スモールボアとリトルホ-ン
「アデリナ♡ ♡」
「ライオス♡ ♡」
2人は抱き合った。涙を流しながら。
そしてナイキとロカの前なのにキスをした。
ナイキとロカは驚いたが、先ほどの事を尋ねた。
「ライオス殿、先ほどの水は何だったのですか?」
「ナイキ殿、ライオスと呼んでくれ。同じパーティーの仲間だろ。」
「それでは私もナイキと呼んでください。」
「私もロカと呼んでください。」
「ああ、ナイキにロカ。先ほどの水は聖水と言う水らしい。
ゴールドさまから作り方を習って、私が作った水なのだよ。
回復魔法Lv6、聖魔法Lv6の威力があるとおっしゃっていた。
しっかりゴールドさまから言われていた事を忘れていたんだ。」
「ライオスさまは神ムーン シルバー様にお祈りを捧げていましたね。
そしてお礼を言われていました。
神とお話されたのですか?」
「ロカ、これは神から言われている事なのだけど、この事は秘密だよ。
しかし君達は仲間だ。伝えてもいいだろう。
この世界には神とお話出来る者がいるのだ。私もその1人だ。
ゴールド様ほどではないけれど、話しが出来るのだよ。
それで教えていただいたのだ。
私は神に言われて、何年も何年もゴールドさまを待っていた。
恋焦がれていたと言ってもいいだろう。
そして出会えて今ここにいるんだ。
今、こうして君達と一緒にダンジョンにいるのも神ムーン シルバー様の御心だと私は思っている。
そして修練を通して、アデリナを好きになったのも偶然じゃないと思っているのだ。
私はいつかナトニアに帰るだろう。
それでも私は君達の事は忘れないよ。
何かあれば、きっと駆けつけるよ。
今日はここで1泊して、また明日からアタックしよう。」
4人は2階層の真中辺りで1泊して、翌日3階層へ降りた。
3階層では新たな魔物、キラーイタチがいた。
体長50cm、毒の爪を持っていて動きが素早い。
この情報はライオスが聖魔法Lv1サーチを放って得られた物だ。
これまでサーチを放っても、何も情報は現れなかった。
漠然と聖の波動を感じるだけだった。
しかし、今回聖魔法Lv2ホーリーボールに覚醒したので、夕食を食べた後、試したのだった。
聖の光りの玉が打ち出されただけで、何も起こらなかった。
ナイキ達もあれっとした顔をした。
その時、ついでにサーチを放ってみたのだった。
そしたら、ナイキ、ロビナ12歳とステイタスが浮かんだ。
しかしまだこれだけだった。
聖魔法のレベルが上がれば、色々な情報が見られるのだろうと思った。
今回もライオスがタワーシールドを持って前衛を務めていた。
そしてキラーイタチがタワーシールドに突撃していた時、小パリィで横に転ばせた瞬間にサーチを放って得た情報なのだ。
今日から、毒持ちの魔物はウインドカッターで倒し、毒が無い魔物は剣で戦う事にして魔力の温存に務めながら先を進む事にしていた。
今回、キラーイタチにはロカがウインドカッターで止めを刺した。
順調に4階層の階段を見つけて、ここで1泊した。
体力の回復をして4階層に降りて来た。
4階層では、絶対見つけて倒さなければいけない魔物がいる。
スモールボアだ。
これを見つけられなければ、撤退するしかない。
食料がここまで分しか持ってこられなかったのだ。
ライオスの異空間収納袋を使えばいいのだが、ライオスはまだそれを知らない。
ゴールドからは、スモールボアを倒し、肉を手に入れて、それを背負い袋に入れて、それからの旅の食料にする事と言われていた。
しかし探す時には、なかなか現れないものだ。
それでも順調に敵を倒して進んで行った。
7kmぐらい進んだ時、小高い丘の上にスモールボアを発見した。
スモールボアもこちらを見つけて突進してきた。
スモールボアは真っ直ぐしか進んで来ない。
ライオスが小パリィで横に転がした。
小パリィが使えなかったら、ライオスでもフッ飛ばされただろう。
そこをナイキが剣で止めを刺した。
素早く腰に差しているナイフで解体しだした。
ナイフは何の抵抗もなく、スモールボアの体の中を切り裂いた。
ナイキは1億ロムのナイフだったとアリスから言われた事を思いだした。
確かに良く切れるナイフだが、本来国宝級のお宝だ。
宝物庫の中に納められる宝物だと思った。
「ナイキ殿」
「ロカ、ナイキでいいよ。」
「ではナイキ、そのナイフ、凄い切れ味ですね。どうしたのですか?」
ナイキはロカのナイフだけ、普通の鉄のナイフだと思った。
何か悪い気がしたが、本当の事を言った。
「勇者さまに頂きました。」
「勇者さまにですか?うらやましいです。」
ナイキは思った。
ロカのうらやましいは、ナイフの値段に対してではなく、勇者さまにもらった事に対してだと。
