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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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アラディンの弟子

 6回、7回と聖水を降り掛けた。

 するとハムレットが光り輝きだした。

 ハムレットは死を覚悟していただけに涙が頬を伝わって落ちた。

 そのハムレットに駆け寄って女性が一緒に泣き出した。

 妻のジュリエット、メーア30歳だ。



 ゴールドは5人目の男性に声をかけた。

「私はナイルス、ワシントン35歳、王国第2軍副隊長です。一週間前にウルフと戦い、噛み付かれた所からばい菌が入り、左腕を切り落とす治療を明日行う予定です。」

 ナイルスは前の4人を見て、自分から話だした。

「ライオス、服を脱がせてあげなさい。」

 ライオスはナイルスの服を脱がせてあげた。

 左腕が膿を持っていて、異臭を放っていた。

 ライオスは布を聖水に浸し、その左腕にそっと置いた。

 そして頭から聖水を降り掛けた。

 1回、2回、3回、4回目を降り掛けた時、ナイルスは光りだした。

 光が収まると、きれいな左腕が、そこにあった。

 周りにいた約100人の人々は神の奇跡をそこに見た。


 1人の男性が前に出て質問した。

「この神の水があれば、私にも奇跡が起せますか?」

 ゴールドは即座に答えた。

「これはライオス王の力です。この聖水だけでは効果はありません。」

 ここでハイと答えると、ライオスは聖水作りにかかりっきりにされるだろうと感じたのだ。

 神も巫女や神王には、秘密にするよう言ったとおっしゃっていた事を思い出していた。



「弟子、ライオスよ。」

「はい、お師匠さま。」

「その聖水は効果が1週間だ。それに初めてお前が作った聖水だ。この袋に入れて持っていなさい。まだ半分は残っている。もったいない。」

「この袋は何でしょうか?」

「この袋は異空間収納袋でいつまでも聖水の効果が無くならない入れ物だ。」

「お師匠様、ありがとうございます。なんか凄い入れ物ですね。」


 ゴールドはこの異空間収納袋の中に斬鉄剣改2本と各種ポーションを入れて渡した。

 中身の説明をしようと思ったその時、アラディンがやって来た。

 アラディンはゴールドを見たが、まずライオス王に跪いた。

「アラディン、ナパ、ただ今参上仕りました。」


「おおーっ、良く来てくれた、アラディン。

 私はこれから使徒さまと修行の旅に出かける。

 そこで、このナトニア王国の全権を宰相ジェイガン、アシュウイン、アラディンに一任する。

 3人でこの国を守ってくれ。」


「はっ、命に代えましても、ナトニアを守ります。」

「よろしく頼む。」

「ライオス王、しばしお待ち下さい。」

「何でしょうか、ハーディン殿。」


「ジェイガン殿は宰相、アシュウイン殿も歴戦の勇士、このお2人は良いとして、アラディン殿はナパ領の若様とは言え、まだ16歳です。

 私は反対でございます。

 ここにいる多くの者が不安に思っていると思います。」


 ライオスはゴールドを見た。

 ゴールドはハーディンの前に出た。

 ハーディンはゴールドを見返した。

 何度見ても、強いとは思えなかった。

 これだけの奇跡を見せても、やはり力こそが全てだと思っている人種なのだ。

 元は獣人族の血が入っているのかとゴールドは思った。

 また、サンターナにお願いしても同じだろう。

 こう言った人間には、直接力を見せなければ納得しないのだ。


「アラディン、このハーディン殿と手合わせをしてくれ。ハーディン殿もそれでよいか?」

「構いませんよ。アラディン殿につわものの力を見せて上げましょう。」

 ゴールドは2人にサーチを放った。

 アラディンのレベルが78でハーディンのレベルが35だ。

