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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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アラディン、ナパの妹

翌日になり、ゴールド達は森から降りて、ハオ村にやって来た。

 ハオ村で1泊して第3軍は領都へ引き返し、サギン、ダマスキーを引き渡した後、王都へ戻る事になっていた。

「ロデリオ、頼んだぞ。」

「お任せ下さいハーディン様。」

 ロデリオ、アボット35歳は副指令官、少将である。


 夕食を食べた後のゆったりとした時間に問題が起きた。

 ハオ村の独身男性達が捕らえられていたタト村の女性に結婚の申し込みをしてきたのだ。

 それも5人である。

 しかし女性達は断りを入れていた。

 山賊達にどんな目にあわされていたのか、ここに居れば思い出すからだ。


 翌日ゴールド達はナパ領の門の前に飛んだ。

 門の前にリッチ、クライセンとヘラルド、ワイズナーが居た。


「これは若様、お戻りでございますか?」

「いえ、まだだ。母上に会いに来た。」

「ではお通り下さい。」


 バーディンもアラディンについて行こうとした。

「お待ちなさい。貴方はアポイントは取っておられますか?」

「何、俺はハーディン、ナザレスだぞ。門番風情が何を言う。」

「リッチ。」

「はい、若様。」

「ハーディンは適当にあしらっていいぞ。」

「畏まりました。」


 リッチもヘラルドもゴールドに気付いているのだが、何も言わなかった。

「ハーディン。」

「はい、使徒様。」

「門番風情に門を通る事を止められて、如何するつもりだ。」

「まあ、力を見せてやれば、恐れ入るでしょう。」

「そうか、では確りやってくれ。」

「お任せください。やいやい、門番共。痛い目に遭いたくなかったら、門を開けろ。」


「いや、門を通すか、否かを見極めるのが我々の仕事です。

 貴方はアポもなく尋ねて来られました。それに態度がよろしくありません。

 しかし貴方がナトニア王国第3軍のハーディン様なら、ご用件次第ではお通し致します。」


「なっ、痛い目に遭いたいらしいな。」

 ハーディンは剣を抜いた。ハーディンのレベルは今45なのだ。

 このナトニア王国でもトップクラスになっている。

 何処の門番でもレベル15ぐらいなのだ。


「ヘラルド、私が相手をしよう。」

「いいのか、リッチ。」

「使徒様が見られているのだ。上手くやるさ。」


 リッチは斬鉄剣改を抜いた。

 ハーディンはリッチが剣を抜いた瞬間に震えが全身を襲った。

 理由ははっきりしている。相手が強いのだ。

 アラディンの弟子になってからは、相手の強さがよく分るようになっていた。


「負けました。私の負けでございます。貴方は何者です。」

「私はリッチ、クライセン、ここの門番です。」

「いや、門番がそんなに強いはずは、ありません。」

「所で貴方のご用は何なのですか?用件次第ではお通しいたしますが。」

「私は師匠について来ただけです。」

「貴方の師匠とは誰の事ですか?」

「アラディン、ナパ様です。」

「貴方の師匠は若様なのですか?」

「はい、そうです。」

「それでは、通ってよろしいですよ。」

「えっ、通っていいのですか?」

「はい、若様の弟子なら、誰も貴方を止める者は、このナパ領にはいませんよ。」

「それは如何言う事でしょうか?」


「若様は、このナパ領では英雄なのです。

 その弟子を止める者などいませんよ。

 何処でも弟子だと名乗れば、自由に出入り出来ます。

 あっ、しかしアリス様には丁寧にご挨拶なされたがよろしいですよ。」


「アリス様とは、アラディン様の母上ですよね」


「はい、そうです。ではお通りください。

 ゴールド様、こんな対応で宜しかったでしょうか?」


「立派なお勤めごくろうさまです。」

「ありがとうございます。」

「所でリリアーナとナイチンゲールは元気ですか?」

「はい、今はこの領都で一緒に暮らしています。」

「神もきっと喜んでおられます。」

「では、お通り下さい。」


 ゴールドとハーディンは門を通って邸の玄関に来た。

 ゴールドは勝手知ったるナパの邸で、そのまま中に入った。


「ゴールド様」

「何ですハーディン。」

「勝手に入って大丈夫なのですか?」

「まあ、ついて来なさい。」


 ゴールドは自分が暮らしていた客間を通り越し、裏手の邸にやって来た。

