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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
32/38

ロカ、ニルンルート 母の死の原因を知る

アリアナはしばらくして戻って来た。

 ロカは中銀貨1枚を取り出して、アリアナに渡した。


「これは約束のお金です。お湯をありがとう。私はこれで失礼します。」

「もう、お帰りになられるのですか?まだ、何もしてあげておりませんが!!」


「急な用事を思い出したのです。」

「そうですか!!」

「では失礼します。」


 それから、ロカはこの橋を何度も通ったがアリアナとは出会わなかった。

 それで母の病気も治ったものと思っていた。


 水中呼吸のポーションも徐々に効果時間が延びて行った。

 あれから1週間、夕暮れ時にここを通った時だった。

 アリアナが橋のたもとに立っていた。


「あっ、また私を買ってくださいませんか?」

「貴女はあれからも、ここに立っていたのですか?」


「いえ、今回が2度目です。

 今日は、どうしても2,000ロム必要なのです。

 エッチでも何でも致します。

 どうか、2,000ロムで私を買ってください。」


「お母さんは治らなかったのですか?」

「えっ、何故母が病気だと知っているのですか?」

「いや、狭い家でしょう。貴女とお母様の会話が聞えたのです。」

「そうでしたか。分りました。また私を買ってくださいませんか?」

「いいでしょう。しかし条件があります。貴女のおかあさまに会わせてください。」

「えっ、母に会って如何なさるのですか?」

「貴女が自分を売っている事を伝えるのですよ。」

「いや、それだけは止めてください。お願いいたします。」


 アリアナは泣き出してしまった。

 ロカは決心したのだった。この親子を助けようと。

 面倒な事になってもいい。

 これは神ムーン シルバー様のお導きなのだと思った。



「分りました、アリアナ。アネリーゼ様には言わないでおきます。

 しかし、アネリーゼ様の病気を私に見せて下さい。」


「母の名前を私は貴方に言ったでしょうか?」

「貴女は魔法をご存知ですか?」

「はい、知っております。使徒様がローム王都でお使いになった奇跡を魔法と言うのです。」


「私も魔法が使えるのです。まだ名前と年齢だけですが。

 貴女の名前は、アリアナ、ロカ12歳でしょう。

 おかあさまのお名前はアネリーゼ、ロカ26歳ですね。」


「あっています。」

「では、今日も1日、アリアナを買う事にします。はい、中銀貨2枚です。」

「ありがとうございます。」

「アリアナ、それはおかあさまの薬代ですか?」


「はい、そうです。

 お医者様に診てもらっているのですが、段々元気が無くなって来て、今回は前より良い薬が必要だと言われたのです。」


「分りました。貴女の家に行きましょう。」

「お母様、今日は、別のお医者さまをお連れいたしました。開けますよ。」


 アネリーゼはぐったりしていて、今にも死にそうな感じがした。


「これは不味い。アリアナ。お母様は死にそうだ。

 今、薬を持ってくるよ。少し待っていてくれ。」


「あの、お帰りになられるのですか?」

「いや、違う。今回は貴女とエッチをするまでは、離れないと誓おう。直ぐ戻ってくるから、待っていてください。」

「エッチをなさるのですね!!待っています。」


 ロカはゴールドの元に駆け出した。全速力で駆けた。

 ゴールドは拠点の邸にいた。


「ゴールド様。」

「なんだい、ロカ。」

「診て頂きたい者がおります。」

「誰だい?」

「私と同じロカ姓を名乗る者です。」

「親戚かい?」

「分りません。しかし死にかけています。診てもらえませんか?」

「分りました。何処にいるのですか?」

「はい、ロベリサ村とロベリタ村の間の橋の所にいます。」

「そんな所に家があったかい?」

「家ではありません。農家の納屋の中です。」

「分りました、ワープ。」


