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Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~  作者: 落光ふたつ
第7話「Find me」
57/63

#2

 ずっと、夢を見ている。

 客観的にそう分かった。

 何せ、視線の先には横たわる自分がいるのだから。


 無機質な部屋。狭く、必要最低限の物しかない。閉鎖的な感覚に、染みついた恐怖を呼び覚まされる。

 中央に鎮座するベッドの上には、少女が機器に繋がれ眠っていた。

 そして彼女を囲う、二つの影。


『また、取り出すんですか?』

『一つでは足りなかった。もっと試さないといけない……』


 細身の影と大柄な影。

 その影を視界に入れただけで嫌悪感が湧き、けれどもどうしようもない諦念がこびりついている。


 ここからは出られないのだ。

 例え自分が逃げ出せても、彼女は出られない。

 だから、目を離せられない。


 大柄な影がどこかからナイフを取り出した。その頭髪と対照的な輝きを持つ鋭利な刃先。

 その刃が向かう先を知っている。


 やめて……


 声は届かない。影たちに、自分は見えていない。

 だから躊躇なく、彼女の腹部にナイフを突き立てた。


 ————


 ……痛い。痛い、痛い、痛い、痛い痛いいたいいたいイタイイタイイタイ……

 切り裂かれ、取り出され。

 逃れられない熱に、全てを侵される。

 それでも自分は、彼女を見続けていた。


『やっぱり不安定になってますよっ。あまり無断でやるとなんか言われちゃんじゃないですかっ?』

『どうせ外に行くんだから構わない。そもそも政府とわたしの望みは違う』


 大柄な影は何かを持っている。

 良く見えない。あれは何?

 目を凝らした途端に、胸の奥が握られているような感じがした。


 やめてよ。もうやだ……っ。

 何も分からない。でも苦しさだけはある。

 泣きたくて、解放されたくて。

 でも叶わない。


 助けて……っ。


 気づけばそんな願いを浮かべていた。

 過去の幸せを思い出して、あの頃に戻りたいと祈っていた。


 すると願いは聞き届けられたかのように彼が現れる。


 影に相対する人物。彼はベッドに横たわる自分を見て、その目を見開いた。

 その姿を見れただけで自分は救われた気分になっていて。

 けれど、飛びかかる彼に影は臆した様子もない。


『またか……頼んだぞ』

『人使いが荒いですって』


 細身の影が何かを取り出し、彼の額に押し当てた。

 声もなく何かを叫ぶ彼。彼が影へとつかみかかろうとした瞬間、


 震動。


 後、彼の体は後ろへと傾いて行って。

 大柄な影は、侵入者にもう見向きもしていない。


『定期的に流さないとダメだな……』

『じゃあジブン、これ片付けてきますね』


 大柄な影が少女に繋がる機器をいじっている間に、小さい影が動かない体を部屋の外へと運んでいく。


 運ばれていく彼の瞳は、もう開いていない。

 彼女を、見てくれない。


 ……嫌だ。こんな場所、嫌だ。


 逃げようと頭を抱えていると、次第に幸せな記憶が掘り起こされていく。


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