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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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ドルモアの剣と矢

 次はドルモア、ランディが作った鉄剣だった。ドルモアの鉄剣はカスパーが試し切りで鉄剣を両断した事もあり皆が欲しがった。

 また冒険者達はある実話から、全員が欲しがったのだ。


 それはアナリーゼのチームが9階層のリトルダイナソーと戦った時の事だった。

 ちなみにアナリーゼ達のパーティー名はザ ナイツ オブ プリンセス ユリアだ。


 アナリーゼ達もリトルダイナソーと戦って、自分達の鉄剣ではダメージを与える事は出来ないと判断して撤退を決めた時だ。

 シンフォニーがゴールドから貰った異空間収納袋から剣を4本取り出した。


 1本は斬鉄剣改で後の3本はドルモアの鉄剣だった。

 シンフォニーの言葉は師匠の言葉だ。

 アナリーゼは剣を受け取ってリトルダイナソーと戦った。


 斬鉄剣改は少し女性が持つのには重かったので、男性のメンバーに渡した。

 名前はヘイズ、レイバーン20歳、レベル18、剣術Lv3だ。


 鉄剣は女性3人が持つ事にした。

 この4人は盾を持っていない。

 2階層まではヘイズがタワーシールドを持っていた。

 しかしポイズンスライムと戦った時、ヘイズが盾で一旦、押さえたのだが、隙間から逃げられ、ヘイズは毒に侵された。


 ポイズンスライムは次アナリーゼに向かって飛び掛った。

 その瞬間にボイズンスライムは空中に浮いてくるくる回っていたのだった。

 この時、アナリーゼは理解した。

 勇者様とユリア師匠の子供なのだと。

 3歳の幼女に見えるが、それでも自分達とは違う者なのだ。


 シンフォニーはヘイズに状態異常回復ポーションを渡した。

 ヘイズはくるくる空中で回っているポイズンスライムを見ながら、状態異常回復ポーションを飲み干した。

 これ以後、大盾は持っていない。

 毒持ちはシンフォニーが空中に浮かせてくるくる回したのだ。




 4人でリトルダイナソーと再び戦った。

 自分達の剣では傷を付けられなかったリトルダイナソーの硬い皮膚に、ドルモアの鉄剣はすっと皮膚を切り裂き、肉まで切った。


 ヘイズが持つ剣はリトルダイナソーの腕を骨まで切り飛ばした。

 アナリーゼ達はリトルダイナソーを3匹倒して、9階層で1泊して、翌日10階層のカメレオン、ダイナソーに挑んだ。




 シンフォニーはヘイズにタワーシールドを異空間収納袋から取り出し持つように言った。

 そして全員に状態異常回復ポーションを飲むように渡した。

 ヘイズが先頭に立ち、タワーシールドを構えて森に進んだ。


 直ぐ、鞭のような舌が飛んで来て、ヘイズを吹き飛ばした。

 シンフォニーはヘイズの元に妖精の羽を出して飛んで行き、ハイポーションを降り掛けた。


 ヘイズは「えーーっ」と声を上げた。

 アナリーゼ達はヘイズが吹き飛ばされた直後に、剣をカメレオンダイナソーの舌に振るった。

 鞭のような舌が3ヶ所切られて、地面に落ちた。

 カメレオンダイナソーは滑空してきた。

 そして強力な鉤爪を振るって来た。

 その鉤爪をアナリーゼの剣が切った。

 アミーネとサルタナの剣もカメレオンダイナソーを切り裂いた。

「クロロロロロッ」と断末摩の声を上げ倒れて行った。


 アミーネはアミーネ、タンブレロ22歳、レベル22、剣術Lv3、

 サルタナはサルタナ、ネステロフ22歳、レベル22、剣術Lv3だ。


 2人はいつも一緒に仕事をしている傭兵だ。息がぴったり合っている所が強みなのだ。

 この成果で5人はシンフォニーが異空間収納袋にカメレオンダイナソーを入れて持ち帰ったので50本分の隠密上昇ポーションの代金の10分の1の金額、大銀貨5枚、25,000ロムを手に入れた。


 特に高く買い取って貰ったのはキラーイタチ12匹だ。

 キラーイタチは10匹以上からしか買取していない。

 これはゴールドが闇のオークションにおいて、キラーイタチの毛皮でマントを作って出品した結果、10万ロムの値段で売れたからだ。現代価値300万円だ。


 買取価格は1万ロムだった。

 またその他、色々なポーションの材料を持ち帰り、合計で5万ロムを手に入れたのだった。


 1人1万ロム、現代価値で30万円だ。10日で30万円を稼いだのだった。

 これに他の冒険者が刺激された。8階層のウルフ、9階層のリトルダイナソー、そして10階層のボス、カメレオンダイナソーと戦う為には、ドルモアの剣が必要だと新たに認識したのだった。