5階層の階段の前まで来て、ここで1泊する事にした。
この夜はスモールボアのステーキだ。
ライオスを除いた3人は、スモールボアの肉を串に刺して焚き火の炎で焼き出した。
焼いた後、塩をかけて食べるのだ。これでも結構美味い。
しかしライオスは、ナトニア王都で食べたヒドラの蒲焼から、料理の仕方で味が変わる事をゴールドから学んでいた。
また今回、ゴールドから味塩コショウをもらった。
下準備に味塩コショウをスモールボアの肉に染み込ませて行った。
そして3人とは別に竈を作り、ゴールドからもらって背負って来た金網を竈に置いて肉を焼き出した。
その肉に醤油とワインを混ぜた調味料をかけた。
美味そうな匂いが周りに漂い出した。
「ライオス。」
「なんだい、アデリナ。」
「私の肉もそっちで、焼いてくれない。」
「いいよ。」
「ライオス。」
「なんだい、ナイキ。」
「私の肉もお願いします。」
ロカもお願いした。
「いいよ。」
ライオスはナイキの肉とロカの肉も焼き出した。
「はい、焼けました。アデリナ、どうぞ。」
「ありがとう♡♡♡。」
「はい、ナイキ、こっちはロカの分だよ。」
「ありがとう!!」
「あーーっ、美味しいわ。」
「これは美味いな。」
「ライオス、料理が出来るのね♡。」
「ナッシュビルにいる時、ゴールド様から教えて貰ったんだよ。この焼き網も調味料もそうだよ。」
「その網、何かと思っていたのよ。大事そうに背負っているのですもの。」
「明日も頑張ろう、おやすみなさい。」
翌日、ナイキ達は5階層にやってきた。
新たな魔物はリトルモンキーだ。
体長80cm、地上を2足歩行して、物を掴んで殴って来た。
動きは速く、鋭い爪と牙で攻撃してきた。
しかし、ナイキ達の敵ではなかった。
魔力操作が出来る魔法使いのウインドカッターから逃れる事はほぼ不可能だ。
ウインドカッターは見えないのだ。
魔法使いには緑色の風の刃が見えるのだが。
魔法を用いて倒すのが、MP上昇率が良い事に気付いてからは、魔力に余裕があればなるだけ魔法を使って倒すようにした。
遠距離攻撃の上に、魔力操作の訓練にもなって、全員の魔力量がグングン上がって行った。
6階層の入り口で1泊して、翌日6階層に降りて来た。
6階層にはゴブリンがいた。ゴブリンには、ライオスがタワーシールドで防いで、小パリィで横に転がし、無防備になった所を剣で倒した。
ゴブリンファイターも同じ要領で倒す事が出来た。
ゴブリンアーチャーには、弓矢の攻撃範囲外からウインドカッターで仕留めた。
ゴブリンマジシャンは炎魔法Lv2ファイアボールを撃って来た。
ライオスは小パリィで、ファイアボールを横に受け流した。
直撃ならば、爆発して盾でもダメージを負うところだった。
小パリィ、恐るべしである。
ナイキ達でさえ、ファイアボールの受け流しを見て、おーーっと感嘆の声を上げた。
直ぐアデリナはウインドカッターを放ち、ゴブリンマジシャンを倒した。
この瞬間にライオスは盾術Lv2パリィに覚醒し、アデリナは風魔法Lv3ウインドアローに覚醒した。
パリィは100%敵を無防備にする技でウインドアローは普通の弓矢と同じ威力の風の矢を撃ち出す魔法だ。
7階層に進んだ。
新たな魔物はリトルホーンだ。
体長80cm、子ヤギの魔物だ。
こいつも見つけたら確保するように言われていた魔物だ。
しっかり煮込むと美味しいとゴールドから教えられていた。
リトルホーンはスモールボアと違って、自由自在に動き回り、尖った角で突進攻撃をしてくる魔物だ。
盾を構えていても、横に飛んで攻撃してきた。
しかし、ライオスはしっかりサーチを放ちながら、リトルホーンの動きを読んでパリィで横にいなして転がした。
一瞬だがリトルホーンはお腹を見せた。
そこをロカが剣で止めを刺した。
素早く解体して、肉を確保したのだった。
8階層の入り口で早めのキャンプをした。
リトルホーンの肉をじっくり煮て、ゴールドから貰ったデミグラスソースでシチューを作って食べた。
全員が涙を流しておかわりをしたのだった。
この瞬間にライオスは生活魔法Lv4クッキングに覚醒した。
クッキングは火加減、水加減、料理の手順が自然と分る魔法だ。
それと同時にLv1ファイア、Lv2ウォーター、Lv3クリーンも覚えた。
特にクリーンは役に立った。
食器の後片付けを、今までは水でやっていた。
当然キャンプも水場の近くで行っていたのだ。
しかし、これからは水場の近くでなくとも出来るようになった。
食べた食器類にクリーンをかけると、ピカピカになった。
ライオスはクリーンを自分自身にかけてみた。
この7日間、水浴びはしていた。
