ラームー王国
勇者のポーションのもう一つの売り先、ロマーナ家ではポーションが何かが分からなかったので、最初怪しい薬だと思われた。
ゴールドが勇者である事を知っていてもである。
アンリがローム王家第3王子だとも知ってもいた。
そこで博士は実演販売をする事にした。
アンリと博士、それにロマーナ当主アイアランド、ロマーナ41歳と船に乗りラームー海洋貿易王国に乗り込んだ。
海洋王国は先の王、エルマンガルド、ラームーを2年前に無くし、現在妻のエカテリーナ、ラームー32歳が女王として国を治めていた。
長男にアクスフォード14歳、長女コーラ10歳、クック8歳の4人家族だ。
エカテリーナは一年前勇者がローム王国を救った事を知っていて、自ら対応したのだった。
ゴールドは先ず言った。「貴女にお見せしたいものがある。」
こう言ってポーションを取り出し女王にそれを見せた。
その瞬間女王は「衛兵、衛兵、この者達を捕らえよ」と言った。
近衛兵20人が博士達三人に剣を向けた。
驚いたのはアイアランド、ロマーナである。
「陛下、私です。アイアランドでございます。」
女王は言った。「王家の家宝を盗む盗賊は生かしては返さない。」
アンリは黙って成り行きを見ていた。勇者さまのする事である。
エカテリーナは自分の夫、エルマンガルドが病に倒れもうダメだと医者に言われた時、王家の家宝最後の一本の妖精の雫を使う事を夫に頼んだのである。
しかし夫は「自分にはお前がいる。安心してあの世に行くことが出来る。王家、最後の一本だ。まだ先に絶対必要な時がくるだろう」と言って使わなかったのである。
そして2年前に死んでいった。
そのポーションが盗まれたのである。
生かしては返さないと怒りにもえた。
当然である。
ゴールドは言った。「女王陛下、私は盗賊ではありませんよ。」
「黙れ、その妖精の雫がなによりの証拠だ。生かしては返さぬ。」
ゴールドは続けて言った。「では王家の宝箱を調べてもらえませんか?王家の宝箱に妖精の雫が入っているはずでございます。」
「何、嘘をついて逃げるつもりか。」
「いえいえ、違います。これなら信じてもらえますか」と言ってもう一本、エリクサーを女王の前に出して見せた。
さすがに女王も冷静になった。
「カサブランカス、宝箱を持ってまいれ。」
カサブランカス、ニルンルート43歳は王家の宰相である。
10分後、カサブランカスは地下の王家の宝物庫から宝箱を持ってきた。
女王は後ろの棚にある宝石箱からカギを持ってきて宝箱を開けた。
ある、そこには王家の宝、妖精の雫が一本あったのである。
ゴールドは言った。「最初の一本は貴女に差し上げます。」
「本当ですか。」
「ハイ。それから王家には先代王のミイラがありますよね。」
「貴方はそれをどこで知ったのですか?」
「ビクトリア王立図書館にラームー王国の歴史という本を見つけて読んだのです。
その本にはラームー王家では代々王が亡くなるとミイラにして地下墓地に埋葬すると書いてありました。」
「貴方はあの本が読めるのですか?」
博士はにこっと笑顔になり頷いた。
「あの歴史書にはこうも書かれてありました。
今から1万5千年前の王子が作った妖精の雫に王子はエリクサーとそのポーションに名前をつけたそうです。
それが今貴女が持っているポーションです。
そのポーションの効能時間は3ヶ月です。
妖精の雫の効能時間も3ヶ月なのです。
3ヶ月しかもたないポーションが1万5千年も過ぎた今も何故効能があるのか?
