闇のオークション
他に1日で錬金術Mp10に覚醒したのはシンフォニーだった。
今回、シンフォニーもゴールドの仕事を手伝うと言ってくれたのだ。
ゴールドは嬉しかった。
ユリも手伝うと言ってくれて錬金術の訓練を受けた。
ユリが錬金術Mp10に覚醒したのは、1ヵ月後だった。
アデリナ姫は3ヶ月後に覚醒し、ライオスは2ヵ月後に覚醒した。
ゴールドがいない時はアリスが教えた。
半年後には全員、レベル6までの錬金術を覚えたのだった。
この頃になるとポーションは作れば全て売れた。
錬金術に覚醒した者は、ポーション作りの毎日になった。
ポーションの材料はロベリア領の兵士達により供給され、順調なスタートになっていた。
そんな中、ゴールドは時々、ローム王都で開かれる闇のオークションにMp70以上の神のポーションを出品していた。
この闇のオークションはローム王国の何処かの領地の領主が復興資金作りに始めたらしい。
始めは、普通の品物を扱っていたが、表では扱われない商品も持ち込まれるようになった。
そこで領主は、夜こっそりと開催するようにした。
これにより、会員が急増したから益々止められなくなった。
これにより復興も順調に進められたので現在も続いているのだ。
最初に出品したのはハイポーションだった。
欠損した体を治す薬だと言う事で出品したのだが、主催者側が信用しなかった。
ゴールドは条件を付けた。
もし、欠損が治らなかった場合、お金は受け取らないとしたのだ。
自分と主催者、立会いの下、薬を使って治った場合のみ、落札の金額をもらう事とした。
オークションは開催1週間前から会員に、今回の出品の案内と説明がなされる。
遺跡から発見された指輪。
王室の宝物庫から流された短剣。
伯爵家の宝石。
珍しい匂いの香木。
レッドアンドブラックシースネイクの肝。
公爵家が所有していた風景画。
欠損を治す神の薬。などなどだ。
オークションの参加者は会員制になっていて、年会費金貨1枚、1万ロム、現代の価値で30万円を払って会員になり、オークションに参加する仕組みだ。
一般からの参加者はいない。
会員の条件は家持ちである事。
年会費を払う事。この二つだけだ。
オークション参加者は前日に出品される品物を見る事が出来る。
オークションは基本、品物と交換で金額を支払うので、掛け倒しがない。
1回のオークションの入場料は1,000ロム、現代の価値で3万円を払って参加する。
この年会費と参加費でオークションは運営されている。
売買の手数料は取っていない。
どんな高額商品でも出品者は全額貰える仕組みだ。
この制度の為、この闇のオークションは出品者に人気なのだ。
オークション当日になった。
ゴールドもここの会員だ。
会員証である木札を見せて会場となっている商会の地下へ入って行った。
横には美女が一緒だ。
会員はオークションに1人だけ、同伴させる事が出来た。
マスクで顔を隠している者もいる。ゴールドとユリア姫もマスクをしている。
ルナ、モスラのマスクだ。
最初のオークションは遺跡から発見された指輪だ。
最低価格は1,000ロムだ。現代の価値で3万円だ。
オークションの戦い方は最低価格より始まる。
指輪の場合、最低価格が1,000ロムなので1,000ロムからスタートする。
次の人は1,200ロムと言ってはいけない。
2,000ロム以上の金額を提示するのだ。
金額が1万以上になったら、2万、3万と提示し、10万以上になったら20万、30万と提示する。
100万以上の戦いは200万、300万と戦って行くやり方だ。
指輪は1万ロムで落札された。
次のオークショクは王室の宝物庫から流された短剣だ。
装飾に凝った品物だ。
最低価格は1万ロムで、落札価格は5万ロムだった。
最後の品はハイポーションだ。
最低価格はゴールドの希望で1万ロムだ。現代の価値で30万円だ。
ゴールドは欠損を治す薬だが、30万円も出して落札してくれるのだろうかと思っていた。
オークションが始まった。
直ぐ1万ロムの手が上がった。ゴールドはほっとした。
次の瞬間には2万ロムの声が聞えた。
3万、4万、5万と声がかかり次の声は10万ロムだった。現代価値で300万円だ。
こんな高額な値段で売れるの?と驚いた。
しかし、掛け声は止まらない。
20万、30万、40万、50万、ここからは2人の戦いになった。
70万、100万と声がかかった。現代価値で3,000万円だ。
次は200万、そして300万で落札されたのだ。現代価値で9,000万円だ。