 ゴールドとロカは橋の上に飛んだ。


「ゴールド様、こちらでございます。」

「アリアナ、いるかい。戻ったよ。」

「あっ、お戻りになったのですね。」


 アリアナは涙を流したが後に人がいる事に気付いた。


「あの、どちら様でございましょう。」

「アリアナ、こちらは使徒様だよ。」

「えっ、あのローム王都をお救いなさった使徒様なのですか!!」

「とりあえずお母様に会わせてください。」

「こちらです。」


 アネリーゼは先ほどと同じくぐったりしていた。

 ゴールドはサーチを放った。

 ステイタス。

 アネリーゼ、ロカ26歳。

 レベル10。

 称号ロカ領第2公女。

 HP5。

 症状、肺炎。重態。


「あっ、死に掛けている。」

 ゴールドは万能薬ポーションを取り出した。


「ロカ、このポーションを飲ませられるかい?」

「無理みたいです。」

「そうか。」


 ゴールドは注射器を取り出して万能薬ポーションをアネリーゼに注射した。

 アネリーゼを白い光りが包んだ。

 HPがマックスの60に上がった。


「よし、これでいいだろう。

 後は安静にしていれば、明日には起き上がれるだろう。

 しかし、ここは病人には衛生的ではないな。」


「ゴールド様、私の家まで運んで貰えないでしょうか?」

「ロカの邸か。いいだろう。」

「アリアナ、必要な物だけ纏めてくれ。」

「分りました。」

「よし、ワープ。」


 ゴールドはアネリーゼを抱えて、ロカ邸の居間に飛んだ。


「ゴールド様、こちらでございます。」

 そこは客間の広い部屋だった。

 ゴールドはアネリーゼをベッドに寝かせた。


「ロカ、私は帰るよ。」

「ありがとうございました。」

「後から話を聞かせてくれ。」

「畏まりました。」


「ロカ様」

「はい」

「あなたのお名前は何んと呼べばいいのでしょう。」

「私の名前はロカ、ニルンルート。私の母はアズリール、ロカと言うのだよ。」

「アズリール伯母様?」

「知っているのかい。」


「はい、母からよく聞かされました。

 アズリール伯母様は、ロカ領の民を救った英雄なのよと良く言っていました。

 貴方は伯母様の子供なのですか?」


「そう言う事になるね。アリアナ。」

「はい、ロカ様。」

「先におフロに入って来なさい。そっちのドアの先がおフロだよ。」

「あのーっ、ロカ様。」

「なんだい。」

「エッチをなさるのでしょうか!!」

「してもいいかい。」

「覚悟は出来ております。」

「よし、お風呂に入ってきなさい。」


 アリアナは中々、お風呂から出て来なかった。

 ロカは様子を見に行った。


「アリアナ、大丈夫かい?」

「あっ、はい、大丈夫です。今,上がります。」

「そうかい、じゃあ、待っているよ。」


 アリアナは恐る恐るフロから出て,居間にやって来た。

 そこには、誰もいなかった。

 アリアナは母の寝室に行ってみた。

 そこにはロカが母の横に座って、様子を見ていてくれていた。


「母の具合はどんなようすでしょうか?」

「寝息は安らかだよ。

 それより、アリアナの寝巻きがなかったね。

 ここには僕のしかないから、僕の寝巻きで我慢してくれ。」


 アリアナの身長は150cm、ロカの身長は165cmで、少し大きめのぱじゃまだった。

 アリアナはちょっとぶかぶかのぱじゃまを着た。


「アリアナはあっちのベッドを使ってね。」


「あのベッドですか!!

 ちょっと恥ずかしいです。

 でも覚悟は出来ています。

 先にベッドに入っていますか? 」


「アリアナ、エッチはなしです。」

「えっ、なさらないのですか!!」

「ああ、その代わり、1日300ロムで、ここで働いて貰おうと思うがいいだろうか。」

「1日、300ロムも貰えるのですか!!」

「そうだよ。」


「母は1日100ロムでした。

 食堂の下働きでしたが。

 ひっとしてエッチ込みでしょうか。」


「エッチは無しだよ。仕事は私の弟子をして貰おうと思っている。」

「えーーーっ、弟子ですか!!!

