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ロカ、ニルンルート  作者: 明広
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初代ベラドンナ領主

ゴールドがアンリ王子と最初に来た時は、サイコキネイスの手で魔物を押さえつけて、アンリ王子に止めを刺させたのだった。

 しかし、今回ゴールドは手を出さないつもりなのだ。

 どうするのか見ていたら、ドルモアがテレパシーで敵の居場所を探した。

 その指図に従って、ライオスが槍を投げた。

 角うさぎの1匹を倒した。


 アデリナは風魔法Lv1ウインドを魔力操作して、角うさぎの下から風を吹かせ、角うさぎを空中に浮かせて、浮いて止まった所に剣を差し込んだ。

 この攻撃方法が、この後の戦い方になって行った。

 次の角うさぎをアデリナがウインドで空中に浮かせ、ライオスが槍で突いて倒した。

 次はライオスが風魔法で角うさぎを空中に浮かせ、アデリナが剣で止めを刺したのだ。スライムも、この方法なら確実に核を破壊出来た。

 ドルモアがテレパシーを使って、敵を先に見つけるので、それからは攻略も早く、2階層への階段を見つける事が出来たのだった。

 次の魔物のリポップまで1週間。ここで薬草採取をして行った。

 ブルーフラワー、ルナ草、パープルフラワー、光苔、ベニテングタケ、夜にはルーン草を採取して拠点に帰って来た。


 ゴールドはライオス達を前にして言った。

「まずナイキ、お前は心が弱すぎる。これから1週間、お前はサンターナ姫に剣を習い、心を鍛えてもらえ。」

「サンターナ姫様から教えてもらえるのですか?」

「何故、そんなに嬉そうなのだ。」

「サンターナ姫様は、今このベラドンナでは有名人なのですよ。1人でオーガを倒された英雄ですよ。」

「そうなのか?」

「はい、そうです。サンターナ姫様に剣を教えて貰えるとは光栄です。」

「そうか、まあいい。ライオスとアデリナはタンポポに相手してもらう。タンポポ先生の言う事を聴いて、しっかり学べよ。」

「はい、ゴールド様。」

 2人は、はもっていた。



 翌日、ゴールドは拠点の広場にて3人を前にサンターナを改めて紹介した。

「サンターナ、今日から、この3人の面倒を見てくれ。」

「分りました。」


 ゴールドはタンポポを召喚した。

 タンポポは人族の幼女の姿で現れた。5歳ぐらいの女の子だ。

 そしてゴールドに抱きついた。

 ゴールドは聖魔法Lv10聖光ホーリーライトを放った。

 その瞬間にユリア姫ぐらいの女の人になった。

 幼女からぐんぐん成長して若い女性になったのだ。

 ライオス達3人は目が点になって、口をパクパクさせた。


「ゴールド様。」

「何だ、ナイキ。」

「今のは、目の錯覚でしょうか?」

「ナイキ、師匠に対する心構えを言って見ろ。」

「師匠の言葉は絶対です。」


「では、言うぞ。

 今のは、お前達が見た通りだ。見間違いではない。

 そして、こちらがタンポポ先生だ。

 お前達の訓練は魔法を使って、タンポポ先生に矢を当てるだけだ。

 タンポポ先生は、お前達に攻撃はしない。お前達から逃げるだけだ。

 では1週間、修行に励むように。」


「ドルモア、私と一緒に来てくれ。」

「はい、かしこまりました。」

「言葉使いは普通でいいぞ。」

「いえ、これが普通でございます。」

 ドルモアはサンターナをちらりと見た。


「まあ、いい。では、行くぞ。」

 ユリア姫がゴールドの手を取った。

 ゴールドは王家の私邸の庭にワープで飛んだ。

 アンリとロカは魔法の練習をしていた。

