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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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アダマンタイトのナイフ ユキ

ここまで来ると一種の自立型ロボットだ。

 エネルギーがユグドラシルのマナだけだったので、アダマンタイト鉱石の中に、太陽光パネルを設置して補助エネルギーとした。

 またイオン推進エンジンとニュートロンエンジン、博士が開発途中だった素粒子エンジンを組み込んだ。


 素粒子エンジンは素粒子を捕まえて燃料とするエンジンで通常のガソリンエンジンの100倍の出力が出せた。

 ここまで作って実験をした。

 1号と名づけられたナイフにゴールドは話しかけた。


「1号、私の声がわかるか?」

「はい、ゴールド様、分ります。」


 声は女性の声だった。

「では、1号浮き上がれ。」

「はい、ゴールド様。」


 1号はそのままナイフの身体の下側から風魔法Lv1ウインドによって空中に浮き上がった。


「この先、300mにスケルトンがいるのが分るか?」

「はい、分ります。300m先と500m、左側1km、右側3kmにもスケルトンがいます。」

「スケルトンソルジャーの位置は分るか?」

「はい、スケルトンと同じ位置に1体づついます。」

「よし、今確認出来る魔物を殲滅せよ。」

「了解です。」


 1号は飛び去り、300m先のスケルトンとスケルトンソルジャーに体当たりをして突き抜け、次々と魔物達を倒して行った。

 そして自力で戻って来たのだった。


「1号、自分で戻れるだけのエネルギーがあったのか?」

「はい、マナの吸収率が良い様でございます。」

「素粒子エンジンは如何だ?」

「 素粒子エンジンを使えば、この惑星から宇宙へ飛んで行き、何処までも飛行出来そうです。」

「時間や光の速度は越えられそうか?」

「やれば出来そうです。戻って来られるかは、微妙です。」

「なるほど。実験は成功だろう。」


 本来、ここはダンジョン内なので、衛生通信や太陽光エネルギーは使えない。

 素粒子はダンジョン内も飛び越しているらしい。

 1号はキウィとアクセスした時点で、キウィの支援により、セリカのモスキートAIロボからダンジョン内の情報を得ているのだ。


「よし1号、お前への命令権を私からアドリアナへ変更する。」

「了解しました。」

「アドリアナ、1号に何か命令してくれ。」

「貴女の名前はユキです。」

「了解しました。」

「ユキ、私の肩に止まってください。」

「了解しました。」

「友達のようにお話してください。」

「はい、よろしくね。」

「よし、いいだろう。1号、しっかりアドリアナを守るようにせよ。」

「了解です。ゴールド様。」

「1号、命令権はアドリアナにあるのではないのか?何故、私の命令を聞くのだ!!」

「はい、キウィ様のご命令で、第1命令権はゴールド様に設定されています。もし、これを破れば、私はAIユリア様に破壊されてしまいます。」

「そうか?」

「はい、そのように設定されています。」

「分った、そのままでいいよ。」

「ありがとうございます。」



 ゴールドは1号と同じナイフを後9本作って10本の連携が出来るようにした。

 素粒子エンジンはゴールドが研究していた物より、格段に性能がよく空間魔法Lv9転送を使う事無く、手元に戻る事が出来た。

 エネルギーもダンジョン内にも関わらず、素粒子エンジンは動き続け、何度でも使う事が出来るようになった。


 91階層のスケルトンとスケルトンソルジャーを倒して、ここで1泊する事にした。

 ゴールドは午後の時間を使ってアドリアナに魔力操作の訓練をした。

 アドリアナに10本のアダマンタイトの果物ナイフを机に並べさせ、それを操って空中で踊らせてみた。

 10号にマイケルジャクソンのスリラーの音楽を歌わせながら、残り9本に踊らせたのだ。


 そして最後に2本のナイフを人の足に見立てて、ムーンウォークを踊らせた。

 これを見たアドリアナは大喜びだった。

 ゴールドは神の力とは何なのかを理解し始めていた。

 魔力を使って、イメージした物をこのユグドラシル世界に実現させる力だ。

 自分の無限の魔力を持ってしたら可能だろうと思い始めていたのだ。


 ゴールドはアドリアナにナイフを2本使い、踊りを踊らせる訓練をさせてみた。

 アドリアナのナイフはマリオネットのような動きをしながら、踊りのステップを踏んだ。


「アドリアナ、その踊りは何ですか?」

「はい、吟遊詩人が教会の事前事業で子供達に歌って、人形を踊らせていた物です。」

「歌は覚えていますか?」

「はい、覚えています。」

「では10号に向かって歌ってみてください。」


「はい、歌いますね。名も知らなかった貴方と出会って、2人だけで語る夜は、短いけれど嬉しくて今宵は眠れそうもないわ。」


「えっ、これを吟遊詩人が子供達に歌って聞かせた?」

 違うだろう。

 今歌ったのは、アドリアナの今の気持だろう。

 アドリアナは歌い終わると涙を流していた。

 ゴールドが優しく抱いてあげると、強く抱き返して来た。

 ゴールドはアドリアナが落ち着くまで、やさしく抱きしめていた。



 その後10号が歌ってアドリアナは1号と2号を巧みに踊らせた。

 そして直ぐ3本、4本と躍らせる数を増やしたのだ。

 9本操るのに1時間とかからなかった。

 何がアドリアナをそうさせているのかは謎だ。

 最後にアドリアナは4本のナイフを人の足に、2本を胴体、2本を手、1本を顔に見立てて躍らせた。

 まだ、マリオネットの動きだが9本のナイフを同時に操って見せたのだ。


 訓練が終わり、ゴールドはアドリアナに生活魔法Lv3クリーンの魔法をかけた。

 アドリアナはバラの花の匂いに包まれ、うっとりした。

 その時、アドリアナは生活魔法Lv3クリーンに覚醒した。


 神王や巫女は生活魔法に覚醒し易いようだ。

 その夜、アドリアナはゴールドを抱きしめて眠りについた。

 ゴールドにアドリアナの胸が当たった。

 柔らかくて、プニプニとした感じだ。

 しかしゴールドは驚いた。

 ユリアの胸が、このように当たる事は、今まで1度もないのだ。


 神の眷属の身体の制約の為だ。

 しかし今は胸の柔らかさを感じる事が出来る。

 如何言う事だろう!!!

