ラオール達の仕事
ラオール達は無事ロマ砦に付いた。
商人から認めのサインを貰い、ロマ砦の領主館の中に入って行った。
領主館の中に冒険者ギルド、ロマ砦支部が出来ていた。
ゴールドはオレクサンダー、ロッテルダム45歳の許可をもらいキウィとAIユリアを伴って領主館の1画を冒険者ギルド、ロマ砦支部にしたのだった。
職員はロマ砦の兵士から募集した。
その為、厳つい男性職員になった。
しかし彼らは厳ついが、ハイテクを理解した。
ラオール達は依頼達成の報告と残りの金貨1枚を貰いに来た。
「はい、いらっしゃい。ご用件は何ですか?」
「これをお願いします。」
「あっ、仕事の依頼達成の証明書ですね。
このカイケイくんにかざしてください。
はい、確認取れました。
報酬は金貨にしますか?
それともデジタルロムにしますか?」
「デジタルロムだと5%の割り増しが付きます。」
「じゃ、デジタルロムで頼むわ。」
「承知いたしました。」
それからラオール達は遊びに出て来た。
砦には兵士相手の夜のお店が何件か並んでいる。
ラオール達も何度か利用していた。
今回違う所はデジタルロムが使える所だ。
それにボトルキープでポイントが付いた。
お姉さん達もなんだか若々しく、綺麗に見えた。
この店を、デジタルロムを使える店にする代わりに、ここの女性達を若々しくする神の薬を飲まされたそうだ。
最初、怖がったが、ママが最初に飲んで若々しくなったのを見て、我先に飲み干したのだった。
ラオール達3人が美人に囲まれて、酒を飲んでいると声をかけて来た者がいた。
今回の仕事の依頼主だった商人、アリストテリス、タンブリーニ41歳だ。
「ラオールさん達もここでしたか?」
「おっ、アリストテリスさんじゃないですか!!」
「おつかれさまでした。
私は今回は命を諦めましたよ。
ほんと。山賊の数が30名以上など人生初めてでしたよ。
今日は1杯、奢らせてください。皆もご苦労さま。」
他の9名は馬車の主達だ。
今回は馬車10台の護衛だった。その馬車の主達も一緒にいるのだ。
イッキにお店が満室になった。
「ママ、皆にお酒ついで上げてください。ママ達も1杯どうぞ。」
「ありがとうございます。アリストテリスさん。」
「ところでラオールさん、ラオールさんのステイタスカードを見せて頂く事は出来ますか?なんでも仲間との距離が分るのですよね。」
「ああーっ、いいぜ。これが俺のステイタスカードだ。ほら、仲間の所にキャノンとタマールの名前があるだろう。そこに矢印と距離が表示されているだろう。」
アリストテリスが覗き込むと、キャノンとタマールの名前の所に矢印があり、距離が1mと示されていた。
デジタルロムの所には21,000ロムの数字が示されていた。
「はい、凄いですね。私達にもこれがあれば、大変便利です。それにわざわざ、重たい貨幣を運ぶ必要などなくなりますよね。」
「あっ、それは勇者様が言っておられましたよ。なんでも貨幣を運ぶ仕事は、地域の復興には欠かせない仕事だから、確りやるようにと。」
「そうなのですね。それでもステイタスカードは是非欲しいですね。今度、リーガン様にお願いしてみます。」
「それはそうと、ママ、凄い酒が入ったと聞いたのだけど、まだあるかい?」
「それを何処で聞いたのだい?」
