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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
34/38

ロカ、ニルンルート 回復魔法で治療する

「ごちそうさま、美味しかったわ。お礼にこの家を綺麗にしてあげるわね。」

 ユリアは詠唱しだした。


「ユグドラシルのフェアリー、ブラウニーに命じる。この家を整理、整頓、清掃をして清潔にせよ。我らも清潔に。クリーン。」


 この詠唱をアナリーゼは覚えていて、ナイキ達のクリーンポーションが売り出されると、直ぐ買って家に帰って試したのだった。

 この頃、アナリーゼは学校が忙しく、アミーネとサルタナも護衛任務とダンジョンアタックに忙しくて家の掃除が出来ていなかった。

 アナリーゼは詠唱してクリーンホーションを使った。

 家はピカピカ、自分まですっきりピカピカ、バラの香りに包まれたのだった。

 この効果はほぼ1ヶ月間続いた。

 この間に果樹酒などをこぼしても、直ぐ綺麗になったのだ。


 また、一般の結婚している兵士がこのクリーンポーションを使ってみたら、家が新築のようにピカピカになって妻に喜ばれたのだった。

 効果はその場限りだったが。

 1個6,000ロム、兵士の約20日分の給料にあたるのだが、売れに売れた。


 ベラドンナとロベリアの結婚している兵士は全員買って家をピカピカにしたのだった。

 この噂は当然、王都を初めとして各領都へも伝わって行った。

 ナイキとロカのクリーンポーションは売れに売れ2人はクリーンポーション作りに追われた。


 二人は大金持ちになったが、それでもゴールドの言葉通り、仕事に励んだ。

 これが神ムーン シルバー様のご意思だと思っているからだ。

 そして王都から、つまり王家から王都でもクリーンポーションを販売して欲しいと要望が来た。


 ナイキとロカはゴールドに相談した。

 ゴールドは二人を連れて王都に飛んだ。飛んだ先には机があり、その向こうにフランシス、ロゴス39歳がいた。

 フランシスはゴールドを見て、椅子から立ち上がり、ゴールドの前に膝をついた。


「勇者様、良くお出で下さりました。」

「フランシス、元気そうだな。」

「はい、あれ以来病気に掛かりません。これも勇者様のお陰でございます。」


 その時、サティア、ロゴス29歳が部屋に入って来た。

 フランシスが膝をついているのを見て、ゴールドの前で膝をついた。


「わたくしはサティア、ロゴスでございます。」

「おおーっ、貴女がサティア!!なるほど神が貴女の側におられるはずだ。」


 サティアはゴールドが見ても、誠実そうな女性だ。

 そして神ムーン シルバー様の敬虔な信者なのだ。


「フランシス、ドレーク、本日はお願いがあり参った。」

「私にお願いですか?私は貴方の奴隷でございますよ。」

「奴隷にお願いしてはいけないのか!!」

「いえ、命令して下されば、何でも致します。」

「命令か!!いいだろう。フランシス、お前はクリーンポーションを知っているか?」

「はい、知っております。今、王都で噂のポーションでございます。」

「それなら話は早い。クリーンポーションを作っているのはこの二人だ。」

「えっ、この方達がお作りになっておられるのですか!! 」


 フランシスはなんと若い人だろうと思った。

 しかし勇者様と一緒におられるのだ。

 普通の人では無いと感じていた。


「クリーンポーションの王都での販売をお前に任せようと思って来たのだ。お前の取り分は1割だ。」

「勇者様、今王都ではクリーンポーションは何もしなくても売れます。私に1割など要りません。」

「お前にやるのではない。安心しろ。お前の子供、ニーナとカサールにやるのだ。二人に確りと学問をさせなさい。」

「勇者様、ニーナは6歳になって、今から冒険者学校へ入ると言っています。」

「冒険者学校は12歳からだ。それまでに確り勉強させなさい。その為の資金だと思え。」

「はい、ありがとうございます。」

「この部屋にカイケイ君とテンソウ君を設置する。売り上げはテンソウ君で送ればいいぞ。売り上げの1割を差し引いて送りなさい。」

「ありがとうございます。」

「サティア。」

「はい、勇者様。」

「ゴールドでいいですよ。」

「はい、ゴールド様。」

「貴女と出会った記念に何か1つだけお願いを聞いてあげよう。何でもいいぞ。」

「何でもいいのですか?」

「ああっ、何でもいい。」


「では、我が父の村の兵士長の腕を治してくださいませんか?

