アラディン、ナパの山賊退治
ゴールド達がワープでナトニアに飛んだ場所は謁見の間だ。
謁見の間にはジェイガンとアシュウインがいた。
その前には頭を下げているカイン、ナジランがいた。1年前に見たような光景だ。
ジェイガンがライオスに気付いてカインを通り越してライオスの前で膝をついた。
「ライオス王よ、お帰りですか?」
「はい、今帰りました。」
「おおーっ、カイン殿、王がお帰りだ。お礼は直接ライオス王へ述べてください。」
「いいのですか?」
「ああ、いいとも。」
「ジェイガン、如何いう事だ。」
「はい、1年前、王と使徒様で国の土地の浄化をなされましたな。
それからと言うもの、作物が以前以上に収穫出来るようになったのです。
そのお礼をする為に、ナジラン領から出向いておられます。」
「ライオス王様、我が領は、今では飢えている者はいなくなりました。
食料の増加と共に、人口も増えております。
今まで出来ていなかった領内の開発も盛んに行われるようになって景気もよくなりました。
これもひとえにライオス王と使徒様が土地を浄化されたお陰でございます。
そのお礼を申したくて、この度は参上仕りました。ありがとうございます。」
「お師匠さま、人口が増えたそうです。神も喜んでおられますね。」
「確かに喜んでおられるだろう。」
「また、今年から我がナジラン領においても、上の森の開拓を致したく思っています。よろしければ、一度第3軍に手本を見せて頂く事は出来ないでしょうか?」
「上の森を開拓するのはいい事だが、何故第3軍なのだ?」
「ライオス王よ。」
「何だジェイガン。」
「今第3軍の実質の指揮官はアラディン殿で、各領の治安維持が主な任務となっています。」
「アラディン殿が各領の治安維持をやっているのか?」
「はい、もうすでに1年になります。
その間をぬって、上の森で兵達を鍛えなさりました。
その時の収穫物が肉だったり、貴重な薬草だったりしたのです。
各領も飢えがなくなり、戦力も整って来たので、第3軍を手本にして、上の森の開発に乗り出した所なのです。」
「あい、分った。第3軍に伝えておこう。」
「おおーっ、有難き幸せでございます。これにて私は失礼させて頂きます。」
「お礼の言葉、確かに受け取りました。」
「ライオス王、お帰りなさい。」
「おおーっ、アシュウイン殿、ただ今戻りました。私の留守を守ってくださりありがとう。」
「もったいないお言葉です。」
「ところでアラディン殿はどちらにおられる?」
「はい、アラディンはナトール領へ山賊退治に行っております。」
「山賊がいるのか?」
「はい、この1年で村々が豊かになり、盗賊や山賊が村々を襲うようになったのです。」
「今まで山賊などいなかったではないか?」
「はい、盗賊が村々を襲った方がいいと思ったようで、村々を襲っている内に山賊へと変わって行ったと思われます。」
「中々政は複雑だな。お師匠さま、行かれますか?」
「そうだな、アラディンに会いにいこう。」
「では、私もお供いたします。」
「いや、我が弟子ライオスよ、そなたにはやる事があるだろう。
そなたの父や母に新妻を会わせてあげなさい。
それにそなたも1年間、両親に会っていないだろう。
顔を見せてあげなさい。」
「はい、そう致します。」
「では、私達はアラディンに会って連れて来よう。」
「はい、お願いします。」
「ではワープ。」
ゴールドが飛んだ先はナソー領、サイ、ナソーの邸のブランコのある部屋だ。
飛んで吃驚、人が多い。
ブランコは大人用も含めて、全部人が遊んでいた。
その横にテーブルと椅子が置かれて、婦人達がお茶を飲んでお話をしていたのだ。
テアがシンフォニーに気付いた。
「シンフォニー!!!」
「テア!!!」
2人は抱き合って喜びを表した。
「では、また伺います。」
「あのゴールド、私もここにいていいかしら?」
「えっ、ユリアもここで待っているのかい?」
「いいかしら?」
「ああ、かまわないよ。」
「ゴールド、私もここで待っているわ。」
「アリスもかい!!」
「サンターナはどうする?」
「私もここで待っていたいです。」
「分った、では私だけで行って来るよ。ワープ。」
ゴールドはユリア達がブランコの順番を待つ列に並んだのを見た。
確かにこのユグドラシルの世界には遊具がないなと改めて思った。
ゴールドはナトール領の真ん中に飛んだ。
ナトール領は直径10kmだ。
ゴールドはサーチと空間把握を円場に放った。
アラディンは北にいた。その前に領主館がある。
ナトールの領主館はナトニア川の側、カルデラの岩の側に建てられている。
ゴールドはワープでアラディンのいる広場の前に飛んだ。
そこには兵士が100人ぐらいいた。
その前でハーディンが挨拶をしていた。
「我々はこれから山賊を退治しにいく。
山賊は偵察によれば22人だとの事だ。
1人も逃さない為に10小隊に分かれて敵のアジトを襲う計画だ。
くれぐれも逃さないように。
質問はあるか?」
「ありません。」
「よし、出発する。」
この時、アラディンがゴールドに気付いた。
「使徒様、いらしておられたのですね。」
「ライオスの修行が終わり、帰って来た所だ。それで貴方を迎えに来た。」
「少し待ってもらえませんか?今から山賊退治に行く所なのです。」
「アラディン、山賊は何処にいるのだ?」
「はい、タト村とハオ村の中間地点の上の森にアジトを構えているようです。」
ゴールドはサーチをタト村に向かって放った。
確かに森の中に砦みたいな物がある。
山賊の数は22人だ。
よっぽど腕のいい斥候がいるのだろう。
「アラディン殿。」
「はい何でしょうか、アスラン様。」
「その方はどなたでしょうか?今、天空からすっと現れたように見えましたが!!!」
「こちらは私のお師匠様です。」
「えっ、アラディン殿の師匠。政治学のお師匠様ですか?」
「いえ、違います。槍のお師匠様です。」
「槍の師匠?強く見えませんよ。」
「本当に強い者は強く見えない者なのです。それにこのナトール領の土地も浄化されて、作物が取れるようになったでしょう。」
「はい、噂ではライオス王と使徒様がナトニアの全ての土地を浄化されたと聞いています。」
「こちらがその使徒様、ゴールド様ですよ。」
「えっ、この方が使徒様!!!