「酒の事で、俺の耳に入らない事はないのさ。」
「凄い情報網だね。まだあるよ。」
「飲んでいいかい?」
「高いよ。」
「いくらだい?」
「ボトルキープで5,000ロムだよ。」
「どんな酒なんだい。噂によると、アトランティス大陸で作られたラムと言う酒らしいじゃないか? 」
「ラオールさん。」
「なんです、アリストテリスさん。」
「アトランティス大陸って、あの御伽噺の大陸でしょう。」
「俺も冒険者学校に入る前までは、そう思っていたよ。」
ラオールはステイタスカードに向かってアトランティス大陸と呼びかけた。
すると空中に島が8つある地図が浮かび上がった。
「どうだい、凄いだろう。これがアトランティス大陸だよ。」
「こっ、これがアトランティス大陸ですか?」
「冒険者学校の授業で地理1を獲得した者に与えられる機能なのさ。今、俺は地理2を習っているのさ。この左側にある狐の獣人国の港で作られているらしい酒なんだぜ。」
「ママ、本当なのかい? 」
「アリストテリスさん、私にはこの酒はラム酒と言う酒で、アトランティス大陸から来ているとしか分らないよ。」
「いやいや、商人としては凄い話ですよ。」
その時だった。5人の猟師が店ロマ砦に入って来た。
「おじゃまするよ。」
「すみません、今日は満席でございます。」
下働きの男、タイシン、ナイジェル24歳が丁寧に断りを入れた。
「何、満席だと。おっ、そこの商人さんよ、俺達に席を譲ってくれよ。」
猟師の男、アイク、タイタス32歳が商人タールマン、コント38歳を軽々と摘み上げ外へ投げ飛ばした。
これをタイシン、ナイジェルが受け止めた。
「乱暴を働くなら衛兵を呼びますよ。」
「いやいや、俺達は5人ほど、席を開けてもらおうとしているだけだぜぇ。
うははははーっ。次はどいつだ。
おっ、可愛い子ちゃん、こっちにきな。」
アイク、タイタスはお店の店員、マドルーヌ、サアデイア18歳を強引に捉まえて、引き寄せた。
「ママ、こいつらは常連かい?」
「違うわよ、こいつらは近頃、急に羽振がよくなったロベリラ村の猟師達だよ。
金はあるらしいけど、飲み方が汚いので、皆嫌いなんだよ。
しかし、こいつら強いんだよ。
だから泣き寝入りしているのさ。」
「あっ、俺の可愛いマドルーヌちゃんを、よくも。」
キャノンがすっと立ち上がって、剣を抜いた。
「あっ、抜きやがったな。」
「おい、キャノン。いつからお前の可愛いマドルーヌちゃんになったのだ。」
「ラオール、いいじゃないか。俺が勝手に思っているだけだものよ。」
「ラオールさん。」
「なんだいママ。」
「あいつは本当に強いんだよ。この前も内の若いニノ、ハウラー26歳がやられたばかりなんだよ。」
「ママ、心配いらねーよ。キャノンは酒には弱いが、ケンカにゃ強いからよ。それにちょっと試してみたいのさ。」
「何を、試すのさ?」
「まあ、ママも見て居ろよ。」
キャノン、キースは剣を抜いて、アイク、タイタスに相対した。
アイクも自信たっぷりに剣を抜いた。
「そこの猟師、アイクとか言ったな。おれの可愛いマドルーヌちゃんを、よくも苛めたな。」
「何が、苛めただ。ほれこんな事をして喜ばせてあげているのさ。パフパフパフ。」
「おおーーっ、マドルーヌちゃんをパフパフしやがったな!!!!