ゴールドのアイテムボックスの中には100本近くのハイポーションが入っている。
それに同じ効果のパーフェクトヒールなら無限に使えるのだ。
ゴールドはオークションの支配人と一緒に落札した会員の邸にやってきた。
そこには片腕がない男性がいた。
会員は支配人からハイポーションを受け取って、ゴールドに尋ねた。
「どのように使えばいいのですか?」
言葉使いが貴族なのに丁寧だ。
「このような場合、欠損している腕に降り掛けるだけでも効果はありますが、飲んだ方がより効くでしょう。」
会員はハイポーションを片腕が無い男性に渡した。
男性はハイポーションを飲み干した。
男性は白い光に包まれた。1分ぐらいすると、男性の腕は復活していた。
「兄上!!」
「ハインツよ、ありがとう。」
ゴールドは支配人からお金を受け取って、この日は帰ったのだった。
ゴールドは1ヶ月に1回の割合でMp70以上のポーションをオークションに出品した。
2回目に出品したのは、狂精力増強ポーションだ。
効能は髪が生え精力が1ヶ月続く。
いつでも、どこでもやろうと思えばいつまでもやり続けられる。
副作用があり1ヶ月を過ぎると不能になり、不能は1年間つづく。
前回これを使用した人は髪が生え、子供が出来た。
もし髪が生えなく、子供が出来なかったら、代金はお返ししますと但し書きに書いた。
これを見た支配人がゴールドに言った。
「その薬、私に売って貰えませんか?」
「えっ、貴方は髪がふさふさではありませんか。」
「いえ、私が使うのではありません。私の主人の為に欲しいのです。」
「貴方の主人は髪が少ないのですか?」
「売ってくれると言って貰えれば、お話いたします。」
「いいでしょう、このオークションにはお世話になっています。貴方にお売りいたします。」
「ありがとうございます。
先ずは値段の交渉ですね。100万ロムで如何でしょうか?」
「100万ロムも払われるのですか。」現代価値で3,000万円だ。
「私の見込みですが、オークションに掛ければ、1,000万ロムでもいけるのではないかと思います。」
「1,000万ロム?」現代価値で3億円だ。
「はい、子供の欲しい貴族は多いと思います。上級貴族なら5,000万ロムでも出すでしょう。」
「分りました。この狂精力増強ポーションは貴方に100万ロムでお譲りいたします。」
「おおーっ、ありがとうございます。では、早速100万ロム、お支払いいたします。」
「いえ、お金は使用された結果を見られてからでいいですよ。」
「いえ、貴方の薬は、前回の事で信用いたしております。では100万ロムです。」
支配人はのべ金貨1枚を差し出した。
ゴールドが3回目に出品したのは美肌ポーションとリンス、トリートメントポーションの2本だ。
2本まとめてのオークションとした。
この薬を同時に飲めば、肌のしみを全て取り、もちもち、つやつや、痛んだ髪もしっとり落ち着いて健康な肌、髪を取り戻すと説明した。
この時のオークションは凄まじかった。何十人もの女性が激しく戦った。
そして最後に勝利したのは、大貴族の奥様で、落札価格は200万ロム、現代価値で6,000万円だった。
ゴールドが4ヶ月後、4回目の出品に考えたのはウインドフライのポーションだ。
説明文も1時間、自由に空が飛べると誰もが信じられないような事を書いた。
しかし、この時、問題が起きた。
オークション出品の中にエルフの奴隷がいたのだ。
1週間前の案内パンフレットに、そう書かれていた。
最低価格は100万ロム、現代価値で3,000万円だ。
このパンフレットを見たアリスが言った。
「私が今回行くわ、いいでしょう、ユリア。」
「いいわよ、いってらっしゃい。」
「ありがとう。」
前日、オークションに出品される品をアリスと見に行く事にした。
この時、ゴールドが出品したのはエリクサーだ。
確実にエルフの奴隷より高い物を考えた。後々の事を考えてそうした。
エルフの奴隷は少女だった。
素っ裸で奴隷の首輪を付けられ、よく見えるように檻に手枷、足かせを付けられ固定されていた。
ゴールドには10歳ぐらいの少女に見えた。
アリスの見立てでは100歳ぐらいとの事だ。
しかし知らない娘だそうだ。
「ゴールド、助けましょう。今、私が檻を斬るわ。ゴールドは手枷、足枷、奴隷の首輪を外してね。」
「いや、アリス、ちょっと待て。ここで問題を起こすのはちょっと不味い。ここはオークションで、あの娘を競り落とすんだ。」
「何故、そんな事をするのよ!!!」