 魔力操作の練習だ。矢を魔力を用いて浮かせ、的を射ていた。


「あっ、ゴールド様、よくいらっしゃいました。」

「アンリ王子、ロカ、私と一緒に来てくれ。」

「かしこまりました。」



 5人がワープで飛んだ先は、ロカ城塞都市の城門の前だった。

「ゴールド様、ここは何処でしょうか?」

「アンリ殿、ここはロカ城塞都市です。」

「ここがロカですか?」


 ロカはまだ復興が始まったばかりで何もなかった。

 それでも兵士や商人が城門を行き来していた。

 ゴールド達は城門から歩いて、西の森の中に入って行った。

 少し行くと陽射しが射し込む場所に出た。

 ゴールドはフライを発動して5人で空に浮いた。

 4人は流石に冷静にバランスを取っていた。


 そのまま西へ30分ぐらい飛んだ山の中へ降りた。

 ゴールドはアイテムボックスから地図を出した。

 この辺りがカサンドロスが発見した鉄鉱山だ。


「ロカ、ここら辺りに鉄鉱石があるか探してみてくれ。」

「はい、分りました。」

 ロカは地面を見つめた。

 ロカの身体から魔力が地面へ流れて行った。


「ゴールド様、この一帯全て鉄鉱石で出来ています。」

「どのくらいの広さか分るか?」

「この山1つは鉄鉱石です。この後の山もたぶん鉄鉱石です。」

「ドルモア、鉄鉱石の品質がどんなか調べてくれ。」

「いいぜ、まかしときな。」

「コホン。」ユリアが咳をした。

「あっ、かしこまりました。お調べいたします。」


 ドルモアは土魔法Lv1ボーリングを使い山土を2mの円にくりぬいて行った。

 くり貫いた土は後に土魔法Lv4ストーンスピアにして飛ばして行った。

 ゴールド達は入り口の横で槍が飛んでいくのをただ見ていた。

 トンネルの中から、槍がヒュンヒュン飛んでくるのだ。

 5分ぐらいしてドルモアはトンネルから出てきて、ゴールドに鉄鉱石を見せた。


「ゴールドさま、この鉄鉱石は上質です。これなら良い剣が作れます。」

「おおーっ、そうか、ありがとう。」


 ゴールドは今採掘している鉄鉱山も見る事にした。

「ロカ、ここが今掘っている山だ。後どのくらいの鉄鉱石が眠っているか調べてくれ。」

 ロカはまた地面に魔力を流した。

「ゴールド様、このまま掘り進めれば、後50年分ぐらいはありそうです。」

「後50年?」

 ゴールドはロームが繁栄しだしたら30年も持たないだろうと思った。

 今、復興の最中なのだ。

 まだ、魔物の脅威があるので、復興はゆっくりだ。

 しかし、魔法とポーションを人族が手にしたら、急速に発展するだろう。

 すると鉄の需要が伸びて、あっと言う間に掘りつくしてしまうと思った。

 その時、鉄がなければ発展は止まってしまうだろう。


「ドルモア、ここの品質はどうだ?」

 ドルモアはそこら辺に転がっている鉄鉱石を見て、「中の中でございます」と言った。



「アンリ殿、今から王都に行って父上に会おう。

 そしてこの鉄鉱山の事を報告して、ここら一帯を王家で買って貰って、王家所有にしてもらおう。

 そうすれば、今後ロームの発展は順調に進むだろう。

 この権利書はロカの父とカサブランカス殿が見つけた物だ。

 これを貴方から父上に献上しなさい。」



「使徒様、何故そこまでなさるのですか?」


「私がここを離れるまでに、貴方をベラドンナ城塞都市の初代領主にするためですよ。アンリ殿には、以前言いましたね。

 ①弟子を増やすこと。

 ②この地を守ること

 ③ダンジョンにアタックすること

 ④レシピを守る事

 ⑤ポーションのサンプルを守る事

 本当の意味でロームが繁栄し、人族が進歩するには、錬金魔法に覚醒した人が生まれる事だと私は思っています。

 何百年先になるのかは分りません。

