アラディン、ナパの魔法覚醒
ゴールドはアラディンのステイタスに驚いた。
先ず称号が使徒の弟子。久々に見た。
レオやカミュ以来だ。
いつからアラディンは私の弟子になったのだ?
確かに生き返らせてから、弟子のように接してはいた。
しかし称号など無かったのだ。
それにレベルが125!!!
前回はレベル78だったはずだ。驚きの成長率だ。
ダンジョンで鍛えた訳では無いのだ。人族で始めてだろう。
自分の力だけで、ここまで成長した者は。
それにレベル100を越えたからだろう。
4属性魔法にまだ覚醒はしてないが目覚めている。
回復魔法に目覚めているのは当然だろう。何せ回復魔法Lv10リザレクションをその身で受けているのだ。
アラディンは前にいた山賊を槍の一突きで倒した。
その横からハーディンが駆けて行き、次の山賊を倒した。後は混戦になった。
山賊達も弓矢を後ろに向けたが、仲間が近くにいて撃てなかった。
その隙をついて下から第3軍が駆け上って来た。
山賊は逃げ場が無く、挟み撃ちの形で討ち取られて行った。
そこからはあまり時間は掛からずに戦いは終わった。
「ハーディン、山賊は何人いた?」
「はい、アラディン様、21人でございます。」
「アジトに1人、見張りがいるな。アジトへ向かうぞ。」
ゴールド達はアジトへやって来た。
ゴールドがサーチを放つと山賊は1人もいなかった。
「アラディン、山賊は1人もいない。捕らえられている村人を助けよう。」
「はい、ゴールド様。」
5人ぐらいでアジトに踏み込んだ。
アジトは砦みたいな作りをしていた。
山賊がいた部屋はもぬけの空だった。
ゴールドがサーチを放つと地下に女性が8人と子供が5人いた。
「アラディン、地下に閉じ込められている。そのドアから地下に通じている。」
「私か先に行きます。」
「よろしく頼むぞ、ハーディン。」
「お任せください。」
ハーディンが地下へ降りていくと、女性達が8人、牢屋に閉じ込められていた。
その横の牢屋には子供達が5人いる。
「助けに来たぞ。私はナトニア王国第3軍大将ハーディンである。」
「第3軍のハーディン様!!!」
「ああ、今助けてやる。」
ハーディンは鋼の剣で鍵を切った。
「大丈夫か?動けない者はいるか?」
「はい、皆動けます。」
「子供達も大丈夫みたいだな。今日はこのまま、ここで1泊して明日下へ下りるぞ。食事も用意するので安心していいぞ。」
「あのハーディン様。」
「何だ?」
「私たちに帰る家はありません。夫や両親を全て殺されたのです。」
「タト村に帰る事は出来ないのか?」
「帰っても女達だけでは、生きて行けません。」
「お前の名前は何んと言う。」
「私はシシリー、タトと申します。」
「シシリー、タト!!!タト村の村長の娘か!!!」
「はい、両親と弟は山賊に殺されました。少しでも抵抗した者は、全て容赦なく殺されたのです。それからと言うものは、地獄のような日々でした。」
シシリーは泣き出した。
ゴールドはうす青色の光の粒を発し出した。
アラディンには確りと見えた。
ハーディンも初めてその光りが見えた。
二人はゴールドの前に跪いていた。
「ハーディン、ナザレス」
「はい、使徒様。」
「シシリーはお前の侍女とせよ。残りの者は、アラディンが生きて行けるように取り計らえ。」
「仰せのままに。」
「何か困った事があれば、申しなさい。神の使徒として力を尽くそう。」
「シシリー、お前は私の所で生きて行きなさい。」
「いいのですか?」
「ああ、使徒様のお言葉だ。」
「使徒様?」
「お前の側に今神がおられるのだ。」
「ゴールド様、他の者達はナパ領に連れて行こうと思います。」
「ナパに連れて行って如何するのだ?」
「母アリスに任せます。母ならきっとこれらの者の気持ちが分るでしょう。」
