カメレオンダイナソー
9階層への階段を見つけて、夕食にした。
シチューは煮込み時間が足りないので、朝食へ回しスモールボアのステーキとサクランボが夕食だ。
ライオスがステーキを焼き出した。クッキングを唱えて焼いた。
すると最適な火加減、焼き加減が分るようになった。
「美味い!!!なんだ、この美味さは。」
全く最初に食べたステーキとは別物だ。
外側は程よくカリッとして、中はジュッと肉汁が出てくるのだ。
「ライオス、もう一枚食べてもいいですか♡」
「はい、もう一枚焼くね。」
「ありがとう。」
「私にも頼むよ。」
「OKナイキ。ロカの分も焼くね。」
「ありがとう。」
そしてラクランボを食べて眠りについた。
朝食はシチューだ。全員御代わりをして9階層へ挑んだ。
新たな魔物はリトルダイナソーだ。
体長1.5m、2足歩行する恐竜だ。
歯と爪が鋭く、動きも速い。力は強く、硬い皮膚を持っている。
始めにリトルダイナソーが突っ込んで来た。
ライオスがパリィで横に転がしてナイキが剣で止めを刺しに行った。
しかし鱗のような硬い皮膚に阻まれて、剣でのダメージは与えられなかった。
リトルダイナソーはじわじわと間合いを詰めて、腕の鋭い爪で攻撃してきた。
ライオスはシールドバッシュを放った。
リトルダイナソーはよろめいた。
そこをアデリナがウインドアローで目を狙った。
リトルダイナソーは何かを感じたのか?顔の前を腕で払った。
ウインドアローは掻き消された。
ナイキは不味いと感じた。攻撃手段がないのだ。
時間が長引けば、他の魔物もやってくる。
ナイキは一旦、8階層へ戻る事を提案した。
盾をライオスと代わり、アデリナにウインドアローを撃たせ、ロカにもウインドカッターを撃たせた。
その隙にライオスに聖水で守りのサークルの結界を張らせ、8階層まで撤退したのだった。
ナイキのこの冷静さはサンターナに斬られ、死線を何度も越えた結果、獲得したものだった。
8階層へ戻ってここで撤退するか? リトルダイナソーを倒すかを話し合った。
ナイキはドルモアお姉さまが居てくれたらと思った。
あの強力な攻撃力があれば突破出来るのだ。
周りの仲間を見渡した。
強力な攻撃力を持った仲間は自分を含めてもいないと思った。
それで撤退を提案したのだった。
全員その提案を受け入れた。
ライオスはここまで来れた事を神ムーン シルバー様に感謝した。
跪いて「神よ、ありがとうございます。」祈りを捧げ出した。
これを見たナイキ達は目を見開いた。
2階層で見た光景だったからだ。
ライオスがうす青色の光の粒を全身から発し出した。
神からの神託の言葉が下された。短い。
「袋を見よ。」
これだけだった。
「ライオス、神からの神託があったのかい?」
「ナイキ、何故わかるんだ?」
「ライオスが神とお話している時、うす青色にキラキラ光っているからだよ。聖水を取り出した時も光っていたんだよ。」
「聖水を取り出した時?」
「神託は何だったんだい?」
「神は袋を見よと言われた。」
「袋を見よ?袋って、前にライオスが言った、勇者様から貰った袋の事かい?」
「たぶんそうだと思う?