 それにドルモアの鉄剣は人族の鉄剣と値段が一緒の5,000ロム、現代価値で15万円と同じなのだ。

 しかし順番を待つしか買う事が出来ない。

 それにこの剣は冒険者ギルドの武器販売店でしか売っていない。

 買うにはデジタルロムが必要だった。


 この話を知った兵士達は誰もがドルモアの剣を欲しがった。

 しかしこれはゴールドが認めなかった。生産数が追いついていない為だ。

 ドルモアの手作業なのだ。




 ドルモアの剣の騒動の次は商人組合からのシステムカードとデジタルロムの申し入れだった。

 こちらはリーガン、ロベリアを通しての依頼だった。

 発端は商人組合から物資の運搬の護衛の依頼だった。

 ゴールドがラオール達3人に振った護衛依頼だ。


 依頼内容は簡単だ。物資をロマ砦まで運ぶ馬車の護衛だ。

 報酬は前金で金貨1枚、成功したら金貨1枚、往復20日で金貨2枚、2万ロム、現代価値で60万円だ。


 条件はレベル20以上のベテランの傭兵だ。

 ラオール達も遊ぶ金、飲み代が欲しくて引き受けた。

 最初の顔合わせで、他の傭兵達は顔をしかめた。

 他の傭兵達は男性6名、女性が4名でレベル10台の若手の傭兵達だった。


 こんな時は当然高位の傭兵が指揮を取る。そして皆知っているのだ。

 ラオール達のパワハラ、セクハラをだ。

 しかしそれで皆、辞めるとは言わない。生活が掛かっているのだ。

 それにラオール達のパワハラ、セクハラさえ乗り切れば、彼らほど心強い、傭兵もいないのだ。

 ラオール達はこれまで、幾多の魔物や山賊達と戦って、生き残っているから最高位の傭兵なのだ。


 女性達は防具で確り身を包み、隙を見せないようにした。

 男性は少し距離を置いて話を聞いた。

 ラオール達は自分達を入れて13人を3つのチームに分けた。4人、4人、5人のチームだ。


 5人のチームが馬車10台を守り、4人、4人のチームで前後を確認した。

 今回、この馬車で一番狙われるのが、銅貨、銀貨、金貨を積んだ馬車だ。

 これはロマ砦の兵士の給料だ。重たいのでスピードが出ない。


 山賊もよく知ったもので、前後に陽動をかけて、この馬車を襲う。

 次が食料を積んだ馬車達だ。ヒドラやグリーンフロッガーに狙われ易い。

 しかしラオール達には、今回2つの新兵器があった。


 一つはステイタスカードだ。

 これはパーティー登録するとメンバーの位置が方向と距離で示される。

 つまり誰かの距離が動かなくなれば、それが何か問題が起きたと瞬時に分るのだ。

 この事は、戦いに於いては、決定的に近い効果を持つ。


 また敵を挟んだ場合、敵と見方の距離が分るので、攻撃を有効に出来た。


 もう一つはアリス教官から渡された弓矢だ。

 新人冒険者には普通に弓矢の訓練をレベルに合わせて教えて行った。

 しかしベテラン傭兵達には全く違った訓練を課した。


 30mの距離に立てた柱の周りをただひたすら走らさせた。

 疲れて来ると、弓矢で柱を狙って射させた。走りながらである。

 これが終わると、今度は馬に乗って柱の周りを回りながら、弓矢を射させた。

 これを毎日、毎日やらされたのである。

 しかし誰も、文句一つ言わずに訓練を受けた。

 アリスから1年後にはあの神業のような弓矢が撃てると言われているからだ。


 ラオール達のチーム名はフェアリー、アーチャー妖精の弓士だ。

 そして矢筒をアリスから出発前にもらった。


 アリス教官曰く、「この矢ならヒドラにも突き刺さるだろう。」

 普通の矢ならビドラの硬い皮膚は貫けない。

 しかしアリス教官が言われるのである。ラオール達は信じている。




 この二つの新兵器があれば、先ずやられる事はないと思っていた。

 そして最初に問題が起きたのは、ロベリハ村とロベリカ村の途中で山賊に襲われた事だった。

 山賊と言っても、奴らは舟に乗って襲って来たのだ。

 根城はロベリハ湖の北にあるらしく、そこから舟に乗って、1隊はロベリハ村の東を流れる川へ、もう1隊はロベリカ村を流れる川に舟で来て、待ち構えていた。


 先ず最初に馬車の後方が襲われた。

 後を護衛していたキャノン、キースの動きが止まったのだ。

 これに気付いたラオールとタマールは、行動をすぐさま開始した。


 ラオールは真中の馬車をすぐさま止めて、山賊の襲撃に備えさせ、自分1人、馬でキャノン達の中心からぐるっと遠くを駆けて敵の後方に出た。


 ステイタスカードが位置を示していたので、迷うことなく出来、キャノン達が無傷の状態で対処出来た。

 敵は7人だ。敵の後ろから1人を倒した。

 そして大声を上げた。

「おおーーっ、うららららーーっ。」