 以前夫からゴールド様がパーフェクトヒールなるポーションをオークションに出品なされたと聞きました。

 そのポーションを使った貴族の片腕が再生したと聞きました。」


「サティア、あれは300万ロムで落札された物なのだぞ。現代価値で9,000万円だ。」

「知っています。しかし今の私の願いは、父の村に必要な兵士長の腕なのです。」

「サティア。」

「はい、ゴールド様。」

「どんな願いでも叶えてあげると言われて、他人の事を願うのか!!」

「はい、私の今の願いは、兵士長の腕なのです。このままでは、村は滅んでしまいます。」

「そんなに兵士長は強いのですか?」




「父の村では、ゴブリン、ウルフ、オークなどの魔物が村を襲って来ます。

 村人は男30人、女20人の村です。

 兵士長は父の元部下だった人で、父に今までよく仕えてくれました。

 父は私を兵士長、名前をアスター、ロナウド38歳と10年前に結婚させるつもりでした。

 私も兄のように慕い、アスターと結婚するものと思っていたのです。

 しかし10年前、父がフランシスを連れて村に戻って来ました。

 私はフランシスに一目惚れしたのです。

 アスターはそれからずっと独身で村の為に尽くしました。

 そしてやっと1年前、カタリーナ19歳と結婚したのです。

 村で戦える者は父を含めて10名。

 父とアタスーでオークと戦って来たのです。

 半年前、オーク3匹とゴブリン15匹が同時に村を襲って来ました。

 村には門が2ヶ所あり表門をオーク3匹が、裏門に15匹のゴブリンが攻めて来ました。

 父とアスターは2人で表門へ、残り8名が裏門を守る事になりました。

 父とアスターは表門を出て、門の外でオーク3匹と戦いました。

 1匹のオークを倒した時でした。

 伝令が来て、裏門が破られたと知らせに来ました。

 裏門では兵士8名が門を閉めて、門の外にいるゴブリンを弓矢と槍で攻撃して門を守っていました。

 しかし一部のゴブリンが塀をよじ登って村に侵入し、後から攻撃して来たのです。

 このような事は始めてで兵士達は動揺しました。

 この隙をついて、門の閂を外されたのです。アスターは父に言いました。

 自分が、ここを抑えているので、裏門へ行って下さいと。

 父が裏門へ急いで行き、ゴブリンを後から襲って倒し、残りのゴブリンも兵士と共に倒し、急いで全員で表門に行きました。

 そこでは、片腕を失って、それでもオークと戦っているアスターがいたのです。

 全員でオークに襲い掛かり倒しました。

 アスターは、それを確認して意識を無くし、その場に倒れました。

 それから1週間後にアスターは奇跡的に目覚めました。

 村人全員の願いが神へ通じたと思われました。

 しかしアスターは元のような力は出せませんでした。

 利き腕を無くしたからです。

 今度、あのような事が起きれば、村は全滅してしまいます。

 村人もそれを恐れて、2家族が村を去りました。」




 サティアは涙を流していた。

「サティア。」

「はい、ゴールド様。」


「貴女の側に神は居られるのでしょう。

 少し待っていてください。

 その間に、子供達の旅の準備をして下さい。

 皆でえっと何んと言う村ですか?」


「タニス村です。」

「タニス村へ行きましょう。」


 ゴールドは王都から東北の方角へサーチと空間把握を放った。

 直ぐタニス村を見つけた。

 距離にして250kmぐらいだ。

 その村でタイモン、ロゴスを探した。

 村の中の畑で仕事をしているようだ。

 側にアスターもいる。

 10分ぐらいで、サティア達の準備は終わった。


「では行きますよ。」

「えっ、どうやっていくのですか?」

「ワープ。」