そう言えば、あの時、異空間収納袋に魔力を流したら、色々なクスリと剣が2本入っていたよ。
薬は何の薬がわからなかったけど、剣はゴールド様からの贈り物だと思う。」
「勇者様から貰った剣なのか?」
「そうだと思うよ、ナイキ。」
「このナイフを貰った時、ただのナイフだと思っていたけど、アリス様からアダマンタイトのナイフだと教えてもらっただろう。ひょっとしてアダマンタイトの剣じゃないのか?」
ライオスは異空間収納袋から斬鉄剣改を取り出した。
鞘から抜いて刀身を見た。全く違う物だ。
アダマンタイトのナイフは青く晴れた空のような色をしているのだけれど、この剣の刀身は黒光りした中に白く輝く光が発光しているようだ。
「ナイキ、全く違った剣だよ。」
ライオスがナイキを見たら、口をパクパクさせていた。
「ナイキ、如何したのだい?」
「ライオス、その剣は見た事がある。」
「何処で見たんだい?」
「サンターナ様が大事そうに持っておられる剣だ。
その剣で斬られたから、はっきり覚えている。
あの剣は勇者様から貰った剣だったんだ。
サンターナ様の話では、鉄剣を切り飛ばせるらしい。」
「じゃあ、これナイキが使ってくれ。」
「いいのかい?」
「私が頂いた物だ。
この様な状況で使うのなら、ゴールド様はきっと喜んで下さるよ。
もう1本はロカが使ってくれ。
よし、じゃあ、もう一度9階層へ戻るよ。」
「おーーっ、」ナイキ達は9階層に戻って来た。
9階層に戻ると、直ぐリトルダイナソーが襲って来た。
リトルダイナソーは突進攻撃は止めて、接近して鋭い爪で攻撃してきた。
知恵があり、学習しているようだ。
ライオスは心を落ち着かせ、リトルダイナソーが攻撃をする為、前に出ようとした所へシールドバッシュを放った。
タワーシールドがもろにリトルダイナソーの顔面を捉え、よろめかせた。
その時、ナイキとロカが前に出て、剣を振るった。
ナイキは鋭い爪を持つリトルダイナソーの右腕に斬り付けた。
ナイキの力でも、リトルダイナソーの右腕を切り飛ばせた。
今まで、硬い皮膚によって、ナイキの力では剣が入って行かなかったのだ。
すっ、すーっと剣が硬い皮膚に入り、中の骨を切断してリトルダイナソーの腕を通りすぎて行った。
ロカはリトルダイナソーの咽喉に突きを放った。
ずっ、ずっずーーっと剣は入って、剣先が反対側に突き抜けた。
「おーーっ、やったな、凄いぞナイキ、ロカ!!!」
この瞬間にロカの剣術レベルが5になった。
ナイキ達は9階層の中ほどまでに、2匹のリトルダイナソーと5匹のスライム、4匹の角ウサギ、1匹のリトルモンキー、1匹のゴブリンアーチャー、1匹のウルフと戦った。
体重の軽い魔物は風魔法Lv1ウインドで浮かせて倒した。
ゴブリンアーチャーはライオスがサーチによって、先に見つけてアデリナがウインドアローで仕留めた。
リトルモンキーとウルフはライオスが盾で受け流して、横にお腹を見せた所をナイキとロカで止めを刺した。
順調な時は運も良いらしい。少し行くと、スモールボアと出くわした。
ライオスの魔力量と魔力が上がった為か、100m先までサーチで索敵する事が出来るようになった。
100m先でスモールボアは木の根っ子を掘り繰り返していた。
アデリナがウインドアローを放った。
ウインドアローは左に大きく円を画がいて、スモールボアの正面から眉間に深々と刺さった。
バタリッとスモールボアは倒れた。
スモールボアの所には、何本かの木々が立っていて、小さな林を作っていた。
スモールボアは、その木から落ちている実を食べていたようだ。
ライオスがサーチを放つとカシスの実と出て、食べると美味しいと表示された。
ライオスは1個、そのまま口に放り込んだ。甘酸っぱい味で美味しかった。