これは挨拶が遅れました。
私はアスラン、ナトール32歳です。これは妻のアミリでございます。
土地を浄化いただいてありがとうございました。」
「小麦が良く育っていますね。」
「はい、麦の穂の数も多くついてます。」
「ここナトール領も開発は進んでいますか?」
「はい、本来、町や村はナトニア川の側にあったのですが、崖側にも開拓村が出来るようになったのです。」
「そう言えば、ここはナソー領と違って川が溢れないのですね。」
「はい、川は深く雨季でも川が溢れる事はありません。」
「畑の水は如何されているのですか?」
「上の森から流れる小川の水を使っています。」
ゴールドが川向こうを見ると、上の森から小さな滝が流れ落ちていた。
「今回、山賊に襲われた村は半年前に開拓された村でした。
タト村と言ったのですが、一ヶ月前に山賊に襲われて、男、老人は皆殺し、子供と女は連れ去られました。」
「子供は殺されていないのですね。」
「はい、子供の死体はありませんでした。そして今回、タト村から5km南へ行った所にある開拓村、ハオ村が山賊に襲われそうなのです。」
「なるほど分りました。」
「アラディン様」
「何だハーディン。」
「出発の準備が出来ました。」
ハーディンはゴールド無視した。二人は相性がとことん悪い。
「ハーディン!!!」
「はい、アラディン様。」
「師匠の師匠は、お前にとって如何言う存在だ。」
「アラディン様のお師匠様なら私にとっては大師匠様?です。」
「それならゴールド様はお前にとって大師匠様だ。
お前は身体と心をゴールド様に捧げなければならない。
お言葉は、お前にとっては絶対のものだ。
心に刻みつけておけ!!!」
ハーディンはゴールドを見た。嫌そうな顔だ。
それでもゴールドの前に来て、跪き頭を下げた。
「ハーディン。」
「はい、大師匠様。」
「師匠の師匠は、お前にとってはただの人だ。
心や身体を捧げる必要はない。
それにお前はアラディンに師弟の絆を切られる事を恐れて、私に頭を下げているのだろう。
お前がアラディンを師匠と認めている限り、お前達の師弟の絆は決して切れる事はない。
アラディンが私を使徒と思っているようにだ。
分りましたか?」
顔を上げたハーディンは嬉しそうだ。
「では、ハオ村に向けて出発せよ。」
「はっ、全員出発。」
兵士達は全員走り出した。
ハオ村まで川を渡って8kmぐらいある。
結構速いスピードで走っている。
ゴールドはフライを使って後からついて行った。
ハオ村まで1時間と掛からずに到着した。
ハオ村の門は閉まっていて、櫓の上に見張りがいた。
1人が村の中に消えた。
「我々はナトニア王国第3軍である。」
ハーディンが挨拶した。
門は直ぐ開き、中から中年の男が出て来た。
その後には30人ばかりの人々が立っていた。
「私は村長のカシアス、ハオ43歳です。お待ち申しておりました。」
「私はハーディン、ナザレスである。」
「おおーっ、あなたさまがハーディン様。
これで、この村も救われます。ありがとうございます。」
カシアス村長は、縋りつかんばかりにハーディンの手を取った。
その頬には涙が流れていたのだ。
それと言うのも一週間前、山賊がこの村にやって来て、「村から出て行くのなら命は助けてやる」と言って来たのだった。
タト村の惨状を知っている村人達は、このまま村を捨てようと話しあっていたのだ。
命あってのものだねである。
しかし領都から返事があり、「ハーディン様率いる第3軍が来てくれる事になった」と連絡があったのだ。
それで怯えながらも逃げずに待っていたのだった。
今までのハーディンの行動と名声と共に第3軍はナトニアの英雄になっていた。
何回も出動して盗賊、山賊と命をかけて戦って勝利していたからだ。
作戦は全てアラディンが立てていたのだが、アラディンの名前は、まだ誰も知らなかった。
アラディンに名誉欲や物欲がなかった為だ。
ゴールドから言われた通り、「ナパ領をしっかり守ってくれ」との言葉通り、ナパ領を守る為だけに第2の命を使っていたからだ。
今はそれがナトニアを守る事になっていただけなのだ。