 大将にしてはハーディンのレベルは低い。

 1年前からの戦いで歴戦の勇士達は倒れているのだ。


「アラディン、槍は使わずに腰の鉄剣で戦いなさい。」

 アラディンは槍をアシュウインに預けて、腰の剣を抜いた。

 ハーディンは鋼の剣を構えた。

「アラディン殿、いつでもよいぞ。」

「ではハーディン殿、行かせてもらいます。」

 アラディンの身体がふっと揺らいだように周りの人々には見えた。

 アラディンの剣がハーディンの咽喉に突きつけられていた。


「くうっ、もう一手お願いする。」

 アラディンはゴールドを見た。ゴールドは頷いた。

 アラディンは強めに出るつもりなのだ。

 最悪ハーディンは死ぬかもしれない。その確認をゴールドにしたのだ。

「行きます。」

 アラディンは声を出した瞬間に鍔迫り合いをするようにハーディンに体当たりした。

 ハーディンはアラディンが体当たりをした瞬間に10mをすっ飛び部屋の壁に激突した。

 口から血反吐を吐き、そのまま意識をなくした。

 ゴールドはサーチをハーディンに放った。

 内臓が少し破損して、骨が何本が折れている。

 このままでは本当に死にそうだ。


 ゴールドはハーディンにエリクサーを降り掛けた。

 ポーションが飲めるのなら、ハイポーションでも治療可能なのだが、ハーディンはポーションが飲める状態ではない。

 欠損だけならハイポーションを欠損した場所に振り掛ければ治るのだが、内臓破損は飲まなければ治らない。

 注射が打てればいいのだが、この場で注射は不味い気がしたのだ。

 改めてエリクサーの凄さを実感したのだった。

 振りかけただけで死んだ者でも生き返るのだ。

 これこそ神の薬だろう。


 ハーディンに凄い光りが集まり出し、5分ぐらいして光が無くなると意識を取り戻した。

 周りの者はえっと思った。どう見ても重症で死に掛けていたのだ。

 ハーディンはゴールドの前を通り越し、アラディンの前に進んだ。

 ハーディンは剣をその場に捨て、アラディンの前で頭を床につけた。


「アラディン様、私を貴方様の弟子にしてください。お願いいたします。」

 頭を床につけたまま、声を発した。

 アラディンはまた、ゴールドを見た。ゴールドは頷いた。

「ハーディン、私の修行は厳しいぞ。それでもついてくるつもりか?」

「はい、お供させてください。」

「弟子は師匠に対して、心も身体も捧げなければいけない。師匠の言葉は絶対だぞ。それでもついてくるか?」

「はい、仰せのままに。」

「よし、今からお前は私の弟子だ。しかしついて来れない時は、師弟の絆は解消する物と心得よ。」

「はい、命に代えましても。」


 この時からナトニア王国第3軍は実質アラディンの指揮下に入った。

 ライオスが戻るまでの1年間、第3軍は地獄の実戦を経験する事になる。

 第1軍と第2軍は王都の守りについていた。

 第3軍は、地方で反乱があればアラディンに率いられて、遠征したのだ。

 そして普段は王都の上の森で狩りに専念した。

 ここはまだ手付かずで、ミノタウロスやグリーンドラゴン、ルナ モスラなどの強力な魔物が沢山生息していたのだ。


 第3軍は訓練と称して、この森に出かけては魔物と戦ったのだ。

 ミノタウロスは体長5mの怪物だ。

 人族が戦って勝てる相手ではない。

 第3軍5,000名が始めてミノタウロスと遭遇した時、兵士は蟻の子を散らすように逃げに逃げた。

 そいつは森の岩陰から突如現れた。

 棍棒を振り上げれば8mぐらいの高さがある。

 そこから兵士めがけて棍棒を振り下ろしたのだ。


 幸い怪我もなく一撃目は避けられた。

 しかし2撃目は兵に死人が出そうな感じだった。

 5mもあるのに動きが結構速かったのだ。

 ミノタウロスを見上げて死を覚悟した兵士は10名はいただろう。

 その時、ヒュンと音がしてミノタウロスの眉間に穴が開いて、ミノタウロスは倒れた。

 兵士が後を見たら、アラディンが立っていた。

 その直ぐ後にハーディンはいたのだ。


