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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
23/38

タイソン、ランディ

 冒険者学校が始まって3ヶ月目、ある事件が起きた。

 それはサンターナの魔法の授業の終わりの出来事だった。

「ゴールド様、来て見て。」

「どうした、サンターナ。」

「こっちよ、こっち。」

 ゴールドがそこで見たものは、1人の女性がぼんやりと目覚めている光景だった。

 ゴールドはその女性を見た瞬間に抱きしめていた。

「なっ、勇者さま、どうされたのですか?」

 ゴールドの頬を涙が伝わっていたのだ。

「貴女の名前は何でしたか?」

「私はアナリーゼ、ニストロムです。」

「そうですか、アナリーゼさんですか。おめでとう、貴女は今日から魔法使いです。」

「えっ、私が魔法使いになったのですか?」


「はい、今から私が言う呪文を言ってください。風の精霊よ、我が願いを受け、風を現したまえ。ウインド。」


「風の精霊よ、我が願いを受け、風を現したまえ。ウインド。」

 風がアナリーゼから吹き出した。

 その瞬間にアナリーゼにも風の魔力が見えた。それは緑色の魔力の風だった。

 アナリーゼは違う世界に迷い込んだような感覚に陥った。

「では、もう一つの呪文を行きますよ。」

「えっ、もう一つの呪文?」


「癒しの女神よ、我が願いを受け、我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」


「癒しの女神よ、我が願いを受け、我に少しの癒しを与えたまえ。リトルヒール。」

 その瞬間にアナリーゼを白い魔力が覆って消えた。


 この事実は全生徒にあっと言う間に広まった。

 それでゴールドの授業の時、誰もが聞きたい事を尋ねた。

「自分も魔法使いになれるのでしょうか?」

 ゴールドの応えは簡単だった。

「分りません。素質のある者は目覚めるし、無い者は目覚めない。」


 しかしこの言葉は裏切られる事になる。

 何故なら、次々に生徒達が魔法に覚醒して行ったからだ。

 ゴールドは何故次から次へと魔法使いが出来るのか?最初不思議に思った。

 1人、2人なら才能だと言えるだろうが次から次へと魔法使いへ覚醒しているのだ。

 魔法の授業はサンターナが受け持っている。

 サンターナは言っていた。

 授業の終わりにパーフェクトヒールを全員にかけているのだと。


 これが原因だろうと思った。他に考えられないのだ。

 つまり毎日、魔法をその身で受ける事が魔法使いへ覚醒する事への道なのだろう。

 しかしサンターナのような先生は、今後現れないだろう。

 レベル4,268で魔力量は18,700なのだ。


 やはり今後は師弟が大事だろうと考えた。

 つまり魔法使いに覚醒した者は生涯を通して最低でも1人は自分の弟子を魔法使いにする事も仕事の一つにしたのだった。

 冒険者ギルド、錬金術士ギルド、魔法使いギルドを使って師弟制度を確立した。

 そしてゴールドの言葉は、そのまま師弟制度の言葉となった。


「弟子は、その身も心も師匠に捧げなければならない。」

「師匠の言葉は絶対のものだ。」


 そして師匠はこの信頼を裏切れば、死を持って償いをさせられた。

 つまりギルドから死の処分を受けたのだ。



 生徒達が次々に魔法に覚醒している頃、ゴールドはアダマンタイトのナイフを受け取りにランディ地下王国へやって来た。

 まず門番のタイソン、ランディに挨拶に来た。

「タイソン殿、ご無沙汰しております。」

「勇者さま、お元気そうですね。」

「はい、では早速サルヴァトーリ殿のお店に参りましょう。」

「ナウマン、私は少しここを離れるがいいだろうか?」

「兄上、お任せ下さい。」

「よろしく頼んだぞ。」

「では、ワープ。」


 ゴールド達はサルヴァトーリの店の前へワープで飛んだ。

 タイソンは始めてのワープで目の前がぐらぐらと揺れた。

 突然風景が変わるのだ。

 ゴールドは店の中に入った。

「ドミニカさん、お久しぶりです。」

「勇者さま、よくお出で下さりました。今、主人を呼んで参ります。」


 直ぐ工場からサルヴァトーリが出て来た。

「勇者さま、よくお出で下さいました。こちらが注文のナイフ、3本になります。」

 店のカウンターの下からナイフを3本取り出してゴールドの前に置いた。