 それまで、この5つをしっかりと守って行って貰いたいのです。

 その為にはアンリ王子にベラドンナ城塞都市の領主になって貰わなければいけません。

 ベラドンナ城塞都市はローム王国にとって、とても重要で無くてはならない都市ですが、王家の負担でもあるのです。

 これから、皆でポーションを作って、資金を貯め、ベラドンナ城塞都市の王家負担分をアンリ王子が稼ぎだすのです。

 王家にこの鉄鉱山を献上する事で王家の国庫は満たされるでしょう。

 ポーションの売り上げの一部も王家を潤す事でしょう。

 その上、アンリ王子がベラドンナ城塞都市を自分の稼ぎで維持すると言えば、王家も認めるでしょう。

 アデル王は喜んで認めてくれるはずです。」




「使徒様、よく分りました。きっと使徒様の言葉は守って行きます。」

「アンリよ、これは神ムーン シルバー様の思し召しだ。しっかりやってください。」

「はい、神ムーン シルバー様、ありがとうございます。」


 5人はローム城の謁見の間に飛んだ。

 アデル王は執務室にいる。

 ゴールド達はアデル王に会って、先ほどの話を切り出した。

 アデル王は神のご加護に感謝した。

 ゴールドはサーチと空間把握を使ってアドリアナ姫を探した。

 アドリアナ姫は教会にいる。

 何故教会にいるのかをアデル王に尋ねた。

「アドリアナはアデリナが教会を出たので、自分が姉の代わりに教会でお仕事をすると言って毎日教会に行っているのです。」

「何か神託があったのですか?」

「いえ、何も言っておりません。」


 10分後、執務室にアドリアナ姫が入って来た。

 そのままゴールドに抱きついた。

 全員、「えっ」と声を出した。

 先ほど、王と使徒様が話していたからだ。

 ゴールドはアドリアナを抱っこした。


「元気でしたか?」

「はい、元気です。」

「教会のお仕事をされているのですね。」

「はい、姉の代わりです。」


「しっかり勉強してくださいね。

 姫が14歳になられた時、私は姫の前に現れるでしょう。

 その時、姫は新たな力に目覚めます。

 人族を幸せに導いてください。

 この指輪を姫に与えます。

 この指輪は1度だけ、姫の願いをかなえてくれます。

 心から姫が願いをこの指輪にすれば、その願いは叶うでしょう。」



 ゴールドは金の指輪にパーフェクトヒールとリザレクションの魔法を付与して渡したのだ。

 1週間、ゴールド達とアデル王は今後の事を話して2年後にはアンリ王子をベラドンナ城塞都市の領主に任命する事が決まった。


 ロカの西の鉄鉱山も王家が購入して開発する事が決まった。

 そしてゴールド達はベラドンナに帰って来た。


 この1週間、ライオスとアデリナ、ナイキは修練に励んだ。

 特にナイキはサンターナに剣で何度も斬られる修練をさせられた。

 最初の憧れは、初日で消し飛んだ。

 サンターナは言った。

「ナイキ殿、まず剣を抜いてみなさい。」

「はい。」

 ナイキは勢いつけて剣を抜いた。

 この時まで、気持ちがウキウキしていた。

 サンターナは静に斬鉄剣改⊕を抜いた。

 その瞬間にナイキは震えだした。この感覚は知っている物だった。

 ユリア姫と剣を交えた時、感じた恐怖と同じものだ。

 ナイキは下がれるだけ下がった。

 サンターナは剣を上段に上げてナイキに迫った。

 剣の間合いに入った時、サンターナは剣を振り下ろした。

 ナイキは鋭い痛みと自分の右手が剣に張り付いているのを見た。


「あああーーーーっ」と声を出して(うずくま)った。

 右手から血が流れ出した。

 痛みが最高に達した時、意識を失った。

 横で見ていたライオスとアデリナは顔を真っ青にしてただ立ち尽くした。