 アラディンがミノタウロスの方へ駆けるので、自分も震えながらではあったが走って着いて来た。

 アラディンは手に持っていた槍をミノタウロスに投げた。

 槍はヒュンと音を立てて、ミノタウロスに吸い込まれて行ったのだ。

 そしてミノタウロスは倒れた。

 ハーディンは改めて我が師匠の実力を知った。


 1年後、アラディンがナパへ帰る時、ハーディンも一緒について行った。

 この時点で第3軍は最強の軍隊になっていた。

 ハーディンはこの歳まで独身だった。

 ナザレス領の3男で、小さい時から軍に入って出世を目指したが、中々実力がつかなかった。

 今回の魔物との戦いで自分より上の者が戦死したので大将になれたのだ。


 ハーディンはアラディンの僕のように命を惜しまず尽くすようになった。

 アラディンとアシュウインはゴールドから別れぎわに、異空間収納袋を貰った。

 その中には各種ポーションと斬鉄剣改が2本入っていた。

 その中の1本をアラディンはハーディンが海賊と戦いになった時、渡したのだ。

 2年後にはハーディンはレベル55までなった。

 それと共に、性格にも落ち着きが出て、皆から頼られる武人となって行った。



 ゴールド達はライオスを連れてナソーに帰って来た。

 シンフォニーがゴールドに抱きついた。

 この日も2人でブランコで遊んでいたらしい。

 奥からサイとキャロラインが出てきた。

 ゴールドはこれからベラドンナに帰る事をサイに伝えた。

 1年後ぐらいにまたお伺いする事も伝えた。


 帰り際にサイが尋ねた。

「その少年は何方でしょうか?」

 ゴールドは「あっ」と声を出してしまった。

 王様を紹介するのを忘れていたのだ。


「サイ殿、貴方はナトニア王国国王の名前をご存知か?」

「はい、ライオス、ナトニア国王です。」

「では歳は何歳かご存知ですか?」

「確か今年で17歳におなりになられました。」

 ここまで言われれば、サイにもピンときた。

 ライオスの前に跪いて挨拶をした。


「挨拶が遅れました。私はナソー領を預かっているサイ、ナソーでございます。ライオス王よ。」

「サイ殿、今回はアシュウイン殿にお世話になります。よろしく頼みます。」

「勿体無いお言葉。」



 ゴールド達はベラドンナの拠点に帰って来た。

 拠点にはアデリナ姫とナイキ、ロビナとその侍女が4人、計6人が暮らしていた。

 それでライオスの部屋が無かった。

 ゴールドは空間拡張を使って部屋を5部屋増やした。

 どう見ても13人も住んでいるようには見えない。

 元が貴族の邸でも、その前は兵士の夫婦用の家なのだ。

 明日から修行を開始する事を3人に伝えて、この日は眠る事にした。


 ベッドに入る時、ユリア姫がゴールドにお願いした。

「私にも魔法を教えて下さい。私もポーションを貴方と一緒に作りたいわ。」

「ユリア、ありがとう。魔法はアリスに習った方が良くないかい。私がユリアに魔法を流すと、恥ずかしい事になるだろう。」

「ゴールド、私は貴方に習いたいわ。私は貴方の妻ですよね。」

「そうだよ、ユリアは私の妻だ。」

「それなら妻が恥ずかしい姿や言葉を夫の側で見せたり、発したりしてもいいわよね。」

「ああー、私は構わないよ。」

「じゃあ、お願いするわ。」


 ゴールドはこの夜からユリアの魔法の覚醒の練習をした。

 先ずは生活魔法Lv1ファイアの魔力を流し込んだ。

 ユリアは快感が最高潮に達してイッてしまった。

 その瞬間に気を失って朝まで眠りについた。

 朝起きた時、生活魔法Lv1ファイアに覚醒していた。凄い速さだ。

 相性がバツグンだとこんなにも早く覚醒するのだと思った。


 今日から弟子3人に魔法の覚醒を試みた。

 アデリナには炎魔法、ナイキにも炎、ライオスにも炎魔法Lv1魔力10Mpを流して行った。最終的にアデリナ姫は風魔法と水魔法、回復魔法に覚醒、

 ナイキは炎魔法、風魔法に覚醒、