 敵は動揺した。戦うべきか、逃げるべきか迷った。

 そこへキャノン、キースが切り込んで行った。

 それと同時にラオールも切り込み、敵を殲滅した。

 この間、10分も立っていない。



 この頃、先頭でも戦いが始まった。

 しかし防御陣を敷いていた所に、敵が奇襲攻撃だと思って突っ込んで来たので、弓で5人を倒した。

 残り5人になり、敵は逃げ出した。

 その逃げる後から弓で3人を倒し、残り2人はタマールが馬で追いかけ倒した。



 この後、10分ぐらいしてから真中の攻撃が始まった。

 敵の数は15人。

 ラオールは後方に1人、前方に1人を残して真中に残りを集めた。

 そしてラオールとタマールは馬で敵の後方へ回った。

 山賊は全員合わせると32人の山賊一味だった。

 こんな大きな山賊団など、ラオール達でさえ、見た事もなかった。


 今回でなければ、ラオール達の命もなかっただろう。

 今までは、山賊は10人前後の一味だった。

 だから商人組合も10人以上の傭兵を雇って、対処していたのだ。

 山賊もバカではない。自分達より傭兵の数が多ければ、手は出さないものなのだ。


 先ず、馬車に隠れて弓矢を射出した。

 山賊は窪地に隠れて弓矢を射た。

 両方、隠れながらの弓矢の撃ちあいが続いた。

 両方、無傷のまま5分ぐらい撃ち合い続けた。

 そこへ敵の後方へ回ったラオールとタマールが、馬に乗ったまま、弓矢で攻撃を仕掛けた。


 敵の背中側はがら空きだ。1人を直ぐ倒した。

 敵側は両方から隠れられる場所などない。

 敵は馬上の2人を狙い出した。

 しかし全力で走っている馬を狙って弓矢を当てるなど、弓術レベル4から5ないと無理な話だ。

 その無防備になった所を馬車からキャノン達に狙われて、1人、また1人と倒されて行った。

 残り5人になった所で山賊は逃げ出した。


 ラオールとタマールは馬で追って、逃げる5名を倒した。




 第2の敵との遭遇はロベリン村とロベリヤ村を間を流れる川、ロベリン北湖からすーーっと泳いでやって来た。3首ヒドラだ。

 3首ヒドラは体長4mもある。その上に首が3つ付いている。

 3首ヒドラのファイアボールは直撃すれば鉄の盾でも融かしてしまう。


 今までのライオス達なら食料の馬車を置いて逃げの一手だった。

 遠距離攻撃の弓矢が硬い皮膚に阻まれて効果がないのだ。

 中距離から槍を投げて当たれば、倒す事は出来るが、相手も動いているのだ。

 それで負傷覚悟で、盾を構えて牽制して、ビドラの動きを止め、槍を投げるしかない。


 しかしラオール達は、そんな事はしない。命あっての傭兵なのだ。

 しかし今回は違った。ヒドラのファイアボールは攻撃距離は50mだ。

 この距離でヒドラを左右に挟んで、アリス教官からもらった矢を射た。

 ラオールの矢が1首に深々と刺さって1首目を倒した。


 ヒドラはラオールが危険と感じたのか、ラオール目がけてファイアボールを撃って来た。

 しかしファイアボールはラオールの手前10mで掻き消えた。

 こんどはタマールが矢を射た。今度も1首を倒した。

 それとほぼ同時にキャノンの矢が残りの1首を倒したのだ。

 キャラバンの全員が大喜びだ。それを横にラオール達はビドラの肉を切り出して蒲焼を始めた。


 アリス教官達に聞いていたのだ。「ヒドラの蒲焼はとっても美味しい」と。

「是非、捕ったなら食べてみなさい。」

 それでこのまま1泊する事になった。


「ラオールさん。」

「何だ。」

「あの私達にも食べさせてもらえますか?凄くいい匂いがするのです。」

「ああ、いいぞ。そのタレをつけて焼くのだぞ。」

「はい、ありがとうございます。」

 商人達も集まって、ヒドラの蒲焼を食べたのだった。

 この商人の中に、後にヒドラの蒲焼店を出そうとした者がいた。

 ただ美味しい物を食べるだけではない。それを商売にしようとしたのだ。

 しかしヒドラを手に入れるのは無理だと気付いた。

 ヒドラは美味しいけど、命をかけてまで狩ろうとはしなかったのだ。


 それでこの商人はイールに目をつけた。イールの泥くさささえ取れれば、ヒドラの蒲焼に負けないくらいの味が出せると思ったのだ。イールを背中から2つに開いて、素焼きをして、タレにつけながら焼いて行った。

 これが功を奏して美味しいイールの蒲焼が出来上がった。さっそくロベリア領都で販売してみた。1本10ロム、現代価値で300円だ。結構高い。

 それでも飛ぶように売れたのだった。




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