 しかしゴールドは考える事を止めた。

 アドリアナがすやすやと眠りについたからだ。

 歌の内容とかなり違うと思いながら、ゴールドも眠りについたのだった。


 ここからダンジョンクリアまでは早かった。

 何もしなくても、ナイフ達が魔物を倒したからだ。


 98階層のドラゴンスケルトンも10本のナイフがドラゴンスケルトンの身体を突き抜け、一瞬で光の粒になった。


 99階層のシャドーバタフライも10本のナイフが縦横無尽に走り回って、100匹の黒い蝶を倒した。


 100階層のアースドラゴンの硬い鱗さえ、ナイフは突き抜けたのだった。


 和音様に挨拶して剣と指輪を貰って帰って来た。

 和音様は今回も妖艶な美女の姿で、魂みたいな玉をかじっておられたが、ゴールドを見つけると幼女に変身された。

 ダンジョンクリアした時点のアドリアナのレベルは248まで上がっていた。


 翌日、ゴールドはアドリアナを連れて学食にやって来た。

「ゴールド様、学生と同じ食事をなさるのですか?」

「いや、今回はアドリアナにクレープを食べさせたくて来たんだよ。」

「学生食堂にクレープがあるのですか?」

「まあ、来てごらん。これがアドリアナのステイタスカードだよ。」

「これがステイタスカード!!」

「これをここにかざすと、食券が買えるよ。」


 アドリアナは気付かなかったが、アドリアナのステイタスカードには1,000万デジタルロムが入っていた。


 「このクレープの食券とアイスクリームの食券、後炭酸、氷入り蜂蜜ラモンジュースの食券を押してみて。」

「ピロリン、ピロリン、ピロリン」3枚の食券が出て来た。

 アドリアナはクレープを食べてみた。


「あっ、あの時のクレープの味だわ。」

 アドリアナは涙を流した。

「こっちのアイスクリームと一緒に食べると、いっそう美味しいよ。」

 アドリアナはアイスクリームと一緒にクレープを食べた。

 なんとも言えない味だ。

 感動のあまり、また涙を流した。

 そしてラモンジュースを飲んで、目を見開いた。

 この世の幸せが、いっぺんに訪れたようだった。



 この様子を見ていた学生3人がゴールドに絡んで来た。

「ようよう、オジサン、子供を泣かしたらダメだぜ。べっぴんさん、俺らと一緒に食べようぜ。」

「あの、貴方達はここの学生さんですか?」

「ああ、俺らはここの3期生だぜ。俺らはこれから魔法使いになるんだぜ。こんな年寄りといないで、俺らと遊ぼうぜ。」


 アドリアナはナイフを抜こうとした。

 その瞬間に3人は倒れた。

 それから5分ぐらいして、先生がやって来た。


「先生、このオジサンがカイサ達をやりました。」

「えっ、ゴールド様。なるほど、カイサ達をベラドンナの衛兵に渡しなさい。」

「えっ、カイサ達を衛兵にわたすのですか?」

「貴方は初代校長の名前を知っていますか?」

「はい、ゴールド、ユカワ先生です。」

「この方が、そのゴールド様ですよ。」

「えっ、では勇者様!!失礼いたしました。」


 ゴールドとアドリアナは拠点の邸に帰って来た。


「アリス、少し実験に付き合ってくれないか?」

「いいわよ。」


 3人は訓練広場にやって来た。

「アリス、特技、光の聖弓をもってアドリアナを撃ってみてくれないか?」

「えっ、死んじゃうわよ。」

「いや、大丈夫だ?と思う。」

「疑問形じゃないの。」

「アリス様、お願いします。」

「アドリアナ、死ぬかもしれないのよ。」

「私はゴールド様を信じております。」


 アドリアナは異空間収納袋より9本のナイフを取り出し、最後に腰に差しているナイフを鞘から抜いた。

「ユキ、わたくしを守りなさい。」

「了解、姫。」


 アドリアナは長いので、戦いの時は姫と呼ぶようにしたらしい。

 ユキの動きに合わせて、9本のナイフは円を画いて回り出した。

 アドリアナの前で、ナイフの刃が高速で回り出し、キーンと高い音を出した。

 さながら草刈機のようだ。


 それに対してアリスは光の聖弓を召喚して狙いをつけて光の矢を放った。