「アリスなら分るだろうな。では、明日一緒に行こう。」
「アラディン様、私も一緒に行ってよろしいでしょうか?」
「ハーディン、お前には第3軍があるだろう。」
「いえ、私はアラディン様の弟子です。連れて行って下さい。」
「分った、連れて行こう。」
「ありがとうございます。」
ハーディンは涙を流した。
その夜、夕食を食べて落ち着いた所でゴールドはタト村の出来事をシシリーに尋ねた。
「山賊に襲われたのは夜でした。開拓村なので、皆剣が使えました。
普段は農業をしたり、森の木々を切ったりして未開地を開拓しながら暮らしていました。
タト村の住民は男が20人、女か13人でした。
その内の6人が10歳以下の子供でした。
山賊は、まず家々に火矢を放ちました。
家から村人が出て来る所を襲ったのです。
そして家の中に入って、食料や服、道具類を盗みました。
父親はタイトル、タト40歳でした。母はターニャ、タト30歳でした。
父は山賊と戦って1人を倒しました。
そこで後から矢を射られました。膝をついた所を山賊長のノドン、マッカーサー35歳に切り殺されました。
母も剣を持って戦っていました。ノドンは母もその場で切り殺しました。
私は弟のアイザック10歳と、その光景を見ていました。
ノドンは私を見つけると、横にいたアイザックを切り殺して、私を縛り上げて、家の外へ転がしました。」
シシリー、タトは15歳。身長160cm、金髪の美少女だ。
山賊達は女8人、子供5人を攫ってアジトに引き上げた。
それからの日々はシシリーにとって地獄だった。
毎夜シシリーは山賊長ノドン、マッカーサーに弄ばれた。
逆らったら殴られた。
顔が腫れ上がるまで殴られたのだ。
シシリーは死ぬのが怖かった。
地獄のような日々の中でも生にしがみ付いていた。
他の女達も同じだった。
ゴールドはふと違和感を感じた。それでサーチを女性達へ放った。
シシリーは如何も無かったが、3人の女性が妊娠していた。
ゴールドは一瞬迷ったが、無詠唱で変幻魔法Lv10オールチェンジを3人の女性に放った。
そしてゴールドは自らうす青色の光の粒を発し出した。
さながら神がそこに降臨されたように、周りの者達は感じた。
はっきりと全員に光り輝くゴールドが見えていた。
「皆の者、今から私が魔法をかける。動かずにじっとしていなさい。」
全員、魔法が何か分らなかったが、硬直したように動きを止めた。
ゴールドは生活魔法Lv3クリーンの魔法を詠唱した。
「ユグドラシルのフェアリー、ブラウニーに命じる。この者達を清潔にせよ。クリーン。」
その言葉は神の言葉のように厳かに聞えた。
その時、光の玉が回りを駆け回り、10分もすると全員の服から身体までピカピカになった。
女性は薄いバラの花の匂いがして、今までの疲れからうっとりとし出した。
男はすっきり爽やかレモンの香りがした。
ゴールドは女性全員にハイポーション、美肌ポーション、リンストリートメントポーションを飲ませた。
そこには健康そうな女性達がいた。
この部屋にいた男達は、神の御業にお祈りを捧げていた。
「おおーっ、神よ、ムーン シルバーさま。ありがとうございます。」
最後にゴールドは、もう1の疑問をシシリーに尋ねた。
山賊達は22人が確認されていた。しかし、実際死体は21体しかなかったのだ。
それで、このアジトに1人いるものと思っていたが、山賊はいなかった。
この事をシシリーに説明した。
「ゴールド様、山賊の1人、ノドンからサギシ、ダマスキー26歳と呼ばれていた者がいます。
そのサギシは私達の村から奪った服や道具類を行商人に化けて売り歩いているのです。
そして酒や武器などを買って、このアジトに戻って来ていました。
あいつはタト村にも来た事がありました。
私の家にも商いに来ていたのです。」
