ロカ、ニルンルート、弟子と出会う
冒険者学校の第2期生の募集の時になった。
しかし、ゴールドは冒険者学校の教師を辞めて、新しい教師を探した。
第1期生の成績順に10人に依頼をした。
校長にアナリーゼ、ニストロム。
主任にラオール、ムーサ。3位がヘイズ、レイバーン。
4位がアルフレッド、クロスフィールド。5位がハニ、エイジンガー。
6位カイサル、アイゼンスクット。7位サロモン、カイエタヌス。
8位アリエル、サツルニヌス。9位サリナ、タウンセント。
10位ナナ、エメランドだ。
この10人のレベルは20から25くらいまで上がっていた。
最高はアナリーゼの29。次がラオールの28だ。
この10人に冒険者学校の教師をお願いしたのだった。
使徒様のお願いである。全員、この申し出を受けた。
こうして冒険者学校は本格的に機能し始めた。
冒険者学校は冒険者ギルドの社員養成機関である。
時が経つに連れ冒険者ギルドは大きくなって行った。
支部も各国に出来るようになった。
しかし最終決定権はベラドンナ領主が持っていた。
これはゴールドの思いからだ。
アンリは生涯を通して、ゴールドの思いを貫き通した。
つまり他の人々の幸せを願ったのだ。
これをキウィとAIユリアが影から支えたのだった。
表の顔は冒険者ギルドの社員として、裏では私欲に走った魔法使いの処分を受け持った。
これとは別に、他の魔法使い達、つまり第1期生は冒険者や錬金術士、領主や貴族の魔法使いとして生きて行く事になる。
特に領主や貴族は魔法使い達を特別待遇で手元に置いた。
そしてその弟子に自分の子供をお願いした。
故に貴族に魔法使いが増えていき、貴族は魔法が使える事が貴族の証みたいになっていく。
それでもゴールドが作った師弟制度の為に魔法使いは増えて、人々は繁栄して行ったのだ。
そんな中、ロカ、ニルンルートはアンリから独立して錬金術士としての仕事に励んでいた。
ロカはナイキと2人になったがライオス達と最後のダンジョンにアタックしていた時、レベル32になっていた。
ライオスがレベル37、アデリナが32、ロカとナイキもレベル32だった。
それで2人でダンジョンにアタックしていた。
また、ロカはゴールドに特技 鉱物鑑定を絶えず発動するように言われていた。
絶えず発動したら、意識が飛びそうになった。
大体1日で10回が限度のように感じた。
それでも鉱物鑑定を発動させながら、ダンジョンにアタックしていた。
12階層の川と湖のエリアに来た時だった。
湖の中にアンモライト宝石が鉱物鑑定に引っ掛かった。
アンモライト宝石はアンモナイトの化石が悠久の年月をかけて虹色の輝きを得た奇跡の宝石だ。
ロカはこの宝石がクリーンポーションの材料だと知っている。
ゴールドのレシピ本に書いてあるのだ。
クリーンポーションは優れものだ。
家にかければピカピカ、身体にかければ清潔にしてくれるし、下着と上着も新品のようになる。
香りがレモンの香りだ。
このポーションはMp10で出来る。今のロカでも製作可能だ。
しかしだ。ロカはゴールドから聞かされていた。
この宝石をオークションにかければ10万ロム、現代価値で300万円で売れると聞いていた。
この12階層の湖には3個のアンモライト宝石が沈んでいるのだ。
「ナイキ。」
「なんだいロカ。」
「今、湖の下にアンモライト宝石がヒットした。」
「えっ、アンモライト宝石が湖の底にあるのか!!!」
「ああ、3個もある。」
「3個もあるのか!!!」
「ナイキ、取れないかな?」
「いやーーっ、無理だろう。
ここにはピラニアンがいるぞ。
噛み付かれれば麻痺して一巻の終わりだ。
状態異常回復ポーションを飲んで水の中へ潜ってもピラニアンには勝てないぞ。
それに湖は50mぐらい深いだろう。
勇者のレシピには水中呼吸ポーションは効果時間は1時間とあるだろう。」
「ナイキ、ちょっと待て。勇者のレシピとは何の事だ。」
「今ゴールド様が書いておられる錬金レシピの本の事を、錬金術士達は勇者のレシピと言っているのさ。」
「なるほど。それで水中呼吸ポーションが如何したのさ。」
「錬金術師になった者達の何人かが作ったのだけど、効果時間がただの1分だったみたいなのだよ。」
「1分しか潜れないと言う事なのか?」
「そう言う事だ。それで錬度が足りないと分かったみたいなのだ。」
「錬度?」
「熟練度だな。勇者のレシピはゴールド様が作った場合の効果だと考えた者がいて、実際ゴールド様に尋ねたらしい。」
「凄い奴がいるな。それでどうなった?」
「ゴールド様によれば、錬金魔法に覚醒した者の効果らしいとの答えだったそうだ。
そして錬金魔法に覚醒したら、レシピは自然に頭に反応するらしいと言われたそうだ。」
「なるほど。しかしナイキ。
この宝石が取れれば、ロカ家とナイキ家は安泰だと思わないか?