 光の矢は真っ直ぐアドリアナへ向かって行った。

 しかしユキ達は草刈機で草を刈り取るように、光の矢を刈り取ってしまった。

 ユキはキウィから情報を貰い、光の矢の軌道を読んで構えているのだ。

 キウィは衛生画像からアリスの筋肉の動き、身体全体の動きから、アリスに関する今までのデータと照合して矢の軌道計算を瞬時にして、ユキに情報を送っているのだ。


 アリスは光の矢を撃ち落されて本気になった。

 斬鉄剣改を抜いて、ユキに斬りかかった。

「あっ」とゴールドは声を出した。

 ナイフが斬られたと思ったからだ。

 しかし「キンッ」と音はしたが、ナイフは空へ打ち上げられただけで無事だった。


 流石アダマンタイト鉱石だと感心してしまった。

 アリスはレベル4,402だ。

 目にも止まらない動きで、ナイフ達を打ち飛ばして、アドリアナの咽喉に剣をつけた。

 アドリアナは、その場で膝をつき、「参りました」と声を出した。


「ゴールド、ちょっとやりすぎたかな?」

「いや、それでいい。ありがとう、アリス。」

「そのナイフ、中々良かったわよ。貴方が作ったの?」

「そうだね。」

「一つ、聞いてもいいかしら?」

「なんだい。」

「私の弓矢の軌道が、如何して判ったの?」

「キウィのサポートを受けているのさ。」

「キウィって、あの女性の事よね。」

「そうだよ。」


 アリスは一度、キウィの事をゴールドから聞いた事があった。

 しかし、あまりに難し過ぎて、頭に入らなかったのだ。

 凄い物と判っただけだった。

 ゴールドはナイフに関しては、これでいいだろうと思った。

 動きといい、耐久性といい、中々のものだった。


 ただアドリアナのレベルをもう少し、上げておこうと思った。

「ゴールド。」

「なんだい、アリス。」

「今のお礼と言っては何だけど、私の願いを一つ、聞いて貰えるかしら?」

「いいよ、アリス。」

「前に私がタンポポを風魔法と光の聖弓で倒したら、何でも願いを1つだけ叶えてやると言った事、覚えてる?」

「ああ、覚えてるよ。」

「じゃあ、今私がゴールドと模擬戦をして倒したら、願いを1つ叶えてくれる!!」

「いいけど、あの時は私が勝っているから、私の願いが1つまだ残っているよね。」

「えーーーっ、そんなのずるいわよーーっ。」

「あっ、ごめん、ごめん。今のは、無しです。」

「じゃあ、私が勝ったら願いを1つ叶えてね。」

「でも、アリス。今の私には勝てないと思うよ。」

「如何言う意味よ。」

「まあ、見ていれば分るよ。」


 ゴールドからうす青色の光の粒が渦を巻きながら立ち上がり、周りに広がって行った。

 アリスはゴールドから離れた。

 凄く危険な予感がしたのだ。

 光の渦は30mぐらいの広がりになり、そしてゴールドに一瞬で吸収された。


 ゴールドは斬鉄剣改を抜いた。

 その剣先をアリスに向けた。

 アリスは久々に恐怖を感じた。

 まだ、自分が弱かった頃、ドラゴンに対した時の事を思い出した。


 これは何かの間違いだと、自分に言い聞かせた。

 今の自分のレベルは4,402なのだ。

 このユグドラシルの世界で、これ以上の強者などいないと確信があった。


 もし、自分に勝てる者がいるとしたら、ユリアの特技、真女王かサンターナの特技、闇夜、今はシンフォニーと名乗っているかぐやの特技、分裂ぐらいだろうと思っていたのだ。


 いくらゴールドが神の使徒でも勝てると思っていた。

 それでも、何故か好きなのだ。

 離れられないぐらい好きだった。

 今回の願いも、ゴールドの側にぴったりくっ付いて眠る事なのだ。

 どんなに素敵だろうと想像するだけで下半身が濡れた。


 アリスも斬鉄剣改を抜いてゴールドに向けた。

 ゴールドが一歩、前に出た。

 下がるなと自分に言い聞かせても身体と心は1歩下がってしまうのだった。



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