 その一部屋の前で止まって、ドアをノックした。

 ドアを侍女が開けてくれた。

 部屋には8人の女性達と5人の子供、それにアラディンがいて、アリスは椅子に座って赤子に乳を与えていた。


「母上。」

「お帰りアラディン。」

「母上にお願いがあって、参りました。この者達の面倒を見て上げてください。」

「この者達は誰ですか?」

「この者達は山賊に攫われた者達です。」


 アリスはシシリー達を見つめた。

「いいでしょう、ここで面倒を見ましょう。」

「母上、ありがとうございます。」

「アネット。」

「はい奥様。」

「この者達をタシアの所へ連れて行っておあげなさい。」

「畏まりました。」


 アネット、ナタナエル22歳。アリス付の侍女だ。

 タシア、アウマイアー38歳はメイド長である。


 この部屋に残ったのはシシリーとアラディンだけとなった。

 ゴールドとハーディンはドアの所で静にしていた。

「アラディン、そちらの女性はいいのですか?」

「はい、こちらは我が弟子ハーディンの侍女を務めます。」

「貴女、お名前は?」

「はい、シシリーと申します。」

「貴女はそれでいいのですか?」

「はい、ハーディン様の侍女ならば、喜んで致します。」


 この時、アリスはゴールドが居る事に気付いた。

「使徒様!!」

「アリス、元気そうだね。その子供の名前は何んと言うんだい。」

「はい、サティ、ナパでございます。」

「サティか、良い名前だ。」


 その時、サティはゴールドを見て抱っこのポーズを取った。

 にこにこ顔だ。

 ゴールドが戸惑っているとアリスがサティをゴールドに渡した。

 その瞬間、2人に天から光りの矢が落ちて来た。

 アリスは今回で2回目なので、あまり驚かなかった。

 驚いたのは他の3人だ。

 アラディンでさえ驚きを隠せなかった。

 目の前で、天から光の矢が落ちて来たのだ。


「使徒様、サティは大丈夫でしょうか?」

「アラディン、妹は大丈夫だ。今のは神ムーン シルバー様からのお祝いだ。」

「お祝いですか!!」

「ああ、サティに神から無病息災の加護を頂いたのだ。サティはこれで一生涯、病気にかからないだろう。」

「一生涯病気に掛からない!!凄いですね。」


「アラディン、覚えておきなさい。

 サティは神が作ったポーションから出来た最初の子供なのだよ。

 きっと凄い能力に目覚めるだろう。

 サティがある程度、大きくなったらライオスの弟子とせよ。

 私からライオスには言っておく。」


「はい、分りました。」

「よし、では1週間後に海賊カレッタ、ヌルジャンが来る。それまで、アラディンの魔法の訓練をするぞ。」

「魔法ですか?」


「そうだ、回復魔法は覚えたな。

 後炎と風、土と水の魔法を覚えてもらう。

 そして魔法はなるべく使うようにしなさい。

 使えるようになったら、生涯をかけて1人は自分の魔法の弟子を育てるようにしなさい。

 やり方は今から教える。

 早速、今から始めるぞ。

 ハーディンは事務長に言って家を探しなさい。

 お前とシシリーが住む家だ。

 1週間後には海賊退治だ。」


 ゴールドは早速アラディンに炎魔法を流し込んだ。

 アラディンは意識を無くした。

 しかしだ。3時間ぐらいで目覚めて炎魔法Lv1に覚醒した。速い。


 魔法に最初から目醒めている者は覚醒が早い事が分った。

 その日の内に4属性に覚醒した。


 次の日から魔力操作の訓練をした。

 魔力をアラディンに流して、グルグル回した。

 流石にこれは意識を無くして1日眠っていた。

 しかし3日目にして魔力がスムーズに流れ出したのだ。こちらも早い。

 残りの3日は治療会を開催した。

 何処も悪くない者でも肌が綺麗になると触れ込んだ。

 先ずこの領主館から始めた。


 アラディンのレベルは125でMpは1,000だ。

 今回はエリアヒールを連発させた。

 エリアヒールはMp30だ。30回は1日で出来る。

 流石に初日、アラディンは意識を無くして倒れた。


 しかし3日目にしてアラディンは癒しの手を覚えた。


「癒しの女神よ、我が願いを受け、我の身体の状態異常を治したまえ。ヒーリングハンド。」



 今日は海賊カレッタ、ヌルジャンがやって来る日だ。

 ゴールド達3人は早めにアルカリーナの店、星の宵に来て待ち構えていた。

 海賊カレッタ、ヌルジャンは夕方になってやって来た。

 ここからの行動は素早かった。

 ゴールドが麻痺ポーションを後から振りかけて、アラディンとハーディンで仲間を介抱するようにして店を出た。

 領主館の一画に押し込めて尋問を開始した。