それはその宝箱が神の宝箱だからです。」
「神の宝箱?」
「そうです。
その宝箱の中は時間が過ぎる事はなく、状態は入れた時のまま、箱も中身も永遠の時をそのままの状態で保つのです。
神が妖精女王に授けた神の宝箱なのです。
本にはそう書いてありました。」
エカテリーナは「夫のミイラをどうするのですか?」と尋ねた。
ゴールドは言った。「本当の妖精の雫の力をお見せします。」
「本当の力とはなんなのでしょうか」と女王は尋ねた。
「妖精の雫はどんな欠損、病気、呪い、状態異常状態も治し腐っている死体からでも生き返らせる事が出来るポーションなのですよ。」
「えっ、生き返らせる?」
エカテリーナは言われた事がわからなかったが「カサブランカス、夫のミイラを持ってまいれ」。
カサブランカスは黙って部屋を出て行った。
30分ぐらいしてカサブランカは立派な棺桶を部屋に運び込んで来た。
フタを開けるとりっぱな服を着たミイラが横たわっていた。
回りの者は目をそらしたが博士とエカテリーナはそのミイラを見つめていた。
博士は服が邪魔だなと思い、エカテリーナは夫の最後の言葉を思い出していた。
「自分にはお前がいる。安心してあの世に行くことが出来る。王家、最後の一本だ。まだ先に絶対必要な時がくるだろう。」
涙が自然に流れ出した。
博士は先ずミイラの上に聖魔法Lv8魔力の壁を展開した。
そして重力魔法Lv3レビテイションを放った。
ミイラが空中に上がり魔力の壁で止まった。
そしてミイラに向け土魔法Lv6ジェネレイト、ミネラルを放ち、ミイラが着ている服を炭素として抽出して行った。
徐々に服が無くなり裸のミイラが現れ出した。
博士は抽出した炭素を土魔法Lv7メイクシングを使い服に再形成していった。
裸のミイラとその下には絹の反物が出来上がっていった。
完全にミイラが裸になったのを確認した博士はゆっくりとミイラをテーブルの上に下ろした。
そのミイラに持っている妖精の雫を振り掛けた。
その瞬間に凄い光がミイラの周りに集まり出した。
5分ぐらいして光が無くなるとそこに男性が眠っていた。
ゆっくり瞳を開けた。
エカテリーナは泣きながらエルマンガルドを抱きしめた。
エルマンガルドは口を開いた。「エカテリーナ、私は死んだのではないのか?」
エカテリーナは泣くだけだった。
ゴールドは言った。「あまり強く抱きしめるとまた死にますよ。
今は体力も気力も無い状態です。
ゆっくり休ませて上げてください。
それからこのヒールポーションとスタミナポーションを飲ませてあげてください。
明日には元気になるはずです。」
ポーション販売の営業もちゃっかりしていた。
エカテリーナとエルマンガルドが部屋から出て行くと博士は宰相のカサブランカスに「漁師を紹介してください」とお願いした。
カサブランカスは「承りました」と言って部屋を出ていった。
1時間ぐらいして1人の漁師を連れてきた。
名前をファルコ、マーフィー35歳と言った。
ゴールドはファルコにナムネス、シーイールを捕獲するので手伝ってほしいと頼んだ。
ファルコは「いいぜ」と言って海に向かった。
ゴールドもついていった。
小船に乗り、島の岩場についてこの下にナムネス、シーイールはいると告げた。
ゴールドが海に飛び込もうとしたらファルコが止めた。
「ナムネス、シーイールを捕獲するには罠を仕掛け捕獲するしかない。触った瞬間に麻痺する。体長が2mもあり、罠にかかったまま、砂浜まで持っていって長い銛で仕留める。それ以外は命がいくつあってもたりない。」
ゴールドは状態異常回復ポーションをファルコに飲むように進めた。
ファルコは緑色の薬を飲むのを嫌がった。
ゴールドは自分が飲んでみせ、効能を説明した。
今から自分がナムネス、シーイールを捕まえてくるので、船の上で受け取ってほしいと説明した。
ファルコはゴールドが薬を飲んだのを見て自分も飲んだ。
5分もするとゴールドは2mの大きさのナムネス、シーイールを捕まえて戻って来た。
ポイッと船に投げ入れた。
ファルコはナムネス、シーイールの急所にナイフを差し込んで〆た。
ナムネス、シーイールに触れたけど麻痺しなかった。
そこで2人で海に潜ってナムネス、シーイールを捕まえた。
10匹捕まえて港に戻って来た。
漁師組合に持っていって売りに出した。