 ライオスは炎魔法、風魔法、土魔法、回復魔法、聖魔法に覚醒したのだった。

 ユリア姫は生活魔法Lv7まで覚えた。4属性は全てレベル3まで覚え、回復魔法と聖魔法をレベル5まで覚えてしまった。


 次の段階は魔力操作だ。

 魔力を流して相手の身体の中をグルグル回すのだ。


 この訓練の前にゴールドは妖精国のランディ地下王国へアダマンタイトのナイフを受け取りに行った。

 アダマンタイトのナイフを持っていると魔力操作が楽になるからだ。

 ゴールド達はランディ地下王国の門の前にワープで飛んだ。

 門にはタイソン、ランディとナウマン、ランディがいた。


「タイソン殿、またおじゃまいたします。」

「よくおいでくださいました。ナイフは完成しています。では、早速サルヴァトーリ殿のお店に参りましょう。」


 サルヴァトーリの店についてドアを開けて中へ入った。

 中にはドミニカがいた。

「あっ、タイソン様、それと使徒さま。よくお出でくださいました。ただいま、主人を呼んで参ります。」

 奥の工房からサルヴァトーリが出てきた。

 サルヴァトーリはゴールド達を見て店の机の下からナイフを5本取り出した。

 1本は小さいナイフだ。


「出来ています。これがアダマンタイトのナイフです。」


「おおーっ、ありがとうございます。

 この小さいナイフはシンフォニーだな。

 はい、ユリア。これはアリス、そしてこれがサンターナだ。」


「ふふふっ、何か嬉しいわ。」

「喜んでくれてありがとう、アリス。」

「サルヴァトーリ殿、後二つ頼みがあります。一つは追加でナイフを5本お願いいたします。代金はこちらでいかがでしょうか?」


 ゴールドはアダマンタイト鉱石をナイフ20本分くらい取り出して地面へ置いた。

「これでは貰い過ぎですよ。」

「いえ、もう一つのお願いの代金込みです。」

「もう一つの願いとは何でしょうか?」

「はい、誰か1人、私達と一緒にローム王国のベラドンナまで来ていただけないでしょうか?」

「何をするのですか?」

「一つは鉄鉱山を見て頂きたいのです。よければ掘り出しの指導もお願いしたいです。もう一つは、私が作る冒険者ギルドの会員へ剣を作って貰いたいのです。」

「なるほど、分りました。どちらもお受けいたします。」

「おおーっ、ありがとうございます。」

「まず追加のナイフの件ですが、ここに2本あります。これをお持ち帰りください。残りの3本は半年後に納品可能です。」

「この2本をもらっていいのですか?」

「はい、余分に頂いたアダマンタイト鉱石から5本のナイフを作ったのです。3本は王家がお買い上げになられました。」

「おおーっ、凄いですね。」

「アダマンタイト鉱石がいつ入るか分らない情況なのです。欲しい者には、咽喉から手が出るぐらいに欲しい物なのですよ。」

「ありがとうございます。」

「鍛冶師の派遣は私の弟子に行かせましょう。ドミニカ、ドルモアを呼んで来てくれ。」

「あなた、娘を行かせるつもりですか?」

「使徒さまならお前も安心だろう。」

「娘はまだ世間知らずです。」


「お前が側に置いておきたい気持ちは良く分る。

 やっと出来た娘なのだ。

 しかしドルモアは外が見たいとやかましいじゃないか?

 エルフの娘が、それで家出して捜索願いが出ていたじゃないか?

 娘も家出するかもしれないぞ。」


 ゴールドはアリスを見た。

 アリスは罰が悪そうに下を向いていた。

 ドミニカは娘を連れてきた。


「オヤジ、外に行けるのか?」


 最初、ここを訪れた時見た弟子の中の女の人だ。

 身長110cm、金髪の髪を肩で揃えている。

 ゴールドには小学5年生ぐらいに見えた。

 父親に似て口は悪そうだ。

 胸は結構ある。ユリア姫より大きそうだ。

 肌は洞窟暮らしなので白い。顔は母親似で美人だ。

 ドルモア、ランディ480歳だ。

 サルヴァトーリとドミニカの1人娘だ。




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