しかし少し体臭がきつくなって、自分でも気になっていたのだ。
クリーンをかけた瞬間、爽やかレモンの香りがした。
身体の汚れが取れ、服は新品のように綺麗になった。
つい「おーーっ」と声を上げてしまった。
「ライオス、どうしたの?」
「あっ、ごめん。アデリナ、クリーンの魔法を使ってみたんだよ。」
アデリナは驚いた。
魔物の血は10分もすると、自然に消えて行ったのだけど、汚れは段々酷くなり、自分の服も酷い状態だった。
ライオスを見たら、新品のように綺麗だったのだ。
「私にも、その魔法をかけてくれない♡」
「いいよ、じっとしててね。」
ライオスは詠唱し出した。
「ユグドラシルのフェアリー、ブラウニーに命じる。この者を清潔にせよ。クリーン。」
光の玉がアデリナの周りを駆け巡り、1分ぐらい経つと光りの発光が収まった。
アデリナは光の中でバラの花の匂いがした。
それから身体中をライオスからマッサージされているような感じとお風呂で身体を洗って貰っている様な感覚がして、恥ずかしかったが、とっても気持ちが良かった。
実際アデリナにはライオスから魔力が光の玉へ流れて行っているのが見えるのだ。
光の玉が消えても、バラの花の匂いがして、服を見るとピカピカになっていた。
身体もすっきり爽やか、元気になったように感じだったのだ。
「ライオス、ありがとう。綺麗になったわ。」
「ああーっ、本当に綺麗だよ。なんて素敵なんだ。」
ライオスの前には、女になったばかりの美人の少女が立っていた。
お風呂上りの潤った肌の美少女だ。
服は革鎧だが、王族だけあってお洒落な服だ。
アデリナは真っ赤になって、下を向いてしまった。
「ライオス、私にもその魔法を頼むよ。」
「ナイキ、じっとしていてくれ。」
ナイキもバラの花の匂いがしてすきっとした体になった。服も新品同様だ。
「ロカ、君にもかけるよ。」
「ありがとう、ライオス。」
それからライオスはシチューを作る事にした。
クッキングにより、火加減、水加減が分るようになり、シチューの美味しい手順も分るようになったからだ。
一晩、リトルホーンの肉を煮込むと、先ほど食べたシチューより、美味しいシチューが出来る事が分った為だ。
また生活魔法Lv1ファイアの火加減は、魔力量で何時間燃え続けるかが分る優れものだった。
さながらガスボンベのような感じになるのだ。
全員、この夜はすぐ深い眠りに落ちた。
ライオスが聖水を周りに4ヶ所降り掛けたからだ。
今までは、1人は見張りをして、4人で見張り番を交代していた。
しかしライオスが聖水を周りに降り掛けると5m四方をドーム型に魔力の壁が覆ったのだ。この壁は中からは剣が通ったのだが、外からは通らなかった。
ライオスには、これが聖魔法Lv6守りの聖なるサークルだと分った。
それを皆に伝えて、この夜は安心して眠りに就いたのだった。
朝、アデリナが起きたら、結界の中はシチューの良い匂いが漂っていた。
アデリナのお腹がグーーッと鳴った。
アデリナが竈の方を見ると、男達3人が鍋を掻き混ぜている光景だった。
皆必死で、最後のソースを入れながら、シチューを掻き混ぜていたのだ。
アデリナが起きたので、4人で朝食を食べた。
一晩煮込んだシチューを食べた瞬間に涙が流れ出した。
4人とも全員だ。
それほど美味しかったのだ。
8階層にやってきた。
新たな魔物はウルフだ。
体長1.5mの狼だ。鋭い動きと牙で攻撃してきた。
しかしライオスのパリィの敵ではなかった。
横に転ばせて、ナイキが剣で止めを刺した。
しかし毛皮が硬く剣がしっかり刺さらなかった。
狼は立ち上がり、もう一度襲い掛かって来た。
こんどもライオスがパリィで横に転ばせた。
今度はロカが止めを刺しに行った。
鉄剣はまたも狼の毛皮に弾かれた。狼は流石に突進してこなくなった。
周りを後のほうへ回って、アデリナを攻撃した。
ライオスは自ら盾を狼に叩きつけた。
その瞬間にシールドバッシュに覚醒した。
シールドバッシュは盾で敵をバッシュ(叩く)すると無防備にする技だ。
狼はよろめいた。
そこにアデリナは風魔法Lv3ウインドアローを狼の目を狙って放った。
風の矢は狼の目を深々と射抜き倒した。
ナイキ達は剣が狼に止めを刺せない事に不安を感じた。
しかし後2階層で一旦地上に戻れるのだ。
この情報だけでも、心を強くした。
ナイキ達は9階層への階段を探した。
その途中でチェリーブロッサムの木々を見つけた。
サクランボが沢山実っていた。
ナイキはサクランボを口に放り込んだ。
美味い。久しぶりの果物だ。皆サクランボを食べ出した。
残りのサクランボは背負い袋に入れてもって行った。
夕食の時、食べる分だ。