 サンターナはパーフェクトヒールを放った。

 ナイキの腕が元に戻った。

「あなた達2人はタンポポ先生に矢を当てる練習をしなさい。魔力が無くなるまでするように。」


 そしてサンターナはナイキを抱えて家の中に入って行った。

 ライオスとアデリナは風魔法Lv1ウインドにて矢を浮かせて、タンポポを狙った。

 側にいるのに当たらない。当たりそうで当たらないのだ。

 むきになって魔力を使かい魔力切れで意識を無くして倒れた。

 これを1日中やらされたのだ。



 翌日、ナイキは朝起きて、昨日の出来事は夢だったと安心した。

 何故なら、自分の右腕はちゃんとあるからだ。

 朝食を食べに食堂に下りたら、ライオスとアデリナは青い顔をしていた。

 昨日は眠れなかったのだ。

 あまりにもナイキの腕が切り落とされた場面が目に焼きついて離れなかったのだ。

 しかも朝、ナイキと出会って改めて驚いた。

 あれは夢ではなかったと理解した。

 ナイキは右腕を切り落とされて、そして神の奇跡で元に戻されたのだと確信したのだった。


「皆おはよう。」

「ナイキ殿、何処か変わった所はありませんか?」

「ライオス様、私はいつも通りですよ。」

「右腕は痛くありませんか?」

「何故、そんな事を聞くのですか?」

「昨日、腕を切り落とされたではありませんか?」

「いえ、あれは夢?ではないのですか!!!」

「ナイキ殿はサンターナ姫から右腕を切り落とされ、そして神の奇跡で元に戻ったのですよ。覚えてないのですか?」


 ナイキは自分の右腕を見た。

 昨日の痛みを思い出して、右腕にチクリッと痛みが走ったように感じたのだった。


 2日目の修練は、午前中3人でタンポポ先生を相手に魔力操作の練習をした。

 午後からライオスとアデリナは続けてタンポポ相手の修練だ。

 ナイキは今日もサンターナと剣の稽古だ。

 昨日と同じように剣を構えた。

 サンターナはナイキの皮膚をすっと切った。

 服が切り裂かれ、その下の皮膚が薄皮1枚分切り裂かれていた。

 血がじわじわと出て、服を赤く染めた。

 サンターナは回復魔法リトルヒールをナイキにかけた。

 ナイキの傷は徐々に治って行った。


 それから夜にまるまで、ナイキは何度も何度も切られた。

 切られる度にリトルヒールをかけられた。

 最初は切られる度に膝をついていたが、痛みにマヒしだしてからは、切られても立っていられるようになった。


 2日目を終え、ナイキ自身は気付いていなかったが、サンターナに剣を向けられても恐怖を感じなくなっていたのだ。


 3日目、今日はアリスが修練に加わった。

 アリスは午前中だけの参加だ。

 今回アリスは矢筒に入っている矢を全て空中に放り投げた。

 前にライオスとアデリナが魔力操作の練習の為、アリスから習った時は、1本の矢を的に風魔法を使って当てる訓練だった。

 今回は30本ぐらい矢はある。

 そしてライオスとアデリナは驚いた。

 最初は30本の矢が全く違った方向へ飛び、タンポポの周りに集まって一斉に攻撃をしたのだ。

 当たる瞬間にタンポポは掻き消えた。

 次はタンポポの周りに集まった矢は色んな方向から攻撃を加えて行った。

 それでもタンポポには当たらなかった。

 最後にタンポポの周りに集まった矢達は意思があるように徐々に間合いを縮めて行った。3mぐらいの近距離で30本の矢がタンポポを攻撃をした。

 それでもタンポポには当たらなかった。

 アリスは3人の前から掻き消え、タンポポを小脇に抱えて3人の前に戻って来たのだった。



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