「よし、この広場にテントを張れ。」
「あのハーディン様、村の家々に皆様の部屋を用意いたしております。」
「いや、その心遣いはありがたいが、我々の作戦を成功させる為に、ここを拠点とする。気にするな。」
「そうでござりますか!!では、食事を運ばせます。」
「いや、食事も我々でやるので、構わないでください。」
「それではハーディン様、お1人でも我が家にお泊り下さい。おもてなしをさせて頂きます。綺麗な村の者を揃えています。」
こんな事は、この1年数え切れないぐらいあった。
前のハーディンなら喜んで受けただろう。
しかしハーディンはアラディンの弟子になった時から人が変わった。
アラディンと共に進む道を選んだのだ。
だから部下達も命がけの修練に耐えているのだ。
「その心だけ受け取っておきます。明日山賊を退治しますので、ご安心下さい。」
村長達はハーディンの前で跪いてお祈りを捧げた。
「おおーっ、神ムーン シルバー様、ありがとうございます。」
「カシアスよ。」
「はい、ハーディン様。」
「神ならあっちに居られるぞ。」
「えっ、如何言う事でしょうか?」
「お前は、このナトニアが誰に助けられたか知っているか?」
「はい、存じております。使徒様が魔物をやっつけて下さり、この国は救われたのです。」
「まあ、そう言う事です。明日は絶対に失敗はない。安心していいぞ。」
そして翌朝、ハーディン達は山へ出かけた。
上の森から下への道は一本しかない。
丁度タト村とハオ村の真中あたりに岩の割れ目があり先人がここに上への道を作ったのだ。
この道を通り、山賊達は下へ降りて村を襲った。
ここは山賊のアジト。
「お頭、食料の残りも少なくなってきやしたぜ。明日にもハオ村を襲いましょう。」
「よし、明日の手配をしておけ。」
「女達は如何しますか?殺しますか!!」
「本来は殺す所だが、今回は考えがある。」
「そう言えば子供も殺さずに捉まえていますね。
如何したのです?
その為に食料の減り具合が、いつもより多いですぜ。」
「まあ、そう言うな。
俺の昔のダチが海賊をやっていてな。
ちょっと前、連絡を貰ったのだ。
奴隷をさがしているらしい。
アルカリーナまで連れてくれば、良い値で買い取ってくれるらしい。」
「本当ですかい?」
「まあ、それで子供達を殺さず、生かしているのだ。
ハオ村の襲撃が終わったら、女、子供を連れてアルカリーナに行くぞ。」
「金がたんまり入るといいですね。」
「任せておけ。
まあ、今日はちょっとした宴だ。
手下共にあんまり酒は飲むなと言っといてくれ。
明日はハオ村でしっかりした宴だ。
わっはははーー。シシリー、こっちに来い。酒を注げ。」
シシリーは言われた通りに酒をノドンについた。
ノドンはシシリーを抱き寄せて、乳房を揉んだ。
「シシリー、お前は海賊に売らないでおいてやる。
その代わり、おとなしくしていろ。わっはははーーっ。」
そして山賊達も翌朝、ハオ村を襲いに道を降りた。
偶然にも山賊達とハーディン達は山道の途中で出くわしたのだ。
しかしハーディン達にとっては、出くわした場所の位置が悪かった。
上から弓矢の格好の的になった。
ハーディン達は盾を並べて防御の格好になってしまった。
ハーディンはアラディンを見た。
「アラディン。」
「はい、ゴールド様。」
「行くぞ。」
「はい、お供します。」
「私も連れて行ってください。」
「ハーディン、私に頭を下げるのか。」
「はい、お願いいたします。」
「いいだろう。ワープ。」
ゴールドは山賊達の後ろに飛んだ。
アラディンは槍を小脇に抱えて、山賊に突っ込んだ。
ゴールドは驚いた。
アラディンのスピードが前より速くなっているのだ。
アラディンのステイタスはレベル78だった。
ゴールドはアラディンにサーチを放った。
ステイタス
アラディン、ナパ17歳
称号 使徒の弟子
レベル125
HP 1,000
MP 1,000
力 500
体力 500
敏捷 300
器用 300
魔力 300
槍術Lv5 剣術Lv3 弓術Lv3
炎魔法---- 風魔法---- 土魔法---- 水魔法---- 回復魔法----