俺でもまだなのに。
よし、それじゃ、そのマドルーヌちゃんをパフパフした手を頂くぜ。」
「やれるものなら、やってみな。」
キャノン、キースは剣を振り下ろした。アイク、タイタスは片手でキャノンの剣を払い退けた。
しかしキャノンの剣はすーっと下まで振り下ろされたのだった。
見た目の動きより早かった。
しっかり見てた者には分かったはずだ。
じっさい速くて剣の太刀筋が見えなかったのだ。
アイク、タイタスの剣を持った手が薄皮1枚で切られ、血が滴り落ち出した。
アイク、タイタスの仲間4人は一斉に剣を抜いた。
仲間の名前はタージ、ナイサー32歳。
ナル、ニッケル30歳。
ハイツ、ソーク28歳。
コーン、アップ26歳だ。
「止めな、お前らじゃ勝てない。」
アイクはヒールポーションをぐびぐびと飲んだ。
傷口が白く光り出し、出血が止まった。
「おっ、ヒールポーションじゃないか?お前も使っているのか?」
「まあな、俺達は、これのお陰で強くなれたのさ。」
「それじゃ、お客様ではないですか?」
「お客様?」
「俺達は冒険者ギルドの者なのさ。このポーションの販売利益で生活している者だよ。」「えっ、馬車の護衛じゃないのか?」
「まあ、馬車の護衛も仕事だが、本来の仕事はポーション作りだよ。まだ、作れないけどね。」
「えっ、作れないのか?」
「まあ、卒業する時までには、出来るようになっているぜ。」
「そうか、しかしお前は強いな。」
「まあ、お前らも、気が向いたら冒険者ギルドに登録に来な。今ならお前らが、びっくりするような強い者がいるぜ。まあ、俺らの教官だがな。」
「今夜は帰るわ。じゃましたな。」
「ああ、またな。」
「ラオールさん、ありがとう。」
店のママ、カミラ、サアデイア33歳がお礼を言った。
マドルーヌ、サアデイアはママの1人娘なのだ。
「いや、ママ、助けたのはキャノンだよ。」
「キャノンさんもありがとう。」
「次いでかよ。まあ、いいか。」
その時、マドルーヌがキャノンの横に来て、お酌をした。
「あの、キャノンさんて強いのですね。ぽっ♡」
キャノン、キースはここ2ヶ月ぐらいの冒険者学校での事を思い返していた。
最初、自分達3人でこの学校を占める事を考えた。
しかし実際、教官達が強すぎて、諦めた。
そんな時、今までいう事を聞いていたアナリーゼ、ニストロムが自分達に反抗しだした。
それでアナリーゼを〆ることにした。
ある時、校舎の横で捉まえて、訓練所に連れてきた。
「今日はたっぷり可愛がってやるからな。」
ラオール達は剣を抜いた。
アナリーゼは震えながら剣を抜いた。
しかし抜いた瞬間に震えは止まり、しっかりと剣をラオールに向けた。
ラオールはえっと思った。
しかしそのまま剣をアナリーゼに振り下ろした。
アナリーゼはラオールの剣をそのまますりあげて、ラオールの小手を斬った。
まだ、この時は10階層をクリアする前だったので、普通の鉄剣だった為、革の小手を切り裂き少し皮膚を切り裂いただけだった。
そのままキャノンの咽喉下へ剣をつけた。キャノン、キースは剣を捨てた。
この事があった後から、ラオール達はアナリーゼを見張るようになった。
ラオール達が一流なのは、頭が良いからだ。
特にラオールは天才的な頭の良さがあった。
それで必然的にアナリーゼを見張るようになった。
ストーカーとも言う。
3人でたえず見張り続けた。
分かった事はアナリーゼは時間があればユリア教官の側にいる事。
ふっとした時、上半身裸になりユリア教官から斬られていた事。
それでもじっとアナリーゼは剣を構えて立っていた事だった。
しかしだ。ユリア教官の剣の授業で模擬試験の結果は、いつも上位につけていた事だ。
自分達も経験していただけに驚きとともにこれだと思った。
それで自分達もユリア教官に弟子にしてくれるように頼みに行った。
「ユリア様、自分達をユリア様の弟子にしてください。」
「ラオールでしたね。
弟子は既にアナリーゼを弟子としているので出来ません。
しかし貴方達は私の生徒です。特別に剣の稽古をつけてあげましょう。」
「本当ですか?」