「なるぼど、よく分った。」
ゴールドはナトール領に向かってサーチと空間把握を使った。
いた、近くだ。サギシはハオ村にいる。
「アラディン。」
「はい、お師匠様。」
「サギシはハオ村にいる。捕まえて全てを吐かせなさい。特に子供達を何故生かしたまま捕まえていたのか?この事は絶対吐かせよ。」
「あのゴールドさま。」
「なんです、シシリー。」
「子供達を捕まえていたのは、海賊に奴隷として売る為だとノドンが言っていました。」
「海賊に奴隷として売る!!!なるほど、何処で取引すると言っていましたか?」
「はい、アルカリーナで取引すると言っていました。」
「取引する相手の名前は言っていましたか?」
「いえ、昔のダチだとしか言っていませんでした。これは副頭のドワル、トルーマン32歳との会話です。」
「アラディン、分りましたか。」
「はい、お任せください。」
「ではアラディンに尋問の仕方を教えよう。ここでは不味いので、奥の部屋へ行こう。」
ゴールドは奥の部屋に入った。アラディンもその後をついて行った。
ハーディンまでついてきた。
「ハーディン、何故お前までいるのだ?」
「使徒様、私も師匠について行きたいと思います。」
「まあ、いいか。
ハーディン、今から私がする事は、絶対他人に洩らしてはならない。
特にアラディンの母、アリスにはな。
それから今から私がする事に対して、一言も喋ってはならないぞ。
ではアラディン、上着を脱いで左腕を真横に出しなさい。」
アラディンは服を全て脱いで左手を横に差し出した。
ゴールドはナイフを抜いた。
そのナイフは青く晴れた空のような色をしている。
「アラディン、今からお前の腕を切り落とす。痛いだろうが我慢せよ。」
「使徒さま!!!」
「ハーディン、喋るなと言っただろう!!」
「いや、腕を切るのなら私の腕を切ってください。」
「お前の腕を切ってもしょうがないのだ。
黙ってそこで見ていろ。
次一言でも喋ったら、この部屋から出て行って貰うぞ。」
ゴールドはナイフを振り下ろした。ハーディンはその速さに驚いた。
アラディンの剣のスピードが速いのは知っていた。
目で見て、見えないのだ。速すぎて。
しかし今のスピードはその速さの何倍も速く感じたのだ。
見えなかったのだが、感じる事が出来たのだった。
こんなに強かったのかと改めてゴールドを見た。
しかし、やっぱり強くは見えない。
ゴールドは切り落とした左腕をアラディンの腕にくっつけてパーフェクトヒールを唱えた。
白い光りが集まり出し消えて行った。
「アラディン、腕を動かしてみよ。」
アラディンは腕をグルグル回した。
「ゴールド様、前より軽い感じがいたします。」
「そうか、では私が言う言葉を続けて言いなさい。」
「癒しの女神よ、我が願いを受け我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」
アラディンは詠唱した。
「癒しの女神よ、我が願いを受け我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」
その瞬間にアラディンは白い光りに包まれた。
「次の言葉に移りますよ。癒しの女神よ、我が願いを受け、我を癒したまえ。ヒール。」
アラディンは詠唱した。
「癒しの女神よ、我が願いを受け、我を癒したまえ。ヒール。」
アラディンは先ほどより少し強い光に包まれた。
「では次の言葉です。癒しの女神よ、我が願いを受け、我等を癒したまえ。エリアヒール。」
アラディンは詠唱した。
「癒しの女神よ、我が願いを受け、我等を癒したまえ。エリアヒール。」
アラディン、ハーディン、ゴールドの3人は白い光に包まれた。
ハーディンは驚いてばかりだった。
アラディン様が魔法を使っているのか!!!
