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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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アーノルド、ロベリアのダンジョンアタック

 4人はゴールドに10階層までクリアした事を告げた。

 ゴールドは嬉しそうに4人の話を聞いた。

 実際、ゴールドは神ムーン シルバー様のお願いを達成出来た事が嬉しかったのだ。

 人族に魔法とポーションを授け、人族の子孫繁栄を促すのだ。

 これで魔法使いのダンジョンアタックは可能だと示された。


 次は魔法使いでない人族のダンジョンアタックは可能なのか?と言う事の確認だ。

 前回ロベリアの兵士達とベラドンナの兵士達による実験では失敗に終わっている。

 状態異常回復ポーションを全員に持たせたら、アタックは可能なのだが、そんなに状態異常回復ポーションの数はないし、1本の値段も銀貨7枚と高い物だ。

 現代の価格で2万1千円だ。

 兵士なら冒険に持ち歩けるが、初心者には無理な相談だ。

 それに有効期限が3ヶ月で、4ヶ月で効能を失くすのだ。


 ゴールドは若き将軍、リーガンの弟にして知将、誠実なアーノルドに相談した。

 アーノルドは前回、ダンジョンにアタックした兵士達からダンジョンでの様子を聞き取っていた。

 アーノルドはゴールドに言った。

「勇者様、私にダンジョンへアタックさせてください。」

「おーっ、アーノルド殿がアタックしてくださるのか?」

「はい、我がロベリアの全軍を挙げて、きっと勇者様のお役に立って見せます。」

「どのような作戦で攻略されますか?」




「今後、冒険者ギルドを作られ初心者にダンジョンアタックさせられると聞きています。初心者で大切な事は魔物1匹に対して複数で戦う事と思います。

 今回は5人1組になって戦う事とします。

 また勇者様の話では、1階層で魔物はおおよそ30匹前後出現するとお聞きしています。それで5人チームを最低でも30組作って、一斉にダンジョンへ送り込みます。

 その後にもう30組を待機させます。

 もし1チームに負傷者が出た場合、ダンジョンから撤退させ、待機させているチームと交代させます。

 またベテランのチームを5チーム用意して待機させて、強敵が現れたら対応させます。私もこのチームに参加します。

 1階層をクリアしたら輜重部隊を出動させて2階層へ食料と武器を運びます。

 リポップ期間が7日ですので、この時まではこの隊列で進んで、1階層のリポップに合わせて半分のチームを1階層の攻略に戻します。

 一回攻略しているので、実力の低い者達を1階層の攻略に戻し、そこからまた2階層へ軍を進めて行きます。

 この方法で10階層まで攻略するつもりです。

 勇者様、如何でしょうか? 」




「アーノルド殿、ゴールドとお呼びください。」

「はい、ゴールド様。」

「もしこれが成功すれば、初心者でもダンジョンアタックは可能になるでしょう。よろしく頼みます。」

「はい、任せてください。」


 1週間後、アーノルドはダンジョンアタックを開始した。

 1チームには大盾持ち1人、大盾持ちは身体が大きく、力持ちを当てた。

 小楯と剣持ち1人、槍持ち2人、槍持ちには短槍も持たせた。

 後衛には弓の上手い者を配置した。


 角ウサギはどのチームも難なく倒した。

 アーノルドの読み通り、多くのチームが入っているので、魔物の攻撃を分散させる事に成功していたためだ。

 スライムには大盾で受け止め、そのまま盾でスライムを地面に押し付けた。

 一旦動きを止めて、全員で剣と槍を構えて盾を外した瞬間を攻撃した。

 これが有効に働いた。

 たまに外しても、小楯持ちがカバーに入り、もう一度大盾で押さえつけて一斉に攻撃をした。

 この攻略の仕方で1階層を難なくクリアして2階層へ降りて来た。



 ポイズンスライムもこの方法で対処した。

 偶に毒に侵される者も出たが、輜重隊の持つ状態異常回復ポーションで戦線に復帰した。3階層のキラーイタチにも対処出来た。


 4階層のスモールボアにはパリィが出来なければ、盾で受ける事は不可能だ。

 スモールボアの突進で吹き飛ばされてしまうからだ。

 そこで小楯持ちが盾を背中に背負い、大盾持ちの盾を2人で持ってスモールボアの突進に対抗した。


 ずっずずーーっと足が地面を滑ったが、スモールボアの突進を受け止める事が出来た。そこを槍持ちが槍で突いて止めを刺した。

 スモールボアは全員に振舞われた。

 ゴールドがスモールボアのステーキの焼き方をアーノルドに伝え、下準備に味塩コショウを渡し、金網と醤油とワインも渡していた。