「3人まとめて剣を抜いて、私に斬りかかって来なさい。」
ラオール達は剣を抜いた。ユリア教官も剣を抜いた。
その瞬間にラオール達は風の刃で切られていた。
風がすっ、すっ、すっと通り過ぎたのは感じた。
その後には、革鎧が斬られて血が滲みだした。そして恐怖に襲われた。
ブルブル震えていたのだ。
「まだ私に教えを請いたい時は、いつでもお出でなさい。」
ラオール達は1週間は恐怖から教えを請わなかった。
しかしラオールは1週間後に、1人こっそりと教えを請いにユリア姫を尋ねた。
「剣の稽古をお願いします。」
「いいでしょう。上半身裸になりなさい。そして剣を構えて、私を斬りなさい。」
この時、ユリア姫はナイフを構えた。
自分の剣の三分の一の長さだ。ラオールは流石に勝てると思った。
その瞬間にすっすっすっと斬られた。
何故斬られたのかも分からなかった。
上半身の皮膚から血が幾筋も流れ出したのだ。そしてまた恐怖に襲われた。
恐怖が後から襲ってくるのだ。
1週間が経ち、恐怖が納まると、またユリア教官の元へ出かける自分がいた。
何故かははっきりしていた。強くなっているからだ。
自分が強くなっている事が確実に実感出来ていたのだ。
そしてある時、ラオールはキャノンが斬られている場面を見た。
またある時、タマールまで斬られていたのだ。
ラオールは笑っていた。そして見なかった事にしたのだ。
そして今回の護衛任務の出立の日、ユリア教官から呼び出しを受けた。
初めての事だった。
「ラオール、ムーサ。」
「はい、ユリア姫様。」
「この剣を授けます。」
「はっ、ありがたき幸せです。」
「キャノン、キース。」
「はい、ユリア姫様。」
「この剣を授けます。」
「はい、ありがとうございます。」
「タマール、ナバーロ。」
「はい、ユリア姫様。」
「この剣を授けます。」
「あの姫様、この剣はドルモアの剣でしょうか?一度見た事があるのですが、この光ぐあいがあの剣と同じです。」
「よく分かりましたね。これは私が特別にドルモアにお願いして打ってもらった剣です。」
「あの、何故こんな事までしてくださるのでしょうか?」
「それは今回の仕事が神ムーン シルバーさまからの仕事だからです。
故に何があっても、あなた達は逃げてはなりません。
それを心に留めておきなさい。
もし、逃げたなら私があなた達を斬りに来ます。私は本気ですよ。」
キャノン、キースは山賊に切り込んだ時の事を思い出していた。
山賊達は見る事も出来ずに、剣ごと斬られて死んで行ったのだ。
先ほども、腕でなく剣を斬ったつもりだったのだが、酒が入っていて剣に当たらなかったのだった。
こうしてラオール達の任務は無事達成したのだった。
この後、商人組合からのシステムカードとデジタルロムの申し入れが、リーガンを通して成された。
ゴールドはこれを受け入れた。
そしてデジタルロムに換えたロムの銀貨や金貨は一旦、カンケイくんの横に設置したテンソウくんを通してアンリ王子の元へ集め、それをアデル王を通して、復興資金にまわしたのだった。
お金が2倍の速度と量でローム王国を回りだした。
物価は上昇したが、国民の未来は素晴らしいものに見えた。
働けば、使ったお金より多く入ってくるのだ。
森を切り開き、畑を拡張して生産は向上して行った。
人口も増え始め、新たな村が開拓されていったのだ。
あるロマ砦の冒険者ギルド支部での事。
「カミラさん、いらっしゃい。今日はどんな御用でしょうか?」
「いつものお酒の注文に来ました。」
「ではこのカイケイくんにカミラさんのステイタスカードをかざしてください。はい、確認取れました。テンソウくんの番号を押してください。」
カミラは5番の番号をポチリッと押した。
「はい、ご利用ありがとうございました。あっ、そうそう、前回注文のお酒が入荷していますよ。引き取りなさいますか?」
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今回届いたのはウイスキーだった。今、お店で1番の人気商品なのだ。