ナイキはロビナ家の3男だろう。
独立して家を持たなければならないだろう。」
「それはそうだけど。」
「それにリポップ期間は1週間だ。
1週間で30万ロムになるんだぞ。
2人で分けても、15万ロム、現代価値で450万円だ。」
「よし考えてみよう。」
そして14階層の湖の底にアイオライト宝石が沈んでいるのを見つけた。
アイオライト宝石は光りに透かして見ると青色の濃淡が変化して黄色に見えたりする宝石だ。
こちらはオークションで2万ロムだったとロカはゴールドから聞いていた。
鉱物に関して、ゴールドは自分の知る限りの知識をロカに教えていたのだ。
14階層でアイオライト宝石を5個みつけた。
それから15階層、16階層、17階層、18、19階層でも5個のアイオライト宝石を見つけたのだった。
全部採取出来れば、こちらは60万ロムだ。
その内、誰かが気付いて採取するかもしれない。
しかし今の時点では自分達しか知らないのだ。
ナイキとロカは本格的にアンモライト宝石とアイオライト宝石の採取に乗り出した。
先ず、11階層から19階層までの分析をした。
ナイキ、ロビナ現在14歳は天才だ。
特に分析に関しては才能を遺憾なく発揮した。
全てのポーションの材料、魔物達、鉱物から分析してダンジョンの特性を付きとめた。
一番多いのがフィッシング1とフィッシング2の材料だった。
それと変った所では水中呼吸ポーションと精力増強ポーション、麻痺ポーションに隠密上昇ポーションだ。
ナイキが考え出した作戦は湖でフィッシング1とフィッシング2を使って魔物を釣り上げる。
そしてもし魔物と湖で出会った場合は状態異常回復ポーションと水中呼吸ポーションを飲んで剣に麻痺ポーションを塗って戦うと言うものだ。
麻痺ポーションはポーションの中でも最強のポーションとゴールド様が言っていた。
魔法が聞かない魔物でも麻痺ポーションは効果があるそうなのだ。
スライムだけが今の所効果かがない唯一の魔物だと教えてもらった。
ナイキ達は12階層の本格的な攻略を始めた。
先ずフィッシング1のポーション作りから始めた。
フィッシング1P=沢キキョウ+ポイズンクラブ+ルナ草+きれいな水+魔力20Mpだ。
沢キキョウは13階層から19階層までどこでも生えている。
ポイズンクラブは17階層に出現する。
本来鉄剣では殻が固くて、倒す事は出来ないが2人は斬鉄剣改を持っている。
これでフィッシング1Pを作成して行った。
効果も試した。
フィッシング1Pを飲んで釣竿を垂らすと効果範囲は3mぐらい、合わせも普通より簡単に出来る感じだった。
本来は効果範囲は10mと勇者のレシピ本には書かれている。
それでナイキとロカはゴールドに尋ねた。
ゴールドの応えは、お前達が錬金魔法に覚醒していない為との事だった。
しかしナイキとロカは諦めなかった。
現在ナイキとロカは錬金術Mp40までクリアしていた。
それで錬金術Mp60までクリアしているユリア姫に疑問を尋ねたのだ。
流石に努力して錬金術Mp60まで覚えただけあって、ユリア姫の応えは違っていた。
ユリアは材料も魔力もほぼ無限大と言っていいほどあり、練習量が桁違いに多かった。
その練習を通して感じていた事を延べたのだ。
錬金術を成功させる為には正確な魔力量を知る必要がある。
これはナイキもロカも良く分かった。
ただ単にMp10を流してもヒールポーションは出来ないのだ。
この為、正確なMp10を理解しているアンリに魔力を流して貰う必要があるのだ。
ユリアはゴールドから流してもらった。
それでも最初は劣化ヒールポーションが出来たのだ。
この劣化ヒールポーションがヒールポーションになる為には、ミリ単位の魔力調整が必要だった。
それに同じMp10のスタミナポーションでもヒールポーションの感じでMp10を流せば、本当の効果が出るスタミナポーションは出来ないと言われた。
つまりは練習を沢山して、自分で最適な魔力量を見つけるのが、次の段階だと言われたのだ。
ナイキもロカもなるほどと思った。
それで2人はダンジョンをクリアする事よりも、錬金術の練習に多くの時間を割いた。
材料は2人で採取した。
それで段々フィッシング1Pの効果範囲が広がりだしたのだった。
フィッシング2Pは材料にアンモライト鉱石が必要だ。
これは後回しにした。
状態異常回復ポーションの材料は10階層までにあるが、ここは初心者の仕事場になっていた。
それでベラドンナ領の外でデスベル草を採取する事にした。
水中呼吸ポーションの材料はノルドフジツボとミジンコウキクサの種だ。
