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Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~  作者: 落光ふたつ
第7話「Find me」
58/63

#3

 ——♪

 音楽が鳴っている。それに合わせて馬が回り、見ている者を誘った。


「あれ乗ろうっ」


 彼女はメリーゴーランドを指差して提案する。返事を聞く前に走り出していて、無邪気に馬の背に乗っていた。


「あははっ」


 笑い声が響く。


「楽しいねっ」


 彼女だけの笑い声が響く。



 誰もいない遊園地。いるのは彼女だけ。

 けれど楽園は彼女を歓迎し、機能する。

 光を発し、音を鳴らし。

 人が少ないと思えば、どこかから呼び寄せられる。


 賑やかさで、より楽しくなった。

 いつの間に、人を恐れなくなったのだっけ。

 いつの間に、笑えるようになったのだっけ。

 そういえば、この名前を付けてくれたのは彼だった。

 笑えない自分を、笑えるようにと願いを込めて。

 彼がいてくれるから、自分は幸せなのだ。

 楽しい感情で満たされる。

 これは全部彼のおかげだ。

 だけど気づいてしまう。


 彼がいない。


 語りかけても返ってこない。分けようとしても受け取ってくれない。

 じゃあ何で、自分は笑っていたのか。

 自分でない感情が頭の中を満たしていることに気づいて、恐ろしくなった。


 今、自分は何をしている?

 どこにいる?

 彼はどこ?


 途端に音楽が止む。光が消える。

 彼女を中心に回っていた楽園は唐突に消失し、荒野だけが広がった。

 彼女は探し始める。

 この不安を払拭してくれる人を。


 それは、何度も繰り返されていた。


 この世界には幸せが満ちている。

 目を閉じている限り幸せなのだ。

 けれどどうしても見てしまう。

 嫌な想像を。不幸な現実を。

 不安が、どうやっても消えてくれない。


 あの頃はどうだっけ。

 あるいは、もう一度やり直せるなら。

 彼女はそうして、逃げたのだった。



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