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2. 静寂の寓話:少年の章
村人に信じてもらえなかった少年の視点から、
あの夜に感じた“違和感”と恐怖が語られる。
叫んでも届かない経験が、少年の心を静かに変えていく。
あの夜、風の音がいつもと違っていた。
羊小屋の戸を閉めたとき、背中に冷たいものが走った。
丘の向こうから、低く長い息づかいが聞こえた気がした。
「また風だよな……」
そう言い聞かせても、胸の奥がざわざわして落ち着かない。
昼間に見つけた、あの深い足跡が頭から離れなかった。
村に戻って叫んだとき、誰も信じてくれなかった。
あの日、笑われたときの村人の顔が浮かんだ。
胸がきゅっと縮むように痛んだ。
だから、今度は叫ばない。
叫んでも、どうせ誰も来ない。
……でも、あの音は、風じゃない。
森の木々が、不規則に揺れていた気がした。
次話:3.静寂の寓話:旅人の章
2026/2/18 20:00に更新します