「ありがとうございます。」

「これでご注文の品は完了ですね。」

「はい、これで終わりです。」


「ところでドルモアはしっかりやっていますでしょうか?」

「はい、ドルモアさんには期待以上の仕事をしていただいています。」

「えっ、それは本当ですか?逃げ出していないのですか?」


「逃げ出す?それは何の事が分りませんが、ドルモアさんがいなかったら、神からの仕事は達成出来なかったでしょう。」


「ドルモアが神の仕事の手助けをしているのですね。」

「はい、しっかりやって頂いてます。では私達はこれでお暇いたします。」

「また、何かありましたらお尋ねください。」

「はい、ありがとうございます。では、これにて。」


 ゴールドはお店を出てワープの詠唱に入った。

「天空と次元を翔け、我を届けよ。ベラドンナ拠点。」


 ゴールド達はベラドンナの拠点の邸に帰って来た。

 その足で冒険者ギルド横にあるドルモアの仕事場にやって来た。

 炉には火が入り、10人ぐらいの弟子を相手に鉄を打っているドルモアがいた。

 ゴールドが工場に入ると、直ぐドルモアは気付いた。

 そしてゴールドの後にいるタイソンにも気付いた。

 ドルモアは大勢の人々がいる中、ゴールドを素通りしてタイソンに抱きついた。

 瞳には涙が溜まっている。

「王子さま、来てくださったのですね♡」

「ドルモア、元気そうだね。」

「半年も王子さまと会わなかったので、力が出なくなりました。このまま、こうして居させてください♡」


 ドルモアとタイソンの出会いは、ドルモア10歳の時だった。

 何年かに1度、立ち寄っていたサルヴァトーリの店にタイソンが来た時だった。

 小さな少女がタイソンに飛びついて来た。

 ドルモアは一目惚れをした。まだ10歳で一目惚れと言うのも早いかもしれないが。


 それからと言うもの、ドルモアは毎日、門まで出かけてタイソンの横で1日を過ごし、夕方になってタイソンと一緒に家に帰る日々を50年間過ごした。

 ドルモア60歳の時、神の啓示を受け鍛冶仕事に目覚めた。

 それからは父親の工場で鍛冶仕事をして、愛情が切れ掛かると、愛情充填の為、時々門に行ってタイソンと時を過ごすのだった。

 そんな生活が400年ばかり続いた。


 しかし近頃、どうしても地下を出て、外の世界が見たくなったのだった。

 しかしタイソンと離れる事が出来なくて、我慢していた所にゴールドの話が舞い込んだのだった。

 この時を逃しては、外の世界へ出られないと思い、タイソンへの気持ちを振り切って外へ出たのだった。

 外の世界を見たら、タイソンの元へ帰るつもりだったのだ。



 タイソンはドルモアを如何思っていたのか?

 最初の頃は、ただ可愛いいだけだった。

 煩わしいと偶には思うものだが、一度もそう思わなかった。

 父から身を固めて、自分の後を継ぐように言われて、他の女性とお見合いをしたが、心が動く女性は居なかった。

 そんなおり、ドルモアが鍛冶に目覚めて会いに来なくなった。

 そして自分の気持ちに気付いたのだった。

 俺は少女が好きだったのか?

 いや、違う。ドルモアが好きなのだ。

 しかし好きだと気付いても、ドルモアの自由を結婚で奪う事が出来ないでいたのだ。

 そして半年離れて見て、改めて好きだと思ったのだった。


 その夜、2人は一緒に食事をした。

 冒険者学校の学食で食券を買って食事をした。

 ドルモアが買ったのはカレーライスとクレープとアイスクリームだ。

 飲み物は炭酸入りラモン氷ジュースだ。

 近頃販売開始になった。誰の要望かは言わないでおこう。


 タイソンは始めてのカレーライスに涙を流した。

 クレープもアイスクリームにも涙を流していた。

 ドルモアは近頃、この夕食ばかり食べていた。

 一度食べたら止められなくなった。

 しかし高い食事代だった。1個1,000デシタルロム。現代価値で3万円だ。

 4種類なので12万円もする食事だったのだ。


 それでも止められなかった。

 今では食費を稼ぐ為に鍛冶仕事をしているようになっていた。

 しかし余裕で稼いでいたのだ。

 ドルモアの剣は1本5,000ロムで売っていた。

 弟子に手伝わせて1日10本は打っていたのだ。


「ドルモア、お前が頑張っている事の意味が分ったような感じがするよ。私でも、この食事をしたら頑張るだろう。」

「タイソン様♡」


「ドルモア、お前に話があるのだ。私と結婚してくれないか!!