「ここであの娘を奪い返しても、第2、第3のエルフの奴隷が連れて来られるだろう。あの娘を出品した者の身元を突き止めて、そこをたたいて、2度目がないように、その組織を壊滅させるんだよ。」
「絶対助けてよね。」
「おうっ、任せなさい。」
オークション、当日になった。
ゴールドとユリアは、いつもの仮面を被ってオークションに出かけた。
アリスは隠密上昇ポーションと透明化のポーションを飲んで、2人の後をついて行った。
隠密上昇ポーションの効果時間は30分。
効果が切れる前に次を飲んで、じっとオークションが終わるのを待った。
エルフの少女は最低価格の100万ロムでゴールドが落札した。
何故なら、戦う相手がいなかったからだ。
会員の全てが、最後の出品エリクサーに戦いを集中したためだった。
ゴールドの狙い通りになったのだ。
エリクサーの最低価格は1,000万ロムだ。現代価値で3億円からのスタートだ。
直ぐ1,000万ロムの声が上がった。
2,000万、3,000万、4,000万と跳ね上がった。ここで声が途切れた。
少しして5,000万の声がした。現代価値で15億円だ。
愛する者が死に掛けている者、もしくは既に死んだ者にとって、エリクサーはお金に代えられない物だったのだ。
オークションが終わり、ゴールドとユリアは、エルフの娘を引き取りに来た。
支配人に100万ロムを渡して、エルフの娘を引き取った。
奴隷の首輪も一緒についてきた。
ゴールドは奴隷の首輪を喜んだ。
ゴールドとユリアは奴隷の少女を連れて外へ出た。
アリスは部屋の中で、売り手が来るのを待っていた。
商人風の男が来て、支配人から金を受け取り、部屋を出て行った。
男はローム川の畔にあるオルチ商会に入って行った。
ゴールドはオルチの名前を知っている。
海賊赤ひげの名前がオルチ、バルバロスだった。
ここまで分って、アリスは、その男を攫って来た。
麻痺ポーションで麻痺させて、ロームにある自分達の隠れ家に連れてきた。
ここは、貴族の邸が立ち並ぶ1画にある小さい館だ。
それでも敷地は50m四方はあった。その中に2階建ての邸がある。
ローム王、アデルがアンリ王子の為に用意した邸だ。
ゴールドは男を椅子に座らせて、縛りつけ、両手を机の上に固定した。
そして状態異常回復ポーションを男に降り掛けた。
「名前を教えてもらおうか?」
ゴールドは仮面を付けている。男は黙ったままだ。
ゴールドはアイテムボックスから10本、男に見えるように小さなナイフを取り出し机の上に置いた。
ゴールドは1本のナイフを掴むと、男の親指の爪に中にナイフを差し込んだ。
男が「ギャーーーッ」と声をあげた。
「名前は何と言う?」
男はそっぽを向いた。
ゴールドは指に刺したナイフを左右に動かした。
「あああーーっ、」と声を立てた。
「名前は何だ!!!」
男は横を向いたままだ。
ゴールドは2本目のナイフを人差し指の爪の中に差し込んだ。
「ぐふっ、」と声を出した。
男はゴールドを見た。
「よしよし、いい目をしているな。」
ゴールドは3本目のナイフを掴んだ。
「待ってくれ。俺の名前はフランシスだ。フランシス、ドレーク。」
ゴールドは、そのままナイフを中指の爪の中に差し込んだ。
「うっわぁーー。」
フランシスは声を上げた。そして涙目でゴールドを見た。
「本当の事を話すんだぞ!!」
「本当だ、俺の名前はフランシス、ドレークだ。」
ゴールドは4本目のナイフを掴んだ。その瞬間にフランシスは失禁した。
「何でも言う、もう止めてくれ。」
「お前の主人の名前を言え。」
フランシスは少し言葉に詰まったが、しゃべりだした。
「オルチ、バルバロス船長だった。しかし、1年半前ぐらいに殺された。今はウィリアム、キッド船長が俺の主人だ。」
「ウィリアム、キッドは今、何処にいる?」
「エスニアからここへ航海中だ。」
「どのくらいで戻って来る?」
「1ヶ月後ぐらいだ。」
「では、もう1つの質問だ。あのエルフの奴隷は何処から攫って来た。」
「アメニアとナトニアの間の魔の森の海際の海岸にいたと聞いている。」
「他にもエルフの奴隷はいるのか?」
「ここにはいない。」
「他の従業員もウィリアム、キッドの仲間か?」
「いや、違う。あいつらは、ロームで雇った者達だ。」
ここまで聞いて、ゴールドはある実験をした。
奴隷の首輪は、リモコンによってテレパシーを発生させ、相手を麻痺させたり、毒で苦しめたりして従わせる物だ。
これをヒントにして、ゴールドは炎魔法とティム魔法による魔法陣を考えだした。
ゴールドはこの魔法陣を契約魔法と呼んだ。
ゴールドはフランシスの右腕に、この魔法陣を付与したのだ。