ライオスはカシスの実をこの時、初めて食べたのだった。
ナトニア王国では、カシスの木は生えていないのだ。
ここローム王国では、ロカ領の北の魔の森に生えていて、時々猟師によって採取される果物だ。
取れる量が少ないので、他領には出回らない果物だ。
ロカの領主が王都に来る時、王族へ献上している果物だった。
なので知っているのはアデリナ姫1人だった。
「ライオス、私、そのカシスの実を知っているわよ。時々、ロカ領主から頂いて、食べていたわ。」
「では、はい、アデリナ。これ美味しいよ。」
アデリナはライオスが取ってくれたカシスの実を食べた。
なるほど、今まで食べたカシスの実より、とってもジューシーで甘く美味しかった。
アデリナは食べた瞬間、違う食べ物と思ったほどだ。
同じカシスの実なのだが、ここの実は完熟したものだ。
ダンジョン産の果物は、みんな、生き物を呼び寄せる為に、熟れた状態でリポップされている。
つまりは、魔物や人々を誘き寄せる為のエサなのだ。
ナイキ達はカシスの実を取れるだけ採って、10階層への階段へ向かった。
ライオスの空間把握とサーチにより、階段はこのまま真っ直ぐ行った崖の下にある事が分っていた。
ナイキ達は10階層の階段の入り口で1泊した。
スモールボアのステーキとシチューを作って食べ、10階層のボス戦の打ち合わせをした。
ボスの情報はゴールドから教わっている。
カメレオン、ダイナソーだ。
体長3m、麻痺毒性の長い舌を持ち、鋭い鉤爪で攻撃してくる。
ムササビのような滑空する翼を持ち、素早く動き回って襲ってくるので強敵だ。
それに木と保護色になっていて、何処にいるか分らない。
ここからはロカが実際戦ったアンリ王子から聞いた情報だ。
ジャングルに進むと、鞭のような舌が飛んで来たそうだ。
舌の長さは大体5m、先ず避ける事は不可能だと言われた。
麻痺毒の舌で麻痺させてから、滑空して鋭い鉤爪で攻撃してきたそうだ。
最初に狙われた者は、確実に麻痺させられるだろうと言われた。
ナイキが提案した。
「明日は私が盾を持って、前衛を務めるよ。
私は麻痺させられるだろう。
しかし、それで敵の居場所が分るだろう。
そこをアデリナがウインドアローで射止めてくれ。
もしくは、滑空して来たら、翼をウインドカッターで切り飛ばし、ロカが勇者の剣で止めを刺してくれ。
その後、ライオスが聖水で治してくれ。
これなら、カメレオンダイナソーを倒せると思うけど、如何だろうか?」
この時、ライオスは別の事を考えていた。
敵はボス1匹なのだ。
空間把握とサーチで、カメレオンダイナソーを先に見つけて、勇者の槍で倒す事を考えていた。
勇者の槍は、1回使用すると1ヶ月をかけて、槍が自ら魔力を吸収して使用可能状態になる。
ライオスは16日前に勇者の槍を1階層で使用した。
勇者の槍に必要な魔力は風魔法Lv6ウインドゼェットMp60と空間魔法Lv9転送Mp90、土魔法Lv8鉱物形成Mp80、そして回復魔法Lv7リジェネーションMp70だ。
土魔法Lv8鉱物形成Mp80と回復魔法Lv7リジェネーションMp70は1回の使用では、そんなに魔力を使わない。
この事はゴールド様から教えて貰っていた。
そこでライオスは、夜寝る前に、残りの全ての魔力を、先ず風魔法の魔力にして槍に流し込んで眠っていた。
空間魔法に覚醒してからは、風魔法と空間魔法の魔力にして槍に流し込んで来たのだ。
勇者の槍は、昨日の朝には使用可能になった。
リトルダイナソー1匹なら、いつでも倒せたのだが、ボス戦を考えて使わなかったのだ。
それでもライオスはナイキの作戦に従う事にした。
自分達はパーティー、仲間なのだ。
朝、シチューを食べて、10階層の階段を降りた。
