沈黙
管理職会議で決まった新体制。
それは僕も知らなかった3つ目の会社ができることの発表でもあった。
会長自身が言っていた元々の目的とかけ離れたようにみえた発表に、皆は困惑するだけであった。
沈黙がしばらく続いた。
そしていつものように山田が口火を切った。
山田 「発電所の販売先であるお客様はどうするんですか?それぞれの会社の独立性が必要ですし、カワミーの情報を共有することが難しくなるんのではないですか?」
たしかにその通りだ。
そもそも新しい会社は、グループとは別の組織として作られなければならない。
真愛グループに関連する会社であることを銀行に知られると融資が難しいからだ。
会長「ええ。そんなことは当然考えていますよ。佐藤さんの新しい会社は、桜田くんが山田さんの下で培ったスキルで営業をするんです。だから心配ないでしょう。」
山田「いやいや、会長も販売大変なのは分かってますよね?これまでラジオやホームページでの集客にいくら使ってきたか…」
会長「もちろん分かってますよ。しかしよく考えてください。この太陽光発電所のスキームであれば、買いたくない人なんていないんですよ。一年頑張って黒字でいけば、銀行も喜んで融資しますよ。」
山田の発言を遮るように会長は言い切った。
会長「でも、売りすぎても困りますからねぇ。その先のことを考えると、売りすぎない方がいいくらいですよ。だから安心なんですよ。ねえ、佐藤さん。売れないことがない商品ですからね。」
佐藤『え、えぇ…』
営業のことは正直僕にはよく分からない。会長と山田が情報統制し、そして山田の部下として桜田が関わっていた組織だった。
だから会長の言葉を信用するしかなかったし、山田の下で一年耐えた桜田を信じるしかなかった。
だから僕には不安混じりの返事しかできなかった。
山田「でも、雄介さんと、上野さんの会社はどうなんですか?営業は?いないじゃないですか?」
会長「そこは、新規企画の会社ですからね。営業はいらないですよ。1基か2基、高圧の発電所作れば、会社として回るでしょう。そのあとは私が年に少しずつ売りますよ。グループのほうは私は名前を出さない方がいいですから、ちょうど良いのではないですか?」
山田「そこは分かりました。では、申請や経産省の申請はどうするんですか?」
会長「えぇ。佐藤くんの会社は、自分達でやってもいいですし、グループに発注してくれても良いですね。ちゃんと商行為を行えば独立性は保たれるでしょう。雄介の会社は量もそれほどないので、問題ないでしょう。」
山田の多くの質問は会長に簡単に打ち返され、何も言うことができなかっていた。
しかし、ここにいるほとんどの人間は、今日、急に発表されたこの新規企画会社の話に、納得できるはずはなかった。いや、納得とか言う前に、何を言っているのか意味が分からなかったのかもしれない。
もうこれ以上誰からも質問はなかった。
そして、相変わらず、上野はニヤニヤ顔で、北条は体調が悪い様子を醸し出していた。
つづく
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