 弟子は師匠の言葉は絶対ですよね、

 それに身体も心も捧げなければならないものですよね。」


「誰に聞いたのだい。」

「ベラドンナの冒険者ギルドに師弟制度があるのですよ。そして、これは勇者様がお決めになった事なのです。」

「詳しいね。」

「私の憧れでしたから。」

「なるほどね。その代わりと言っては何だが、アリアナとお母様は、ここにずっといていいよ。」

「本当ですか?」

「本当さ。」

「では、1日300ロムで弟子にしてください。」

「契約成立だね。」



 この日からロカはアリアナを連れて、ポーションの材料採取をした。

 2人で採取したので、今までの量のほぼ2倍になった。


 ロカはアリアナに魔法の訓練を始めた。

 最初は魔法を流して、アリアナが意識を無くして1日眠るだけだった。

 その訓練はアネリーゼの休んでいる部屋で行った。

 アネリーゼは、病気は治っていたが、今までの無理がたたり体力を回復するのに時間がかかっていた。


 ロカはゴールドにスタミナポーションを与えたら如何でしょうかと尋ねてみた。

 ゴールドの応えはノーだった。

 スタミナポーションは元々の体力があり、一時的に体力が落ちた者に効果を発揮するポーションだ。

 少しは元々の体力も回復するがあくまでも一時的な物だ。

 アネリーゼは今までの無理がたたり、養生して体力の回復をしなければないないと言われた。


 それでアネリーゼに眠っているアリアナを見てもらい、自分は隣の部屋で錬金術の訓練に励んだ。

 そんなある日の出来事だった。

 アリアナの魔法訓練でアリアナが意識を無くしてベッドで眠りについた時だった。

 アネリーゼがベッドから起き上がり、アリアナの顔を見に来たのだ。

 アネリーゼは体調が良さそうだった。

 それでロカは自分の生い立ちを話して、母の事を尋ねた。


 アネリーゼはロカを優しく抱いてあげた。

 何故なら、ロカが泣いていたからだ。

 ロカはアネリーゼを身内だと思う気持ちが心を許す結果になっていた。

 ロカは泣いて落ち着いた気持ちでアネリーゼに尋ねた。


「母は何故、国を追われたのでしょうか? 」

 アネリーゼは自分達の身の上と合わせて、ロカ領で起きた出来事を語りだした。



「自分達の兄弟は4人だった。

 自分が15歳になった時、事件が起きた。

 父、ナジーム、ロカ44歳が病で倒れて急死した。

 その時、長男マリウス22歳が王太子だった。

 しかしマリウスの母は、貴族では無かった。

 次男のタッシュナー20歳は母がロス領主家の長女で、大臣達の支持を集めていた。

 タッシュナーは大臣や将軍を見方につけ、自分が次の領主になる野望を持った。

 先ずマリウスとマリウスの血の繋がった妹、アズリール、そしてその母ティーレ31歳を亡き者にしようとした。

 ティーレはこの事に気付き、アズリールを秘密の通路から逃がした。

 その間、マリウスが時間を稼ぐ為に敵と戦って倒れたのだ。

 ティーレもこの時、殺された。

 アネリーゼの母はナジーム、ロカの3番目の妻だった。

 それに商家の娘だ。

 当然、次に狙われた。

 殺されかけた時、近衛騎士のタナー、チェン30歳に助けられた。

 自分の妻にしますので、命だけはお助けください。

 その代わり、私はタッシュナー様に生涯忠誠を尽くします。

 大勢の兵士の前だったので、タッシュナーは兵士達の手前、これを了承した。

 しかし、アネリーゼが妊娠するとタナーは密かに殺されたのだ。

 アネリーゼは母の実家の王都の商家を頼った。

 ここにも直ぐにタッシュナーの手が伸びた。

 アネリーゼは王都から南に逃れて旅を続けた。