買取職員のタボーネ、アギニス32歳は驚いた。
10匹ものナムネス、シーイールだ。
見た事もなかった。
1匹5500フィンで買い取った。
1フィンは1ロムと同じ価値だ。
フィンはラームー王国の貨幣だ。
翌日ゴールドとファルコはもう少し深い海にやってきた。
ここにはナムネス、シー、スネイク体長1.5mとレツド&ブラックシースネイク3mがいた。ナムネス、シー、スネイクは体長1.5m、ヌメヌメの身体に麻痺毒を持つ海蛇だ。
肝は精力剤で、身も美味い高級魚だ。
レツド&ブラックシースネイクは体長2~3m、赤と黒のまだら模様で身体に麻痺時を持ち鋭い歯で噛み付く海蛇だ。
こちらも肝が精力剤で身は超高級魚だ。
普段、危ない魚の一種とされていて誰も獲らないのだ。
この日もゴールドが海に潜り、ファルコが船の上で海蛇を捌いていった。
ナムネス、シー、スネイクが3匹、レツド&ブラックシースネイクが5匹獲れた。
ナムネス、シー、スネイクが5,000フィン、レツド&ブラックシースネイクは8,000フィンで売れたのだ。
ゴールドとファルコは王宮でカサブランカスに報告した。
特にファルコが精力剤としてカサブランカスに進めた。
市場でレツド&ブラックシースネイクの肝から作られた精力剤をカサブランカスに渡していた。
精力剤は1粒2,000フィンもする高級品だ。
カサブランカスは43歳だ。
近頃体力の衰えを感じるようになっていた。
そこで早速、レツド&ブラックシースネイクの肝から作られた精力剤を試したのだ。
カサブランカスの妻はアミルカーラ32歳だ。
カサブランカスもアミルカーラも小さい時から海賊船に乗り世界中を航海したつわものだ。
二人とも引き締まった身体をしている。
2人には3人の子供もいる。
一番上の子供は女の子で12歳だ。
次も女の子で8歳、末っ子が男の子で3歳の可愛い子だ。
カサブランカスは2年前にエルマンガルドが死んだ事から仕事量が急激に増え、体力の衰えを感じだした。
それと共に、夜が苦手になった。
精力が続かなく立っても直ぐ萎んでしまうのだ。
しかしこの夜は違った。
アミルカーラの脂の乗った身体を攻めに攻めた。
アミルカーラは髪の色は緑色。
引き締まった身体に32歳の脂が乗った身体をしている。
胸は大きく腰が切れてすらっとした足が魅力的な女性だ。
この夜、カサブランカスは賢者モードになる事はなかった。
ゴールドは明日、ロームへ帰る事をカサブランカスに伝えた。
カサブランカスが女王エカテリーナに伝えに行くと家族5人で食事をしているエカテリーナを見つけた。
幸せそうな笑顔がそこにはあった。
「エカテリーナ様、お伝えしたい事がございます。」
「急用なのね。」
「はい、明日勇者さまがローム王国へお帰りになられます。」
「明日帰られるのですね。」
「はい、それで挨拶に見えられています。」
「分りました、仕度をして参ります。」
ゴールドが謁見の間で30分ぐらい待っているとエカテリーナ女王がやってきた。
その横にはエルマンガルドも一緒だ。
エルマンガルドはゴールドの前で跪き祈りを捧げだした。
昨日まで見えなかったゴールドから漏れるうす青色の光りの粒が見えたのだ。
さながら神がそこに立っているように思えた。
「おおーっ、神よムーン シルバー様、ありがとうございます。
私の命は貴方様のものでございます。」
「エルマンガルドよ、神はあなた達の繁栄を望んでおられる。その為に貴方の命はこの世に戻されたのだ。神はこれからは貴方の側におられるだろう。」
「はい、お教えのままに。」
「エカテリーナさま、私は明日ローム王国へ帰ります。ロームでは神の薬を作ります。これが見本です。」
ゴールドはヒールポーション、スタミナポーション、癒しのポーション、呪い解除ポーション、状態異常解除ポーションを各5本づつ取り出した。
「ラームー王家の宝箱を使用して、このポーションを販売すれば莫大な利益を生むでしょう。」
「勇者さま、ありがとうございました。」
「いえ、神の思し召しです。」
ゴールドの言葉使いが変わった。
「エカテリーナ、貴女の愛情が神に通じたのだ。その心を忘れなければ、ラームー王家は繁栄するだろう。」
最後にゴールドは宰相カサブランカスに別れの挨拶と疑問に思った事を尋ねた。




