ロカ、ニルンルート
ステイタス
ロカ、ニルンルート11歳
レベル5
HP 35
MP 30
力 20
体力 30
敏捷 35
器用 30
魔力 40
剣術Lv4
風魔法Lv1ウインド
特技 鉱物鑑定
ゴールドは久しぶりに驚いた。
先ず名前がマークではなく、ロカ、ニルンルート。
サーチで表されるこのステイタスは神ムーン シルバー様が教えて下さっている物なのだ。マークは本当の名前を知っていてマークと名乗っている訳ではないのだろう。
マークは孤児院に捨てられていた?と自分でも言っていたしナウマンもシスター、サイラ ムーランから孤児院に捨てられていたと聞いていると言った。
魔力がレベル5なのに40もある。どれだけ頭がいいのだ。
剣術もレベル4だ。なるほど剣に愛されている。
風魔法は確かに覚醒している。
さらにその下に特技があった。
獣人族以外で特技を持った者は見た事がなかった。
マークの先祖は獣人なのだろうか?
その時、ふっとラームー王国の宰相カサブランカス、ニルンルートの話を思い出した。
マークはカサブランカスの兄、カサンドロスの子供なのだろうか?
ゴールドは鉄鉱石を取り出してアンリ王子に尋ねた。
「アンリ殿、この石が何か分りますか?」
アンリはじっと石を見て答えた。
「この石はローム王国で採れる鉄鉱石でございます。」
「おおーっ、すごい正解です。何故アンリ殿はこの石が鉄鉱石だと知っておられるのですか?」
「はい、王家ではローム王国で生産される小麦や野菜、捕獲される鹿や猪、獲れる魚の名前、採掘される鉱物を教えられます。
採掘される鉱物は、この鉄鉱石だけだと教えられ、その時実物を見せられました。」
「なるほど、ではこの石は何か分りますか?」
「この石は銅貨の色に似ています。銅を含んだ石ですか?」
「マーク、この石が何か分りますか?
心を静かにして、身体の中にある温かい流れる物を探して、それを感じたら、この石が何かを心から願いなさい。」
マークの身体がうっすらと光った。
魔力が流れたのだ。
「勇者さま、この石は金鉱石です。」
「よし、ではこの石は何でしょうか?」
ゴールドはレビテイション鉱石を取り出した。
またマークの身体から魔力が流れて行った。
「この石はレビテイション鉱石です。」
「マーク、何故この石がレビテイション鉱石だと分ったのですか?」
「自然に頭の中に石の名前が浮かんで来ました。」
ゴールドは間違いないと思った。
「マーク、良くお聞きなさい。
これから話すのは、お前の生い立ちに関してだ。
それと会わせたい人がいる。
先ずはお前の生い立ちだ。
お前の名前はロカ、ニルンルートだ。」
アンリは直ぐに気付いた。
ラームー王国で聞いた話なのだ。
「ロカ、ニルンルートですか?」
「そうだ、間違いない。
石の鑑定が出来る人族はニルンルート一族だけなのだ。
お前の父の名はカサンドロス、ニルンルート、母の名はアズリール、ロカと言う。
二人は恋に落ちて駆け落ちをした。
お前の母がお家騒動に巻き込まれた為だ。
しかし、お前の両親はロカ領が5首ヒドラに襲われた時、ロカ領を助ける為、お前を孤児院にあずけて戦いに行ったのだ。
見事2人は5首ヒドラを倒したが、その戦いの最中に毒の傷をおって死んだのだ。
お前の両親は英雄だ。
しかしお前を迎えに行けなかった事が、どんなに心残りだったろうと私には無念に思えてならない。」
ゴールドの頬を涙が流れた。
「今からお前に会わせたい人の所へ行く。アンリ、一緒に来なさい。」
ゴールドはワープの詠唱を始めた。
「天空と次元を翔け、我を届けよ。ラームー王国。ワープ。」
この時ユリア姫がゴールドに抱きついた。
一瞬で景色が変わり、何処かの部屋の中にいた。
アンリはここが何処か分った。
ラームー王国女王、エカテリーナ、ラームー女王の執務室だ。
目の前にエカテリーナ女王、その横に宰相のカサブランカス、ニルンルートがいる。
女王の反対側にいるのはエルマンガルド、ラームーだ。
護衛の騎士もいたのだが、誰も剣を抜かなかった。
「使徒さま、何か御用でしょうか? 」
「エカテリーナ様、本日はカサブランカス殿に会わせたい人物を連れて参りました。
カサブランカス殿、この少年は!!!!!!」
ゴールドがカサブランカスを見たら涙を流していた。
「カサブランカス殿、如何なされたのだ。」
「ゴールド様、生き写しなのでございます。兄カサンドロスにそっくりでございます。」
「そう言えば、少年の頃、良く遊んだカサンドロスにそっくりだな。」
前王エルマンガルドが言った。
「貴方の名前は何と言われる?」
「はい、私の名前は。」
ここでマークはゴールドを見た。そして。
「私の名前はロカ、ニルンルートでございます。」
「ロカ、ニルンルート!!