 1年後にアリアナが生まれたのだった。

 そして、今度は自分が病で倒れた所をロカに助けられた。」




 ロカはこの話をゴールドに語った。

 ゴールドは涙を流して聞いていた。

 語り終えたロカはゴールドに尋ねた。


「私は、母の仇を討つべきでしょうか!!」


「確かにお前にとって、現ロカ当主、タッシュナー、ロカは仇だろう。

 しかし、お前の母は、それを全て許し、ロカの領民を助けて命を落したのだ。

 母アズリールが許した者をお前がわざわざ手を汚す必要はない。

 お前は自分の道を歩みなさい。」


「仰せのままに。」

 ロカはゴールドの前に跪いていた。


 ゴールドからうす青色の粒の光りが立ち上がり渦をまいていたからだ。

 1ヵ月後、タッシュナー、ロカは毒殺されて殺された。

 医師達が調べたが、見た事もない毒だったのだ。



 この頃、ロカとナイキ、それにアリアナは11階層で釣りをしていた。

 ゴールドから電動リールを作って貰い、テグスにはゴールド特性のワイヤーを使っている。

 釣り針もゴールドの特別性だ。


 3人ともフィッシング1ポーションと状態異常回復ポーションを飲んでいる。

 ロカとナイキが作ったポーションだ。

 まだゴールドが作ったポーションまでの効果は出来ていないが、ポイズンフロッガーとポイズンスネークを釣り上げるのには支障はなかった。


 これならアリアナでも1mのポイズンスネークを釣り上げる事が出来た。

 陸まで引き揚げて、ロカから借りた斬鉄剣改で倒して行ったのだ。

 アリアナは10階層をクリアした時点でレベルが15まで上がっていた。


 ロカとナイキが魔物を取り押さえ、アリアナに止めを刺して倒させたからだ。

 ナイキは最初にロカからアリアナを紹介された時、兄弟だと思った。

 髪の色が二人とも緑色の髪で何処となく似ていたからだ。

 この緑色の髪はロカやアリアナのお爺様、ナシーム、ロカが緑色の髪で、その子供達4人も緑色の髪だった。


 マリウス、

 タッシュナー、

 アズリール、

 アネリーゼの4人だ。

 しかし弟子だと紹介されて、「弟子!!!」と叫んでいた。


 いつかは自分も弟子を取らないといけないと思っていたからだ。

 ある程度魔物を釣り上げて、ここでゴールドから貰ったフィッシング2ポーションを3人は飲んだ。

 フィッシング2ポーションは効果範囲が倍になり、その範囲の魚を呼び寄せる効果がある。また、フィッシング1ポーションは効果範囲が約10mで魚がいる場所が分かり、合わせも簡単に出来きるポーションだ。


 最初ナイキはゴールドに「フィッシング2ポーション売ってください」とお願いをした。

 まだフィッシング2ポーションは誰も作っていないし、販売もしていないポーションだったからだ。

 理由はアイオライト鉱石と勇者のレシピ3冊目(秘伝)の為だ。


 アイオライト鉱石はゴールドしか持ってなかったし、勇者のレシピ3冊目(秘伝)は英語で書かれていたため、ゴールドの愛弟子や冒険者学校の優秀な生徒しか読めなかった為だ。

 しかしゴールドも販売価格はまだ決めていなかった。

 そもそも勇者のレシピ3冊目(秘伝)のポーションは一般的には販売する考えは無かったからだ。


 それでゴールドは条件を出した。

 ナイキ達が11階層から19階層を釣りで攻略してアンモライト鉱石とアイオライト鉱石を手に入れたなら、その内の1個づつを自分の取り分とする事。

 その代わりに、それに必要な機材やポーションは全て提供しようという物だった。

 ロカとナイキはこの条件を飲んだ。




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