を、幼馴染は容赦なく切り捨てた。
「俺なんか、生えてきた時は嬉しくて全裸で近所を走り回ったよ」
「キモい! 死ね!」
もはや幼馴染も少年に優しくする理由が無かった。
「思えば、妹が冷たくなったのもその頃だったな……」
兄は髪を掻きむしりながら頭を振り回す。
「ああーっ、一体どうして妹は俺に冷たいんだーっ!」
本気で悩んでいる。
心から不思議がっている。
そしてそれを、幼馴染は冷ややかな目で見つめた。
(答え、出てんじゃねーか)