 ハーディンがカレッタの手を押さえつけてアラディンがナイフを突き刺した。

 カレッタは中々しぶとかった。

 しかしアラディンが回復魔法で回復させながらナイフを左右に揺さぶった所で吐き出した。


「お前の仲間はどのくらいいる。」

「海賊船3隻で100人だ。」

「いつやってくるのだ。」

「2ヶ月後だ。」

「船長の名前は何だ。」

「ヘンリー、モーガン42歳だ。」


 2ヶ月後、アラディンとハーディンはナパ領の兵士200人を率いてヘンリー、モーガンを討った。



 ゴールドはアラディンだけを連れてナソー領に帰って来た。

 ハーディンもついて来ると言ったが、アルカリーナを見張るように言いつけたのだった。

 ゴールドとアラディンはブランコのある部屋に飛んだ。

 そこにはユリア達がお茶を飲んでいた。

 最初に気付いたのはシンフォニーだった。直ぐゴールドに抱きついた。

 しかし血は吸わなかった。


「ゴールド、遅いわよ。」

「ごめんよ、ユリア。」

「何していたのよ?」

「山賊を退治して、海賊退治の準備をしていたのだよ。」

「えっ、海賊退治の準備をしていたの?いつもいつも何かに出くわすわよね。」

「ユリア、しょうがないわよ。いつもの事よ。」

「アリス、ゴールドの味方なの?さっきまで遅いと言っていたじゃないの!!」


「ユリアとゴールドが2人で何かをする時は、いつも私は待っていたのよ。

 2人は中々帰って来なかったわよ。

 サンターナもそう思うでしょう。」


「わたくしも、そう思います。

 その身体が神の仕事へ導いているように感じます。

 ゴールド様か望まれるのであれば、現地産の身体を手に入れられる事をお勧めしたいです。

 私はいつでもお待ち申しております。」


「あっ、サンターナ、ずるいわよ。」

「シンフォニー、テアに別れを言ってください。」

「テア、またね。」

「またね。」

「では、王都へ行きますよ。ワープ。」



 王都ではゴールド達が去った翌日にライオスとアデリナがカイエヌスとイカテリーナに結婚の報告をしていた。

「父上、母上、長らく留守にしていて、すみませんでした。」


「いや、使徒様の弟子として、一緒にいたのだろう。

 神ムーン シルバー様が、このナトニア王国をお守り下されている証だとイカテリーナと話していた所なのだ。」


「使徒様の修行は終わったのですか?」

「はい、母上、終わりました。これからは、いつもお側にいます。」

「それは嬉しい事です。ところでそちらの女性はどなたですか?」

「はい、こちらは使徒様の弟子で私の妻です。」

「えっ、妻!!!何時結婚したのです。」

「昨日、使徒様の前で結婚式を挙げました。」

「使徒様がお前達を結婚させられたのですか?」

「はい、私達2人の願いで結婚式を挙げて下さりました。」

「ライオス、でかした。良く使徒様のお弟子様と結婚した!!私は誇りに思うぞ。」

「父上、ありがとうございます。」

「お名前は何んと言われますか?」

「はい、わたくしの名前はアデリナです。アデリナ、ナトニアです,お義母さま。」

「母と呼んでくれるのですね。これで子供が2人になりました。」

「ところで、貴女は何処の姫君ですか?」

「父上、何故姫だとお判りになられるのですか?」


「いや、如何見ても言葉使い、身のこなし、考え方、態度が貴族のものだ。

 それもしっかりした先生に習われたのだろう。

 かなり錬度が上のようだ。」


「父上、アデリナはローム王国の第1王女です。昨日までアデリナ、ロームでした。」


「なに、ロームの第一王女!!!

 聞いた事がある。

 自ら教会に入り、人々の為に尽くしている姫がローム王国にいると。

 貴女があの姫ですか!!!」


「私はそんなに褒められる姫ではありません。妹アドリアナの能力に嫉妬していただけなのです。」


「そんな事はありませんよ。

 妹に嫉妬したからと言って、貴女が成した行いは立派な物です。

 故に貴女は使徒様の弟子になれたのでしょう。

 全て神ムーン シルバー様のお導きなのです。」


「お義母さま、ありがとうございます。」

 アデリナは涙を流した。

 お義母さまから、こんな優しい言葉を聞けるとは思いもしなかったからだ。


「ナトニアのこんな遠い国まで、よく来てくれましたね。ライオスをよろしく頼みますね。」

「おかあさまーーーっ!!!!」

 アデリナはイカテリーナに抱きついて涙を流した。

「あら、まあーっ、辛かったのね。泣いていいのよ。」



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