そこはジャングルだった。
階段を降りた周りだけが木々の無い広場になっている。
ナイキは盾を構えてジャングルに歩を進めた。
歩いて直ぐに鞭のような攻撃を受けて倒れた。
この後、アンリ王子の話だと木の上から滑空してきたと聞いていた。
アデリナはカメレオンダイナソーの居場所を探した。
舌が森の中に消えて、また静けさが戻った。
舌の消えた場所をアデリナは探したが、カメレオンダイナソーの姿は見えなかった。
ライオスはアイテムボックスから聖水を取り出して、ナイキに降り掛けようとした。
その時、鞭のような舌がアデリナを襲った。
アデリナは麻痺して、その場に倒れた。
そして、また静になった。
ライオスの心はアデリナが倒れた時、恐怖に襲われた。
アデリナを失くすと思ったら、悲しさと恐れが心を満たし出した。
しかしライオスはここで、心を乱しては全滅すると今までの冒険から学んでいた。
ライオスは不味いと思い始めた。
ゴールド様から聞いていた攻撃パターンと違っているのだ。
カメレオンダイナソーは1人、1人麻痺させるつもりのように思えた。
次狙われるのは前に出ているロカだ。
ライオスは空間把握とサーチをジャングルに放った。
最初にいた場所より、かなり右よりにカメレオンダイナソーは姿を消して移動していた。ロカに対してほぼ横から舌を飛ばしてきた。
ライオスはその瞬間を狙った。
勇者の槍は正面からカメレオンダイナソーを捉え、身体を突き抜けて、その直ぐ後の大木に穴を開け、その後ろの大木にも穴を開け、その後ろの大木に深々と刺さって止まっていた。
カメレオンダイナソーのいた大木の枝がボキッと折れ、ドザッと何かが落ちる音がした。
ライオスはアデリナに駆け寄り聖水を降り掛けた。
3度降り掛けるとアデリナは太陽の光のように輝きだし、麻痺が取れ傷も治っていた。
ライオスはアデリナを抱きしめてキスをした。
アデリナも両手をライオスの首に回した。
長いキスを2人はした。
ライオスは心が落ち着いてきた。
目がナイキと会った。
恨めしそうな目で睨まれた。
ライオスはナイキに聖水を降り掛けた。
そして呪文を詠唱した。
「センドオン ツゥ コールディネイト ダブルオー ダブルオー」
大木に深々と刺さっていた槍が手元に戻っていた。
ナイキ達はゴールドから、もしカメレオンダイナソーを倒したなら、カメレオンダイナソーの身体を持てるだけ持って帰るように言われていたので、ナイフで手足、尻尾を切り取って背負い袋に入れた。
そして10階層のダンジョンドアを使い、1階層に戻って、ゴールドが待つ拠点に9日ぶりに帰って来た。
この時の4人のステイタス。
ロカ、ニルンルート11歳
称号 英雄の子
レベル22
HP 190
MP 200
力 60
体力 80
敏捷 50
器用 50
魔力 70
剣術Lv5 弓術Lv1
風魔法Lv2ウインドカッター
特技 鉱物鑑定
アデリナ、ローム13歳
称号 ローム王国第一王女
レベル20
HP 150
MP 120
力 50
体力 60
敏捷 90
器用 90
魔力 50
剣術Lv3 弓術Lv1
回復魔法Lv4 水魔法Lv1 風魔法Lv3
ナイキ、ロビナ12歳
称号 ローム王国の冒険者
レベル20
HP 200
MP 70
力 70
体力 90
敏捷 40
器用 40
魔力 50
剣術Lv4 弓術Lv1
風魔法Lv2 炎魔法Lv1
ライオス、ナトニア17歳
称号 ナトニアの神王
レベル22
HP 220
MP 300
力 90
体力 120
敏捷 100
器用 100
魔力 70
剣術Lv1 槍術Lv3 弓術Lv1 盾術Lv2
風魔法Lv2 土魔法Lv1 炎魔法Lv1 空間魔法Lv2 回復魔法Lv2 生活魔法Lv4