 サティアは視界が歪み、気付くと目の前に父がいた。

「お父様?」

 タイモンが後を振り向くとサティアの家族達が立っていた。


「いつ来たのだ?」

「今です。」

「おおっ、フランシス殿、よく来られた。」

「おじいちゃん。」

「おおっ、ニーナにカサール。」


 タイモンは孫を見て顔を崩した。

 ゴールドはアスター、ロナウドの前に来た。

 そしてうす青色の光の粒を発し出した。

 そこに神が降臨されているようにアスターには感じた。

 アスターはゴールドの前に跪いた。ゴールドは今回、使徒としての立場を隠そうとはしなかった。


「アスターよ。」

「はい、神様。」

「そこでじっとしていなさい。サーチ。」

 ゴールドはアスターの片腕にサーチを放った。

 腕の中に小石や土が入っている。

 良く腐らなかったとゴールドは思った。


「私は神のご意思で、お前の腕を治す為にここに参った使徒、ゴールドだ。」

「使徒、ゴールド」

 アスターは知っている。

 3年半前、王都に避難していた時、王都を救った使徒の名前がゴールドだった。

 その当時、天空の使徒と呼ばれた勇者様は空に消えられたのだ。

 今、目の前におられる方が使徒様。

 アスターは涙を流しながら、頭を地につけた。

「何処かゴミの入らない場所はあるか?」

「ゴールド様。」

「何です、サティア。」

「私の家の居間がよいかと思います。」

「では、そこへ行こう。ついでに、身体の調子の悪い者がいたら、連れて参れ。我が弟子が回復魔法で治療をするだろう。」

「おおーっ、回復魔法を使って頂けるのですか!!サブリエ、村の皆に知らせて来てくれ。」

「分った、知らせてくるわ。」


 ゴールド達はタイモンの家の居間にやって来た。

 村長の家でも、埃が少し舞っていた。

 ゴールドは用心の為、クリーンの魔法を詠唱した。


「ユグドラシルのフェアリー、ブラウニーに命じる。この家を整理、整頓、清掃して清潔にせよ。クリーン。」


 光の玉が家中を駆け巡り、10分もすると家の中から外までピカピカになった。

 村人は驚いたが、ナイキとロカは驚かなかった。ここまでは経験済みだ。

 しかしナイキとロカは魔法使いだ。

 そして初めて精霊が見えた。

 羽を生やした妖精がゴールドの所で止まっていた。


「私のエネルギーを上げるので、ずっとこの家に居てくれないか?」

「どれくらい貰えるの?」

「1,000MPでどうだい?」

「契約成立よ。では頂くわよ。」


 妖精は蝶サイズから手の平サイズになり、少女サイズになった。

 ここまで大きくなるとサティアでも見え出した。


「貴女の名前はアニーだよ。」

「私はアニーね。」

「よろしく頼むよ。」

「任せてね。」

 そして妖精アニーは掻き消えた。


「お師匠さま。」

「何だナイキ。」

「今の妖精は何なのですか?」



「お前がクリーンの魔法に覚醒して、妖精とお話出来るようになったらお願いしてみる事だ。

 まあ、MPが1,000ぐらいは必要だが。

 妖精に気に入られれば、家の事なら何でもしてもらえるぞ。

 料理も作ってくれるし、服もピカピカだぞ。

 窓ガラスが割れても、一瞬で元通りだ。

 お前達も頑張る事だな。」



 村の人々が村長宅へやってきた。

 皆、家を見て驚いた。


「ナイキ、ロカ。魔力が尽きるまで回復魔法をかけなさい。」

「はい、分りました。」

 ナイキとロカはリトルヒールを村人達にかけていった。

 流石に村人達は42人。MPが二人とも切れてしまった。

 ゴールドは2人の前にマナポーションを20本ぐらい置いた。

 二人は何も言わずにマナポーションを飲んで、またリトルヒールをかけて行った。