 この日、スモールボアは4頭狩れた。

 全員に行き渡るように焼かれて行った。

 全員涙が頬を伝わった。初めてこんな美味い肉を食べたのだった。



 そして5階層のリトルモンキー、6階層のゴブリン、7階層のリトルホーン、8階層のウルフまでは順調に進んで行った。

 問題が起きたのは9階層のリトルダイナソーとの戦いだった。

 兵士達の剣ではリトルダイナソーに傷を与える事が出来なかった。

 伝令の報告を聞いたアーノルドは自分のチーム5名で駆けつけた。

 まだ、戦いは続いていた。

 倒す事を考えずに、守りに徹していたからだ。

 必ず、助けが来る事が分った戦い方をしていた。


 アーノルドのパーティーは5名。

 1番強いのはカスパー、クロスフィールド37歳だ。レベルが37。

 次がアーノルド、ロベリア22歳、レベル32だ。

 他の者達もレベルが32ある。

 全員ゴールドに助けられた騎士達だ。


 カスパーはゴールドから斬鉄剣改を貰っていたが、今回は家宝の鋼の剣を使っている。カスパーはゴールドから鋼の剣でも切れると聞いて、試し切りをしたのだった。

 鋼の剣を買ってきて、それを台座に固定して斬鉄剣改で切ってみたのだ。

 勇者さまは鋼の剣でも切れると言われたが、実際切ってみると大根を切るみたいにすっと鋼の剣が切れた。


 あまりに力が入っていたので、地面まで切ってしまっていた。

 貴方の腕なら、ヒドラの首でも一刀両断出来ると言われた時はお世辞だと思っていた。しかし試し切りをした今なら、確実に一刀両断出来ると確信していた。


 今回も持ってきてはいる。

 しかし使うのは10階のボス、カメレオンダイナソーだと思っている。

 先ず5人で槍を投げた。

 流石にレベル30台の力だと穂先が硬い皮膚を突き抜けた。

 刺さりまではしなかったが、かなりのダメージを与えた。

 後は全員、鋼の剣を抜いて切りかかった。


 槍で血が出ている皮膚を狙って攻撃をした。

 段々傷が大きくなり、そこにアーノルドの剣が差し込まれた。

 ぐっぐーーっと15cmぐらい入って引き抜いた。

 この攻撃でリトルダイナソーは横に倒れた。

 後は全員で槍を突き刺して倒した。


 リトルダイナソーは3匹現れたがアーノルド達が兵士達と協力して倒したのだった。

 しかし2匹目の所に駆け付けた時、兵士の1人がリトルダイナソーに噛み付かれて、やられる寸前だったのだ。

 アーノルドはまだ知らなかった。

 もし、兵士が1人倒されていたら、リトルダイナソーはミドルダイナソーに進化していたのだ。


 ミドルダイナソーは体長3mの怪物だ。

 レベルも9から20になりリトルダイナソーの5倍ぐらいの強敵になっていたのだ。

 こうなったら、人族ではレベル50は必要になる。

 ゴールドは密かにカスパーにエリクサーを渡し、もし手に負えない強敵が現れたら、この薬を飲んで斬鉄剣改で戦うように言っていた。

 実際は使わなかったのだが。


 そしてアーノルド達は10階層に降り立った。

 5人全員、状態異常回復ポーションを飲んだ。

 アーノルドは知将だ。

 流石に何も準備しなくて、カメレオンダイナソーに勝てるとは思わなかった。


 カスパーがタワーシールドを持った。

 その後にアーノルドが素手で立ち、後の3人が槍を構えた。

 鞭のようなカメレオンダイナソーの舌がカスパーを襲った。

 カスパーは盾で受け、そのまま盾から手を離して舌を掴んだ。

 その舌をアーノルドも掴んだ。


 カメレオンダイナソーとカスパー、アーノルドの綱引きになった。

 少しずつ、アーノルド達はジャングルへ引き込まれだした。

 しかし大の大人2人がぶら下がっているのだ。

 簡単には引き摺り込まれなかった。


 後ろに居た3人が森に向かって槍を投げた。

「クロロロロローーッ」と断末魔の声が聞えた。

「ドサッ」と何かが落ちた音が聞こえた。

 見に行くとカメレオンダイナソーが槍に刺さって倒れていた。


 アーノルド達、ロベリアの兵士200人近くが10階層のダンジョンドアを使い1階層に降りて来た。

 これ以後、この200名近い兵士達は1階層のダンジョンドアを使い、いつでもカメレオンダイナソーと戦えるようになった。



 アーノルド達は一旦、城に戻り体調を整えて11階層攻略にかかった。

 しかし11階層は川と湖のエリアで道幅が2mしかなく、大軍を送り込む事が出来なかった。

 また、魔物がポイズンスネークとポイズンフロッガーで体力を侵す毒を持っていて、直ぐ手持ちの状態異常回復ポーションが無くなったのだった。


 接近戦では不利と見て、弓矢隊を多く投入したが、水の中を潜って襲い掛かって来るので、効果は無かった。

 やはり11階層からは魔法使いがいないと難しいとゴールドは思った。