ミジンコウキクサの種は湖の真中あたりにあるので誰も取らないが、ノルドフジツボは川や湖の岸にあるので、既に誰かが採取していて、ほとんど見当たらなかった。
それでこれもベラドンナ領の外で採取する事にした。
麻痺ポーションの材料は死のりんごとカニスの根だが、これは20階層のデス、アナコンダを倒して手に入れる事にした。
死のりんごとカニスの根は最後にして、他の材料を手分けして採取する事から始めた。
ロカはロベリタ湖に採取に行き、ナイキはロベリア湖で採取する事になった。
ロカがロベリタ湖からデスベル草、ノルドフジツボとミジンコウキクサの種を採取してベラドンナに帰る時だった。
ロマ街道とロベリア湖からロベリタ湖へ流れる川の橋のたもとに少女が立っていた。
ロカがその横を通ろうとしたら少女が声をかけてきた。
「私を買ってくださいませんか!!」
ロカは孤児院出身だ。
これが何を意味しているのかは知っている。
ロカは13歳になったばかりだ。
今までは女性に自分は興味がないと思っていた。
アンリ王子と出会って、魔力を流して貰った時から、これが恋だと思っていたのだ。
しかし、今始めてドリキと心臓の音を聞いた。
少女は自分と同じぐらいの年齢だろう。
身体を売って生活しているのだ。
しかし何故かドクン、ドクンと心臓が鳴るのだった。
「いくらだ?」
自分でも信じられない言葉が口から出た。
「はい、1日1,000ロムでいかがでしょう。」
「えっ、1回でなく1日1,000ロム?」
「はい、1日、わたくしを自由にしてください。何でもいたします。」
「あの、少し尋ねるが、エッチな事をしてもいいのか?」
「エッチな事?」
「そうだ、身体を触ったり、キスをしたりする事だぞ。」
「それはやらなくてはダメでしょうか?」
「普通はやる事だと思うぞ。」
「分かりました、覚悟は出来ています。どうしても1,000ロム必要なのです。」
「では、私の家で家事をしてくれ。かなり高いバイト代だと思うがいいだろう。」
「いえ、貴方さまの家では不味いのです。わたくしの住んでいる家が直ぐそこにありますので、そこでお願いします。」
「やっぱり、エッチな事をするのか?」
「いえ、エッチな事をなさりたいのであれば、それでも構いませんが、わたくしの出来る事は貴方のお話相手か肩も揉む事ぐらいです。」
「そうか、では貴女の家に行こう。」
その少女の家は橋から少しロベリタ村に行った所にあった。
そしてそこは家ではなく、農家の納屋だった。
ドアを入って、直ぐの所に部屋が1室あり、誰かいるように感じた。
ロカはサーチと空間把握をドアの向こうに放った。
2ヶ月前、鉱物鑑定を放った時、突然聖魔法Lv1と空間把握Lv1に覚醒した。
ロカはゴールドに報告した。
ゴールド曰く。
「特技、鉱物鑑定は鉱物限定とはいえ、聖魔法サーチと空間魔法の複合魔法だと思っていた。
それで鉱物鑑定をいつも使うように言っていたのだ。
やはり覚醒したな。
私の考えが正しかったのだろう。」
そして1ヶ月前、聖魔法がLv2へ、空間魔法もLv2へ上がったのだった。
しかし、サーチで分るのは、今は名前と年齢だけだ。
アネリーゼ、ロカ26歳!!
ロカ領の縁の者なのか?
ロカは目の前の少女にもサーチを放った。
アリアナ、ロカ12歳。
ロカはアリアナに土間にある椅子に座るように言われた。
アリアナはお湯を沸かし始めた。
そして割れた茶碗にお湯を注いでロカに勧めた。
「どうぞ、おめしあがり下さい。」
ロカは黙ってお湯を飲んだ。
「あの、聞いていいかな?」
「何をですか?」
「貴女の名前を教えてください。名前が分らなければ、お話も出来ません。」
「分りました。わたくしの名前はアリアナ、ロカと申します。」
「アリアナ!!」
「はい、アリアナです。」
ロカは本名を聞けるとは、思っていなかった。
その時、部屋の中から、咳をする声が聞えて来た。
「少し席を外させてください。」
「いいですよ。」
アリアナは部屋の中に入って行った。
背中を擦る音が聞こえて来た。
「ごほっ、ごほっ。」
「待っていてね。明日にはお薬を買ってくるから。」
「お客さまが来ているのですか?ごほっ、ごほっ。」
「はい、お仕事をくださったお方です。」
「そうですか。ごほっ、ごほっ。」
ロカは関わり遭わない方がいいように感じたが、使徒様の言葉を思い出した。
「神ムーン シルバー様は子孫繁栄の神様だ。
お前が人々の幸せを願う時、神はお前と共におられるだろう。
そしてお前の両親は人々の為に命を落した英雄だ。
誇りに思いなさい。」