 お前が気がすむまで外の世界にいよう。

 気が済んだら一緒に私と帰ってくれないか!!私の妻になって欲しい。」


「私をお嫁さんにいてくれるのですか♡」

「ああ好きだよ、ドルモア。」

「はい、王子様。タイソン様♡」



 2人はこの夜、愛し合った。

 ドルモアは身長110cm、金髪の髪を肩で揃えている。

 半年前までは地下生活で病的なほどに白い肌だったが、今は健康そうな肌色をしている。


 タイソンは身長160cmとドワーフにしては背が高い。

 この半年でレベルが202から250まで上がっている。

 金髪の髪を肩まで垂らし、肌は白くスラッとした身体つきだ。



 タイソンはドルモアを軽々と抱えてベッドに運んだ。

 ドルモアは初めてタイソンに抱えてもらって嬉しかった。

 いつも自分から抱きついても、タイソンから抱かれた事は無かったのだ。

 タイソンはドルモアにキスをした。

 「あっ、あぁぁぁぁぁぁタイソンさまーーーーっ。」


 行為が終わり、タイソンはやさしくドルモアにキスをしてそのまま眠りについた。



「おはよう、ドルモア。」

「あっ、おはようございます。王子様。」

「ドルモア、もう夫婦になったのだがら、タイソンと呼んでくれ。」

「タンソンしゃま♡」

「今日から私もドルモアの仕事を手伝わせてくれ。」

「王子様が、いえ、タイソンしゃまが鍛冶仕事をなさるのですか♡」

「ああ、ドルモアと一緒に仕事をしたいのだよ。」

「嬉しいです♡タイソンしゃま♡」


 朝食を食べ、ドルモアとタイソンは仕事場に来た。

 鉄を打つ仕事は、ドルモアと弟子2人、計3人による仕事だ。

 ドルモアが目で合図した所をハンマーで打つのだ。

 ゴールドは一度、ドルモアの剣をサーチで調べた事がある。

 ドルモアが鉄を打つと、炭素とクロムが混じるのだ。

 ゴールドはドルモアの鉄はクロム鋼だと思った。

 流石はドワーフ。

 神に愛された鍛冶師だと感じたのだった。

 今日はドルモアが指示した所をタイソンと弟子1人が打つ事になった。

 しかし仕事のスピートがメチャクチャ速かった。

 人族の弟子は10人。次から次へと交代した。

 仕事が速いのはタイソンのステイタスにある。



 ステイタス

 タイソン、ランディ6501歳

 称号 ドワーフの王太子

 レベル250

 HP 2000

 MP 2000

 力 1000

 体力 1200

 敏捷 800

 器用 1000

 魔力 300

 Yang陽のティムLv10 炎Lv7 風Lv7 土Lv7 水Lv7

 槌術Lv5

 特技 テレパシー 土の守り 土の守護 土の祈り未覚醒 炎の槌未覚醒

 召喚 ホワイトドラゴン ティナ

 妖精率80%

 テレパシー 意思の疎通が出来る能力で使う者によって空間、異空間の把握が出来る

 土の守り 土の上、洞窟、大地の上だとステイタス2倍

 土の守護 土の上、洞窟、大地の上だとステイタス5倍

 土の守り、土の守護同時発動でステイタス7倍

 土の祈り 大地と会話出来る。土の上、洞窟、大地の上だとリジェネーションとパーフェクトヒールの効果が得られる。

 炎の槌 炎属性の槌を召喚して攻撃する。魔力を込めれば込めるほど威力が上がる。



 タイソンはドルモアに良い所を見せようと、土の守り、土の守護を発動してステイタスを7倍にして槌を打っているのだ。

 人族の弟子達には神の化身に見えた。




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