そうか、ロカ、ニルンルートか。
おおーっ、私の甥よ。
よく生きていてくれた。」
カサブランカスはロカを抱きしめた。
この日、ロカはニルンルート家に泊って父の肖像画や剣を見せて貰った。
父の話も聞かせて貰い、今までの孤独な人生が変化していくのを感じていた。
ロカはもの心ついた時から今日までの事を話したのだった。
帰る時、ロカはカサブランカスに引き止められたがアンリ王子の弟子になる事を選んだ。
この日以来、アンリとロカの絆が切れる事はなかった。
次の修行の段階に入った。
次はロカの魔力をグルグル回すのだ。
アンリがロカの魔力をグルグル回す度にロカはエクスタシーに落ちて気を失ったのだった。寝顔は恍惚としている。
10日目にしてロカは魔力操作に覚醒した。
早いがしかしここからが長かったのだ。
ロカが錬金魔法Mp10、ヒールポーションに成功したのは半年後だった。
あとで分るのだが、才能のある者で1年、通常は3年を要するのだったのだ。
1年間、毎日気を失うのだ。
そんな中、死人も出た。
最悪の相性にて無理に魔力を流した結果だった。
しかし一旦錬金魔法Mp10に覚醒すれば、裕福な生活が出来た。
それでこれが一種の特権階級を生み出した。
悪に走る者まで出たのだ。
ゴールドは錬金術師ギルドを使って悪に走る者を厳しく取り締まり罰した。
魔法付与した契約書を作り、弟子を守ったのだ。
次の日、ナトニア王国国王、ライオス、ナトニア17歳を弟子にする為、ナトニア王国ナッシュビルへ行く事をアリス達に伝えた。
それを聞いたアリスは冒険者ギルドの建物建設をカスパー、クロスフィールドに任せて、自分も一緒に行くと言い出した。
当然サンターナ、シンフォニー、ユリも一緒に行くと言った。
全員で一旦王家の私邸に行ってアンリに挨拶をした。
アンリには既にこの事は伝えていたのだ。
アンリの今日の日程は、先ずロカに魔力を流す事から始め、錬金術にてポーションの作成をするのだ。
ゴールドが王家私邸に来ると庭に馬車が2台止まっていた。
本日アデリナ姫とナイキが王都へ帰る事になったらしい。
ナイキは父ナウマンの側で別れの挨拶をし、アデリナ姫は兄に別れを言っていた。
ゴールドを見たナイキはゴールドの元に走ってやってきて跪いた。
「ゴールド様、私をゴールド様の弟子にして貰えないでしょうか?」
「ナイキ殿、私の修行は厳しいぞ。命を捨てる覚悟が必要だ。貴方にその覚悟がありますか?」
「私はゴールド様との決闘に敗れた身です。死ぬ所をゴールド様に助けて頂いた命です。神へ捧げる覚悟は出来ています。」
「よし、ナイキ殿には今から私の魔法を受けて貰う。もし、魔法を受けても死ななかったなら、弟子にしてやろう。」
「本当でございますか?」
「私は神ムーン シルバー様の使徒だ。嘘はつかない。では、そこに立ってみなさい。」
ナイキは泉の前に立った。
ゴールドは風魔法Lv1ウインドを強めに魔力を流して発動させた。
強風がナイキを襲った。ナイキは耐えた。
強風が暴風になった時、ナイキは地に伏せた。
暴風が荒れ狂いだした。回りの者は流石にナイキを心配しだした。
ナイキは耐え切れなくなり、邸の方へ吹き飛ばされていった。
最初はゴロゴロと地を転がり、途中から木の葉のように空を飛んで、邸の壁に激突しようとした。
それをサンターナが抱きかかえて助けた。
「サンターナ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
「ゴールド、館の屋根が壊れたわよ、やりすぎじゃない。」
「アリス、これぐらいの魔法でないと覚醒はしないのだよ。サンターナ、ナイキは生きているか?」
「気絶しているけど、生きています。」
「そうか、実験は成功だな。」
「えっ、成功したの?」
「ああ、ナイキは風魔法Lv1に覚醒した。
レオの時と同じだな。
まあ、レオは自分で戻って来れたけどね。」
「何言っているのよ。
レオ、激怒して死ぬかと思ったと言ったじゃないの。