 村人達は切り傷はもちろん、少しの腰の痛みも治っていた。

 特に女性は家に帰って驚いた。

 肌がすべすべになっていたからだ。

 兵士達も帰ってから驚いた。

 魔物と戦って出来ていた傷が綺麗に無くなっていた。


「では最後にアスターの腕を治しましょう。何処か小部屋はありませんか?」

「私の使っていた部屋がございます。」

「では、サティア、案内してください。」

「こちらです。」

「子供と女性の方の立会いはご遠慮ください。ちょっと、見るに耐えられないかもしれませんので。」

「私は立会いを希望いたします。」

「貴女はどなたですか?」

「私はアスターの妻です。」

「おおーっ、貴女がカタリーナさんですか!!」

「はい、そうです。」

「ではカタリーナさんは部屋に入ってください。」

「私もお願いいたします。」


「サティアさんはこの行為の願い人ですのでお入りください。

 後我が弟子、ナイキとロカは見ておきなさい。

 では、アスター、上着を全て脱いでください。」


 アスターは片手なので、中々上着を脱げなかった。

「ゴールド様、私とカタリーナでお手伝いをして良いでしょうか?」

「はい、お願いします。」

 サティアとカタリーナで、アスターの服を脱がして行った。


「では、始めます。」

 ゴールドはアスターに回復魔法リジェネーションをかけた。

 右手に風魔法ウインドカッターを高速で回転させた。

 キーンと部屋に音が響いた。


「アスター、右腕を横に上げてください。」

 アスターは腕から先が無い右手を横に掲げた。

 その瞬間にゴールドはアスターの腕を切り落とした。

 瞬間、アスターの腕は白い光に包まれた。

 パーフェクトヒールが発動したのだ。

 3分ぐらいして光が収まり、アスターの右腕は元通りの手に戻っていた。

 最初に抱きついて泣いたのは、カタリーナだった。


「貴方―――っ。」

 サティアとカタリーナはここで少し待っていなさい。


「アスター、ナイキ、ロカ、私の近くに来なさい。ワープ。」


「お師匠様、ここは何処でしょうか?」

「ここは龍のダンジョンの入り口だ。入るぞ。」

 入って直ぐ、ゴールドは詠唱した。


「空に生きる者どもよ。神の使い、天空の使徒の名において命じる。地に落ち、ひれ伏せよ。ドロップ ザ ドラゴン。」


 空からワイバーンが3匹落ちて、地面に縫いつけられた。


「ナイキ、ロカ、斬鉄剣改にてワイバーンの首を刎ねよ。アスターもこの剣にてワイバーンの首を刎ねよ。」

 3人はワイバーンの首を切った。

 3人のレベルが110上がった。


「これでいいだろう。」

 ナイキのレベルは145、ロカも145、アスターは150になった。

 ゴールド達はダンジョンを出て、ワープでサティア達がいる部屋に戻って来た。


「アスター、その剣は貴方に与えよう。

 今の貴方が、その剣で戦うのなら、オーク10匹ぐらいは楽々倒せるだろう。

 オーガでも倒せるはずだ。」


「オーガに勝てるのですか?」


「勝てるだろう。

 これでこの村は安泰だろう。アスターが居る限りはな。

 ナイキとロカは、村の家々を回ってクリーンポーションを詠唱して使って来なさい。

 効果はバツグンだろう。」


「はい、行って参ります。」

 ナイキ達は10軒の家々を回り、クリーンポーションを詠唱しながら振りかけて回った。

 家々は新築のようにピカピカになった。


「明日の朝には王都に戻るので、そのつもりでいて下さい。」

「ゴールド様は如何されますか?」

「私は少しやる事があります。気にしなくていいですよ。」



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