 しかし5階層ぐらいまでは、アーノルドの攻略方法で戦う事が出来る事が分って安心もした。

 先ずは初心者をここで鍛えるのだ。



 アーノルド達のダンジョンアタックが一旦終わりを見せた時、カスパーがゴールドにエリクサーを返しに来た。

 ゴールドはそのままカスパーに使うように行って再度渡した。

 有効期限は3ヶ月で、その期間に使う事を言い添えた。


 カスパーはエリクサーの話は知っていた。

 勇者様がミイラを生き返らしたと吟遊詩人達が歌っているのだ。

 カスパーは主、リーガン、ロベリアに献上した。

 リーガンはアーノルド、カスパー二人と相談して、今回ダンジョンアタックに参加した兵士の中から必要な者に与える事にした。


 身体が欠損して兵士を続けられなくなった者。

 思い病気にかかり死に掛けている者。

 そして最後の言葉を聞いて、全兵士が驚いた。

 死んだ者で身体がまだあるもの、又はホネがある程度残っている者と言われたからだ。


 10人ぐらいの兵士がリストに上がったが、最後はリーガンが決断した。

 兵士の名前はニコス、ハッパート25歳。

 ニコスは一昨年アナベル、アキノ18歳と結婚した。

 そして子供がこのダンジョンアタックの前日に産まれる予定だった。

 しかしアナベルが病にかかりダンジョンアタック前に死んでしまったのだ。


 ニコスはアナベルの葬儀をダンジョンアタックから帰って行う事にして作戦に参加した。これを聞いたリーガンは涙にくれた。

 リーガンはニコスを呼んで、話を詳しく聞いた。

 涙無しでは聞けない話だった。

 ニコスが泣いて話すからだ。


 どれだけ、アナベルを愛していたかが良く分った。

 リーガンは明日エリクサーを使う事を言い渡した。

 ニコスは信じられなかったが、リーガンにお礼を言って家に帰って来た。


 家にはそのまま、アナベルの死体が棺桶に入れて置いてあった。

 ニコスは一晩、アナベルの前で泣き明かした。

 明日、葬儀をすると親族一同に伝えてあるのだ。

 ニコスの親族とアナベルの親族が夜から集まってきた。


 明日の葬儀は、まず領主リーガンの言葉から始まるとだけ親族一同に伝えた。

 翌日、朝になって領主リーガンはアーノルドとカスパーそれと医者と産婆を連れてやってきた。

 親族一同は驚いた。

 領主が一兵士の妻の葬儀に参列する事はまず無い事なのだ。

 それだけでも驚いたが、どう見ても一緒にいるのが医者と産婆なのだ。

 だれか病気の者がいるのか?

 何処かで子供がうまれるのか?

 ひそひそ話し出した。


 リーガンはニコスに今から始めると言い渡した。

 ニコスは跪いて頭を下げた。

 アーノルドとカスパー、ニコスでアナベルの死体から服を剥ぎ取って行った。

 死体は不敗しかけていた。

 それでも綺麗に服を剥ぎ取った。

 回りの親族は驚きと怒りを覚えたが、相手が領主様である。

 じっと我慢して成り行きを見ていた。

 最後に棺桶の周りの板を崩して外した。


 親族にアナベルの死体が見え、誰もが目を逸らした。

 リーガンはアナベルにエリクサーを降りかけた。

 凄い光りが集まって、アナベルを包み輝き出した。

 5分ぐらい光は輝いていた。

 かなり長い光り方だとゴールドが見たら思っただろう。


 光りが収まった後には呼吸を荒くしたアナベルが現れた。

 出産が始まったのだ。

 医者が診察した。母体、子供とも無事だと告げた。

 その瞬間にニコスはまた泣き崩れた。


 親族は何がどうなっているのか分らず立ち尽くしていた。

 1時間後、アナベルは男の子を出産した。

 この事は秘密にするようにリーガンは言ったのだが、親族から漏れて、吟遊詩人の歌うところとなった。


 第2の妖精の雫の奇跡と題されたこの歌は凄い人気を得て、ロームからナトニア、ビクトリア王国まで歌われた。


 この事があった後も、アーノルドはダンジョンアタックを続けた。

 一つには兵士の力の向上に最適だった事とゴールドの為、ポーションの材料を採取する為だ。

 これを聞いたベラドンナのロドリゲスも兵士をダンジョンアタックさせた。


 この間、ゴールドはナイキ達に錬金術を教えていた。

 ゴールドがナイキに錬金魔法Mp10を流して行くのだ。

 ナイキは直ぐ意識を失くした。

 意識が戻った時、何となくだが魔力Mp10を感じた。

 それをブルーフラワー+ルナ草+きれいな水を入れた錬金蒸留器に風魔法の魔力として流し込むのだ。

 しかしナイキは中々ヒールポーションに成功しなかった。

 ナイキがヒールポーションに成功したのは3ヶ月後だった。

 一番早く覚醒したのはユリア姫とサンターナ姫だった。

 2人は1日で覚醒したのだ。





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