それも次から次へと違う魔法を使っている。
そして今回は自分まで、すっきりした気持ちになっていた。
「次の言葉に行きますよ。癒しの女神よ、我の願いを受け、我の身体の病魔を禊ぎ祓い給え、清め給え。シック。」
アラディンは詠唱した。
「癒しの女神よ、我の願いを受け、我の身体の病魔を禊ぎ祓い給え、清め給え。シック。」
今回は白く光っただけで何も起こらなかった。
「ラアディン、最後の呪文です。癒しの女神よ、我が願いを受け、我の身体の毒を取り除きたまえ。キアリー。」
アラディンは詠唱した。
「癒しの女神よ、我が願いを受け、我の身体の毒を取り除きたまえ。キアリー。」
「では尋問のやり方を授ける。」
ゴールドは自分の手の平にナイフを突き刺した。
そしてナイフを手の平から抜いた。
「癒しの女神よ、我が願いを受け、我を癒したまえ。ヒール。」
ゴールドの手の傷が治っていた。
「この方法でサギシを尋問せよ。吐かなかった時は、ナイフを左右に振れ。さすれば痛みが増す。5回もやれば、全て吐くだろう。」
ハーディンは今のを見せられて震えが来た。
如何見ても1回で吐きそうだと思った。
「アラディンにはこのナイフを授ける。しっかりやりなさい。」
「では、ただ今より行って参ります。」
「頼みましたよ。」
アラディンとハーディンは闇の中に消えた。
2人がハオ村についたのは2時間後だった。
まだ人々は家の中で内職をしていた。
藁で篭を作ったり、木の食器を作ったりしていた。
広場の横にサギシの馬車があった。
サギシは馬車の中でノドンからの合図を待っていた。
合図があれば、門の閂を外すのだ。
そこにアラディンとハーディンが襲い掛かった。
あっと言う間にサギシは取り押さえられた。
縄で縛って、村長宅へやって来た。
「カイアス殿はいるか?」
中からターラが出て来た。
「ハーディン様、よくお出で下さりました。お泊りでしょうか!!」
「いや、違う。部屋を貸して欲しいのだ。一番奥の部屋を貸してくれ。」
その時、村長のカイアスが出て来た。
「おおっ、ハーディン様、山賊はどうなりましたか?」
「山賊は始末した。安心していいぞ。」
「おおっ、では皆に知らせて来ます。タデウス、一番奥の部屋に案内しなさい。」
「はい、父様。」
タデウス、ハオ20歳は一番奥の部屋にハーディン達を案内した。
「タデウスと言うのか。」
「はい、ハーディン様。」
「誰もこの部屋に近づかないようにしてくれ。」
「はい、畏まりました。」
ハーディンはサギシを椅子に縛り付けた。
そしてサギシの右手を机に押さえつけた。
「サギシよ、これから質問する事に全て吐け。そしたら痛い目にあわないぞ。」
「俺はサギシなどではない。クレンと言う名だ。」
「そうか、名前は如何でもいい。質問一つ目だ。アルカリーナには誰が来る。」
「知らん。そうか、知らないか。お師匠さま、知らないそうでござります。」
「そうか、しっかり手を押さえておけ。」
「畏まりました。」
アラディンはアダマンタイトのナイフを抜いた。
刃渡り35cmのスカイブルーの色をしたナイフだ。
恐怖を表したように光り輝いていた。
「まっ、待ってくれ。アルカリーナに来るのはカレッタ、ヌルジャン35歳だ。」
「いつ来るのだ。」
「1週間後だ。」
「何処で会う事になっている。」
「アルカリーナの店、星の宵で会う事になっている。」
「よしいいだろう。お前はここでおとなしくしていろ。」
「なっ、喋っただろう。逃がしてくれ。」
「お前は領都に行って縛り首だ。おとなしくしていろ。
騒げば、痛い目に遭うだけだ。
タデスウはいるか?」
「はい、ここに居ます。」
「こいつを見張っていてくれ。騒げば殺しても構わないぞ。
こいつはお前達を殺しに来たのだ。
タト村の惨状をしっかり心に刻み込んでおくのだ。」