それにあの時のレオのレベルは46ぐらいあったじゃないの。
この子供のレベルはまだ12じゃないのよ。
よく死ななかったものだわ。」
「ゴールド様。」
「はい、どうかされましたか、アデリナ姫様。」
「私もゴールド様の弟子にして下さい。」
「先ほどの私の修行を見ておられましたね。ナイキ殿でさえ、あの通りですよ。貴女では、死んでしまいます。」
「私はゴールド様になら殺されてもかまいません。それで死ぬのであれば、神のご意思なのでしょう。」
目が真剣だ。ゴールドには何かを思いつめたように感じられた。
アデリナ姫は最初から死ぬ覚悟なのだ。
ゴールドはついもう一つの実験をする事を考えた。
神に言われたのだ。素質がある者で、お前がやれば1回で覚醒すると。
アデリナ姫には回復魔法の素質があるとゴールドは考えていた。
故に教会に入って修行をしているのだ。
死に掛けた所に回復魔法をその身で受ければ、覚醒するだろうと思っていた。
だが、この方法は普通では使えない。
この状況は、この実験をするのに最適なように思われるのだ。
もう一つはサンターナの回復魔法の覚醒だ。
サンターナは今まで、特技を使ってパーフェクトヒールを何度も使ってきた。
しかし回復魔法には覚醒していないのだ。
今まで回復魔法をかけた相手は手首や足の欠損した人々だ。
しかし命に別状がある人々ではなかった。
今、死にかけている人に回復魔法をかけたなら、覚醒するのではないかと思っていた。
この二つの実験を同時にするチャンスだと感じたのだった。
「よし、アデリナ、この試練でお前が魔法に覚醒したら弟子にしてやろう。覚醒しなかったなら王都へ帰るのだ。よいか?」
「はい、ゴールド様の仰せのままに。」
「サンターナ、特技パーフェクトヒールの発動準備をしてくれ。」
「分りました。」
ゴールドは回復魔法Lv7リジェネーションをアデリナ姫にかけた。
右手に水魔法Lv3ウォーターカッターを高速で回転させた。
「キーン」と音がしだした。
「アデリナ、左手を横にかかげよ。」
アデリナ姫は腕を横に上げた。
その瞬間にチクッと痛みが走った。
そこに自分の腕はなかった。
その代わり、白い光が腕の形を作りだしていた。
サンターナはゴールドがアデリナ姫の腕を切り落とした瞬間にパーフェクトヒールをかけたのだ。
3分ぐらいして光が無くなると、何事もなかったようにアデリナ姫の腕はそこにあった。
ゴールドはサーチをアデリナ姫に放った。
ステイタス。
アデリナ、ローム13歳
レベル10
HP 50
MP 20
力 20
体力 30
敏捷 40
器用 40
魔力 20
剣術Lv3
回復魔法Lv4シック 水魔法Lv1ウォーター
回復魔法がLv4だ。
やはり素質があったのだ。
また水魔法にも覚醒している。
そしてサンターナも回復魔法Lv1リトルヒールに覚醒したのだった。
「アデリナ、お前は試練に勝った。
今から私の弟子だ。
弟子の心得を言っておく。師匠の言葉は絶対だ。身体も心を師匠に捧げるのだ。
嫌だと思ったら、いつでも契約破棄出来る。
では最初の修行だ。
私が唱える言葉を唱えるのだ。
癒しの女神よ。我が願いを受け、我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」
アデリナ姫は詠唱をした。
「癒しの女神よ。我が願いを受け、我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」
その瞬間にアデリナ姫の身体から魔力が10Mp抜けて行った。
そしてアデリナ姫の身体にあった小さな傷が消えていった。
アデリナは半分の魔力を使ったので少しふらついた。
「よし、リトルヒールは覚えたな。次からはダンジョンにアタックするので準備をしておきなさい。」
「はい、分りました。」
この後、ゴールドはナトニア王国のナソー領、サイ、ナソーの家に飛んだ。
岩をくりぬいた家だ。そのベランダにワープで飛んだのだ。
シンフォニーは直ぐ家の中に駆け込んで行った。




